その1

ガンダム

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 宇宙世紀0079に完成した,RX−78ガンダム

ジオン軍のモビルスーツに対抗すべく作り出されたこのMSには,この当時ジオン軍の主力MSであった,MS−06ザクUにはない,様々な機能がありました。

 通常,ガンダムの長所を挙げるときには次の3つのポイントがあります。

MS初のビーム兵器携行

コアブロックシステム

教育型コンピュータ

これに加えて,「機体の汎用性」が挙げられるでしょう。それぞれについて考えてみましょう。

まず「ビーム兵器の携行」です。

ガンダムには主力武装として,固定式の頭部60mmバルカン砲,バックパック(当時はランドセルと言った)の2本のビームサーベル,そしてビームライフルがあります。このほかにもハイパーバズーカなどがオプションとして付きますが,基本はこの3つで,これらは、以降のガンダムタイプに受け継がれていきます。このうちビームサーベルビームライフルの2つが一年戦争時にガンダムを最強にしたと言っても過言ではないでしょう。

このビーム兵器2つは,荷電粒子砲の技術を応用したもので,当時は戦艦クラスが搭載していたにすぎません。このビーム兵器をMSクラスに持たせるためには優れたエネルギーCAPの開発が必要不可欠でした。

連邦軍にとって幸運だったのは,MS開発の父ともいえる,ミノフスキー博士のジオンからの亡命が挙げられるでしょう。このことにより,連邦軍のMS開発は進み,ビーム兵器搭載のMS誕生となるわけです。事実,ジオン軍はミノフスキー博士を失ったことで,エネルギーCAPの開発が遅れ,実用可能なビーム兵器を携行したMSは終戦間際に完成したMS−14ゲルググの登場を待つしかなかったのです(MS−15ギャンサ−ベルの出力が安定していなかった)。

当時MSは実質上ビーム兵器を防ぐすべを持たず,その装甲材ルナチタニュウム(後のガンダリュウム)と相まって,ガンダムは最強の矛と盾とを持って完成したのです。

次に「コアブロックシステム」です。

MSが完成した当初は当然ながら熟練のMSパイロットが連邦軍にいるはずがありません。このため物量に優れる連邦軍としては,MSそのものよりも,パイロットの命と,実戦データの保護が貴重とされました。特に初期RXナンバーである,「RX−75」「RX−77」「RX−78」の3種には,その実戦データから量産型制作時のデータを取る必要がありました。この必然によって生まれたのが,通常の脱出用カプセルよりも,より生き残る可能性の高いコアブロックシステムです。

コアブロックとは,MSのコクピットブロックが変形し,小型戦闘機になるという代物で,この開発にはMS以前の宇宙用戦闘機を作っていた会社が関わっており,かなりの高性能なものとなっています。ただしその性能に見合う高コストのため,量産型のMSには,残念ながら搭載されていません。

3つ目に,「教育型コンピュータ」です。

これは,ガンダムのOSに相当するものと考えられます。機能としては,「パイロットの操縦の補佐」「実戦データの収集」「量産型運用時の戦闘プログラム作成」等が考えられます。ですが未だに謎の部分が多いものでもあります。

最後に「機体の汎用性」です。

よく知られていることですが,モビルスーツとは「機動服」ということではなく,「戦術汎用宇宙機器」の略称です。このため本来MSは汎用といえば汎用であるため宇宙用の機体でも地上でも使えます。しかしガンダムのそれは異常ともいえます。

本来の機能は宇宙用です。ですが地上においてもその機動性は衰えず,驚くほど高くジャンプすることができます。また機動性は落ちるものの,水中でも戦えますし,驚くべきことにMS単体で大気圏突入・突破を果たしました(このときTV版では耐熱フィルムを,映画版では,耐熱フィールドという冷却ガスのようなものをそれぞれ用いました。今となってはフィールドの方がもっともらしいような気がします)。

もう1点付け加えると,「マグネットコーティング」が挙げられます。

これは,ガンダムの専任パイロット,アムロ・レイの能力に機体が追いつかなくなったときになされた改良で,各関節部に互いに反発する磁性体を塗布し,反応スピードを上げるというもので,これ以降のMSには標準装備となったようです。

以上のように時代の最先端技術を用いて完成したこのガンダム。この後継機達はどのように進化していったのでしょうか。


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