「島の日記」

2001年11月、2002年5月

「西表島いりおもてじま

「2001年11月」
石垣島の離島桟橋から高速船で上原港に向かう予定だったが、あいにく上原行・船浦行と
もに全便欠航(西部への船は欠航が多い・・・特に冬に)。
大原行に変更して約45分かけて大原港に着き、港から船会社の送迎バスで上原へ向かう。
大原から上原までの道は海岸線に沿ってあり、左右を木々に囲まれた道が続いたかと思う
と海や川が見えてマングローブが顔をのぞかせる。1時間ほどで上原に到着。今回は宿を
決めずに島に来たので上原から「民宿あけぼの館」に電話を入れてとりあえず寝床を確保。
この民宿は宿の人も親切で食事も美味しく非常に居心地がいいし何より宿のすぐ裏に広が
る海がプライベートビーチ感覚で朝方散歩するととてもすがすがしい。宿の隣には「ひぬか
ん陶房」というパナリ焼の展示館もある。
 
-----------  あけぼの館正面  ----------------------  あけぼの館裏の海  ---------


宿に荷物を置く頃にはPM2:00近かったのでレンタカーを借りて西表島周遊道路の端から
端へ観光へ出かけることにして、まずは南側の端の「南風見田(はえみだ)の浜」に向かう。
上陸した大原港を過ぎてしばらく進むと集落がなくなり道幅が狭まっていき道路の終点へ。
3・4台しか置けなそうな駐車場に車をとめて100mほど木々がトンネルのように生い茂る道
を歩いていくと長く続く白砂の浜と遠浅の海が広がる。東屋がぽつんとある位で人も少なく
ほとんど手付かずの綺麗な浜なので砂浜に佇んでのんびりと過ごすには最適だし海水浴
やシュノーケリングにもよさそう。
 
--------------  浜への道  --------------------------  南風見田の浜  -----------


来た道を20分ほど戻ると道の左側に「古見(こみ)のサキシマスオウノキ群落」がある。
道から少し奥に入ったところに御嶽がありその裏手に群落が広がる。サキシマスオウノキは
根が板のような形をしている木で国の天然記念物にも指定されている。森の中だけに日当
たりが悪いからか土がぬかるんだところがあるので注意。


古見から少し先に進み左折した突き当りには「西表野生生物保護センター」がある。
イリオモテヤマネコの剥製や骨格標本が展示され、カンムリワシなど西表島に生息するそ
の他の希少な動植物についても生態をパネルで解説している。イリオモテヤマネコなど野生
生物の最新の目撃情報も掲示しているので情報を手がかりにすれば出会えるかも。
 
----------  サキシマスオウノキ  ------------------  野生生物保護センター  --------


周遊道路に戻り「西表島温泉」を横目に船浦・上原方面に進むと右側に「由布島ゆぶじま
の看板が見えてくるので右折。由布島は島全体が植物園になっている小島。島自体よりも
浅瀬の海を渡る交通手段である水牛車の方が有名で沖縄らしい情緒豊かな風景が見れる
観光コースの定番。今回は時間が無かったので島には渡らず水牛車の写真を撮るだけで
由布島を後にする。
 
-------------  由布島入口  ------------------------  由布島の水牛車  ----------


さらに直進して道路沿いに「大見謝(おおみじゃ)ロードパーク」の駐車場で止まってみる。
駐車場から少し歩くと大見謝川河口で、ここの岩場に座って川のせせらぎに耳を傾けている
と心地いい。傍には海を眺められる展望台もあるし、マングローブを観察することもできる。
この近くの道路で突然飛べない鳥のクイナが飛び出してきて轢きそうになったがスピードを
出していなかったので大丈夫だった。


船浦湾にかかる海中道路の手前に車を停め遠く左側の山に「ピナイサーラの滝」を見る。
ピナイサーラとは“白いひげのような”という意味で、遠目からでもその名の通り沖縄県一の
落差を誇るこの滝がよく見える。カヌーや遊覧ボート、または歩きでも滝の近くまで行けるそ
うなので行きたかったが残念ながら遠くから眺めるだけですませる。
 
