「島の日記」

2002年5月

「鳩間島はとまじま

5月2日(木)、石垣島離島桟橋の八重山観光フェリー事務所で9:30出発予定のフェリー
「かりゆし」の乗船券(片道1380円)を購入して9:00頃船に乗り込む。荷物を積み降ろす
船の前部から乗り込み階段をあがり3階へ行くと椅子が10脚置いてあるが直射日光がもろ
に当たっているので日陰になっている所に座る。最初は自分ひとりで他に誰もいなかったが
徐々に乗客が増え始めて最終的には2〜30人に。GW中で島の一大行事でもある「鳩間
島音楽祭」前日ということもありかなりの大人数。
9:30頃ゆっくり船が動き出し、他の離島に向かう高速船に追い抜かれながら鳩間島へ約
2時間の船旅。隣り合わせた乗客と雑談してるうちに1時間位が経ち小浜島の横を通り過ぎ
ようとしていた。たまたま2階部分に下りていくと船員が慌しく海へと伸びたロープを引っ張っ
ている。噂に聞くかりゆしのトローリングで、まもなく海面から魚の姿が現れ船に引き上げら
れたかと思うと10分後には丼2杯の刺身となって乗客に振舞われていた。魚の名前は忘れ
たが新鮮そのものの刺身は非常に美味しくすぐに丼は空になってしまい刺身付きで1380
円の乗船料金は安いとの声があがる。
そうこうしているうちに鳩間島の姿が徐々に近づき鳩間の港へ入港。港には運ばれてきた
物資を待つ人や宿泊客を迎えに来た宿の人がフェリーを待っていた。
 
------------  かりゆしの甲板  ----------------------  釣り上げた魚  ------------
 
--------------  丼の刺身  ---------------------  かりゆしから見た鳩間島  -------


船から降りた乗客がそれぞれ宿泊する宿ごとに別れ歩き始める。港から離れて少し歩くと曲
がり角に「コミュニティセンター(公民館)」があり、まっすぐ行くと漫画『光の島』にも出てく
「鳩間小中学校」で、角を左に曲がった先が今回宿泊する「民宿青空荘」。宿に着くと
宿泊する部屋毎に振り分けられ宿泊客の人数が多いので1部屋3人ずつ位におさまった。
荷物を置いた後昼食を食べるかどうか聞かれ(鳩間島には食堂が無いので基本的に宿は
3食付)たが、フェリーで刺身を食べたばかりだったのでキャンセル。
 
------------  民宿青空荘  ------------------------  コミュニティセンター  --------


しばらく宿でのんびりした後14:00頃島内散策に出かけると太陽が照りつける中、港では
明日の音楽祭の準備が行われていた。飲み物などを売る島に一軒の商店の前、民宿「まる
だい」、ペンション「マイトウゼ」の前を通り過ぎ、さらに下がり井戸の「インヌカー(西の井戸)
を過ぎて島の中央部に広がる標高33mほどの「鳩間中森」へ。民謡“鳩間節”にも唄われ
る景勝地。木々の間の道を行き階段を上がった先が「鳩間灯台」で灯台の横には復元され
「物見台」がある。灯台からは海を挟んで西表島が、物見台に上がれば鳩間の森とその
先に広がる鳩間の海を望むことができる。
四方を見渡せる眺望のよさだが日陰になるところが無いので長居はしなかった。
  
-------  港に張られた音楽祭の幕  --------------------  島の商店  --------------
 
-------------  鳩間中森  -----------------------  灯台下からみた西表  ---------
 
-------------  鳩間灯台  ----------------------------  物見台  ----------------


中森を離れ商店まで戻り島の一周道路に入る。ところどころ山羊の小さいフンが落ちている
砂利道を歩いて島の西側に広がる「屋良やら浜」に出ると浜では島の人達が遊んでいたら
しくテントをたたんで帰るところだった。一周道路に戻りガジュマルの木とくっついた2つの石、
通称「夫婦石めおといしを過ぎ島の北側にある「立原たちばる浜」「島仲しまなか浜」「外若
ふかばか浜」「船原ふなばる浜」とどの浜も波が穏やかでシュノーケリングをする人の姿が目
立つ。これらの浜以外にも道路脇の至る所から浜に降りられる。鳩間の海は貴重なアオサ
ンゴの群落が広がり、シャコ貝の養殖地にもなっているそうだ。
 
-------------  一周道路  ----------------------------  屋良浜  ----------------
 
--------------  立原浜  -----------------------------  島仲浜  ----------------
 
--------------  外若浜  ------------------------------  船原浜  --------------


約1時間かけて一周道路をのんびり写真を撮りながら歩いてまわり、さらに一周道路の内部
のそこら中に牛やヤギを見ることができる林をぶらつき青空荘まで戻ってきてから近くの森
の中にある下がり井戸「アンヌカー(東の井戸)へ行ってみる。降りてはみなかったが洞窟の
中には泉がありヤシガニもいるらしい。
 