---------------  大見謝  -----------------------------  海中道路  -------------


出発地点の上原集落を抜けて西表島の北の端に着いて駐車場からキャンプ場やペンション
に挟まれた道を降りていくと「星砂の浜」が広がる。小さい岩がいくつもある浜辺には探しは
しなかったが星砂が多いらしい。沖には大きな岩礁が浮かびその近くでは11月だというのに
泳いでいる人もいた。
また星砂の浜から5分ほどで行けるところにある「月ヶ浜」は浦内川の河口にあり浜辺が三
日月のように弧を描いているから月ヶ浜と呼ばれているそうで、昔海賊が宝を隠したという
言い伝えがある岩山などもあり素朴でいい感じ。
どちらの浜も波が穏やかなので海水浴やシュノーケリングに最適で、浜辺の雰囲気もよく落
ち着ける。
  
------------  ヒナイサーラ  ----------------------------  星砂の浜  ------------


浦内川を過ぎて「ヤエヤマヤシ」など動植物の保護区域がある干立(ほしたて)集落、さらに
祖納(そない)集落も通り過ぎて周遊道路の西の終点の白(しらはま)集落へ。ここから先は道路
が通っていなくてその先にある船浮(ふなうき)集落には船でしか行くことが出来ない。
 
---------------  月が浜  ---------------------------  ヤエヤマヤシ  ------------


上原集落でレンタカーを借りて南の終点の南風見田の浜まで行き、戻って西の終点の白浜
まで。上原まで戻ってきて、かかった時間がちょうど4時間で費用はレンタカー代4,000円
+免責保証代1,000円+ガソリン代1,000円の計6,000円。


翌日には「浦内川(うらうちかわ)観光」に出かける。宿の人に浦内川まで送ってもらい受付へ。
浦内川を遊覧船で上り滝を見学するコースで料金1,500円。朝9:30に遊覧船が出発し
川の両岸に根を張るオヒルギ・メヒルギなどのマングローブ林を眺めながら30分ほど川を
遡り船着場である軍艦岩に到着(船着場に到着してから出発するまで2時間あり、滝まで行
かない人は乗ってきた船で折り返す)。
ここから徒歩でゆるやかな山道をテクテク登っていく。緑豊かな山道は結構整備されていて
歩きやすく、30分ほど歩いたところで「マリュドゥの滝」(マリユドゥというのは“丸い淀み”と
いう意味)の展望台に到着。落差20mを2段になって流れ落ちる日本の滝100選にもなっ
ている雄大な姿を望めることができる。さらに展望台から10分ほどいくと滝の近くに出れる。
マリユドゥの滝から5分くらいで「カンピレーの滝」(カンピレーというのは“神が座る”という
意味)に着く。昔西表島の神々が談合した場所といわれるだけありどことなく神聖な雰囲気
を醸し出している。マリユドゥの滝ほど落差はないがゆるやかな段差の滝が200mほど続く。
ここに到着したのが軍艦岩からだいたい1時間くらい。そんなにゆっくり歩いたわけではない
のでのんびりしすぎると決められている滞在時間(2時間)内に戻ってこれないかも・・・
 
--------------  マリュドゥ  ----------------------------  カンビレー  ------------


観光が終わったのが昼時だったので近くの店に入り「ガザミそば」を食べる。ガサミがのった
ソバと黒紫米のご飯、デザート付。
宿に電話を入れて迎えに来てもらい一旦民宿へ。民宿から船会社の送迎バスに乗り大原港
へ行き石垣島へと戻る。

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*今回は1泊2日という短い日程だったのでゆっくりすることができず駆け足で通り過ぎるだ
けだったので、次回はせめて3・4日滞在して今回訪れることが出来なかった船でしか行け
ない船浮集落を訪れたりカヌーツアーやトレッキングツアーなどで西表の自然に触れたりし
てみたい。
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≪END≫




「2002年5月」
今回初めてのGW中の八重山旅行。朝6:30羽田発の石垣直行便に乗り9:30には石垣
空港に到着。前回来た時には改装中だった空港ターミナルもすっかり綺麗になっていて出
口を間違えそうになりながら空港バスに乗り離島桟橋に向かう。
11:00発の西表島東部の大原港行きに乗り出発。ちょうど昼時だったので大原港から歩い
て3分ほどの所にある「喫茶なんごく」に入り昼食をとる。この日食べたのはナーベラーチャ
ンプル(650円)。この他にガザミ定食、イノシシ定食(ともに1800円)などもある。


店を出てさらに2分位行った所にあるのが「民宿南風荘なんぷうそう。ここのおじさんは野鳥
などにも詳しく忘勿石の碑保存会長でさらに切手や紙幣を多数蒐集していて宿の中が資料
館になっている。
宿で自転車を借りて「忘勿石(わすれないし)の碑」へ。大原からみて南風見田の浜の手前にあ
る碑で、戦時中波照間島から強制疎開させられマラリアで落命した人々を弔う為の慰霊碑。
すぐそばには当時の波照間国民学校長、識名信升氏が戦争の悲劇を忘れない為に“忘勿
石 ハテルマ シキナ”と刻んだ石が残されている。
大原からこの浜までは結構坂もあるので自転車で3〜40分かかった。
 
---------------  南風荘  ---------------------------  忘勿石前の浜  -----------


翌日9:00頃「仲間川遊覧ボート」に乗るために1260円の乗船券を購入。徒歩2,3分の
ところにある船着場まで歩いていると道路脇に亀が歩いている。セマルハコガメかなとも思
ったが確認できず。個人客は団体客の乗る船に便乗するとのことで30分ほど船着場で待っ
ていると次々と団体観光客を乗せた観光バスがやってきて船に乗り込んで行き2,3隻出て
行った後ようやく乗ることができて出発。
ガイドのマングローブについての説明を聞きながら上流へと遡る。浦内川に比べ距離は短く
川幅も狭いがその分近くに川岸の植物を見ることができ蛇行するコースを20分ほど進み折
り返し点にある船着場に到着。ここで船を下りすぐ近くにある樹齢400年、日本最大という
「サキシマスオウの木」を見学。見学といっても木の周りは囲いがあり近付けず、狭い場所
に多数の観光客がひっきりなしにやってくるのでゆっくり見ることもできずに船に戻り来たコ
ースを帰る。仲間川遊覧、所要時間約1時間。
 
-----------  セマルハコカメ?  --------------------  遊覧ボート乗り場  -----------
 
-------------  仲間川遊覧  ----------------------  サキシマスオウの木  ---------


午後からは日本の最南端にある温泉「西表島温泉」に行くために水着を持って13:40の
大原発のバスに乗込む。30分ほど揺られていると到着してバスを降りる(大原〜西表島温泉
430円)。バスを降りると温泉の送迎車が待っていたのでそれに乗り込み温泉へ(別に車に
乗らなくても歩いていける距離だったが)。受付で料金1200円を支払い脱衣所で水着に着
替え(裸はダメです)て早速露天風呂へ向かう。赤瓦の露天風呂に川沿いにあるジャグジー、
大きなプールにサウナや水風呂など風を受けながら木々や川の流れを眺めて西表の自然
を堪能できる。また人もそれほど多くないのでゆっくり楽しめる。温泉を楽しんだ後は屋内の
レストランでビールなども。15:30に送迎バスに乗り15:50の路線バスにて大原へ。
 