------------  草むらのヤギ  -----------------------  道路脇にいた牛  ----------
 
--------------  アンヌカー  ---------------------  夜道で見つけたヤシガニ  ------


夕食後、翌日の音楽祭の会場であるコミュニティセンター前の広場で前夜祭を行うというの
で見に行くと舞台と機材がすでにセットされている。鳩間島を拠点に全国で音楽活動を展開
している「加治工勇かじくいさむさん」の唄があったり同じ宿に泊まっている人が中国胡弓(二
胡)を弾いたりと星空の下で海からの浜風を受けて聞く演奏はとても心地よかった。前夜祭
は1〜2時間で終わったがその後宴会が始まり深夜まで続いたらしい。



5月3日(金)、音楽祭当日。14:00から開始の音楽祭昼の部の準備が朝から始まっている。
会場のコミュニティセンター前にはテントやシートが用意され、ビールなどの売店も作られて
いる中、石垣島からの臨時便で着いた観光客が続々と集まり始める。14:00第5回鳩間島
音楽祭昼の部が始まり唄や踊りが次々と披露され、最終演目では加治工さんや「鳩間可奈
はとまかなこさん」らの演奏で観客も踊りだしてすぐに2時間が過ぎて終了。
 
------------  音楽祭昼の部  -------------------------  音楽祭昼の部  -----------


昼の部だけ見て帰っていく客を乗せて17:00に出港する臨時便を見送る為に港に続々と
島民・観光客が集まり出す。港に楽器や機材が持ち込まれ「鳩間の港」などが演奏されて
船が見えなくなるまで手を振り続けていた。
 
------------  港での演奏  --------------------------  港での見送り  ------------


陽が暮れて涼しくなった19:00には夜の部が始まり、多少観光客は減ったもののまだまだ
活気がある会場では熱のこもった演奏が続き観光客が舞台に上がって演奏に参加したりも
していた。そして最後の締めは「鳩間の港」で観光客と島民入り混じってのカチャーシー。
アンコールもあり予定を30分ほどオーバーして21:30頃終了。
 
------------  音楽祭夜の部  ------------------------  音楽祭夜の部  -----------
 
------------  音楽祭夜の部  ------------------------  音楽祭夜の部  -----------



5月4日(土)、朝から雨。朝食後には雨もあがっていて昨夜の音楽祭の後片づけを手伝うこ
とになり舞台やテントをばらして物置に運んでいき1時間ほどで終わらせてから打ち上げ(ぶ
がりのうし)に誘ってもらう。車座になって座りビールや泡盛が配られて三線に合わせて唄っ
ているうちに鳩間島経由西表島行のフェリーかりゆしの出港時間が近づき見送りに向かう。
同宿だった人も何人か乗り込み、昨日に続きまた桟橋での「鳩間の港」などの演奏や踊り
が続く中12:00近くに港を離れる。
 
--------------  打ち上げ  -----------------------  「かりゆし」の見送り  ----------


これが最後の見送りになる14:00発石垣行きの臨時便の出発を見送りに港へ。この船で
かなりの数の観光客が鳩間を離れて島はかなり静けさを取り戻す。最後の見送りを済ませ
てから散歩に出て人がいない浜に行き岩陰に座り波を見てぼんやり過ごす。



5月5日(日)、鳩間島最終日。朝食後、朝から降っていていた雨もあがったので加治工勇
さんのCDを買いに加治工商店へ。CD以外にTシャツなども販売しているが今回はCD「イ
ダ舟IDAFUNIだけを買い加治工さんにサインしてもらう。
 
-------------  かじく商店  ---------------------  かじく商店前の石垣  ---------


いよいよ鳩間島を離れる時、日曜日ということでフェリーも郵便船も無く、チャーター船も無
いみたいなので12:00西表島発の安栄観光の船に寄ってもらう(乗客5名以上で寄航して
もらえる)。港では加治工さんらの演奏とまだ滞在する同宿の人達の見送りを受け、初めて
見送ってもらう立場になりちょっと感動。“きっとまた来る来年も”と思いつつ桟橋の人達へ
手を振り石垣島へ(鳩間島⇒石垣島2310円)。
 
------------  港での見送り  ------------------------  港での見送り  ------------

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*八重山諸島の有人島でまだ訪れていなかった島。豊かな自然の残る島を歩いてみると
神聖な雰囲気が感じられ、どことなく久高島に似ている。普段は里子(里親)制度を行うなど
過疎化対策に悩む鳩間島。今回は音楽祭という賑やかな時に来て楽しいときを過ごせたが、
今度は人のいない時期にも来てみたい。
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≪END≫





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