-------------  西表島温泉  ---------------------------  西表島温泉  ------------


夕方食事まで時間があったので仲間川遊覧ボート船着場近くの桟橋まで散歩に向かう。
かなり潮が引いていたので桟橋から川に降りたりしてぶらぶらする。
 
-------------  仲間川河口  --------------------------  仲間川河口  ------------


西表3泊目は、西部の「干立ほしたて集落」にある「民宿海の家南ぬ風ぱいぬかじ。まだ新し
い宿で全室にシャワーとトイレがあり新鮮な海の幸と島料理が楽しめる。また唄者の南ぬ風
人まーちゃんの実家ということで宿の前に広がる美しい海を臨む浜でコンサートが行われた
りもする。干立集落は毎年旧暦9月に行われる「オホホ」が登場する国指定の重要無形民
族文化財である伝統行事「節祭シチが有名で、また天然保護区域として天然記念物のヤ
エヤマヤシなど貴重な動植物を保護していて集落を散歩すると道路脇や家の周りに多くの
木々を見ることができる。
 
------------  海の家南ぬ風  ------------------------  干立のヤシ  -------------
 
------------  干立の集落  --------------------------  干立の夕陽  -------------


翌朝、集落へと続く道路が無く船でしか行けない「船浮ふなうき集落」へ行く為宿で自転車を
借りて、途中電柱に止まるカンムリワシを見たりしながら西表トンネルを抜けて西表島の道
路の終点である白浜集落へと向かう。だらだら30分ほどかけて白浜に到着。白浜〜船浮
間は船浮海運の船が一日数便運航していて、料金410円(片道)を支払って始発の白浜発
8:35に乗り込む。船の客は自分だけで約10分で舟浮集落が見えてくる。
素朴な佇まいの集落内には静けさが漂い、休日の朝だからか人の姿も少ない。殿様節とい
う民謡にも唄われる「カマドマの碑」や船浮小中学校を見てから資料館「西表館」に向かう
が開いてなく西表館の裏あるイリオモテヤマネコ発見捕獲の地という標識を見ただけで仕方
なく集落の裏の海に行くことに。
 
-------------  カンムリワシ  --------------------------  白浜の海  -------------
 
------------  船浮海運の船  -------------------------  船浮の港  --------------


生い茂る林の中を10分ほど歩き涼しい木陰を抜けると浜に出る。白砂が続く浜には全く人
の気配も無く、聞こえるのは波音と潮風に揺れる木々のざわめきだけ。澄みきった海を見な
がら砂浜を歩いていくと浜の奥には岩場もあり大小のヤドカリが遊んでいる。しばらく浜辺で
ボーっとしていると西表島からのボートツアー客らしい一行がやってきたので集落へ戻る。
 
----------------------------  船浮の海、イダの浜  ----------------------------


帰りの船に乗り白浜集落に戻り干立に帰ることに。帰りは来た時に使った道ではなく白浜旧
道を通ったが結構上り坂がきつく自転車を押して上る。この道は季節になるとホタルを見れ
る名所らしい。途中干立とともに「節祭」で有名な祖納集落を通り浜の近くに浮かぶ小島「ま
るまぶんさん」や県指定建造物である「新盛家しんもりけ住宅」などを見てから干立に帰って
きたが昼食を取っていなかったのでそのまま上原にある喫茶「唐変木とうへんぼくまで行き、
いかすみで作った「すみ汁そば」を注文(850円)。食事の後近くの「月が浜」や浦内川近くの
展望台でのんびりと時間を過ごす。
 
--------------  祖納の海  -------------------------  まるまぶんさん  -----------


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*初日、2日目と少し曇りがちで雨もぱらついたが後半は晴れて青空も広がった。4日間とい
う日程で訪れたがまだ行ってなかった仲間川、西表島温泉、そして念願だった船浮集落も
訪れることができ、特に船浮の雰囲気は気にいったのでまた来たい。
※ガイドブックや地図では、干立集落は「干立」と「星立」、舟浮集落は「舟浮」と「船浮」と
表記方法が混在しているようですが、ここでは「干立」と「船浮」で統一しました。
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≪END≫





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