一年戦争終了後,ジオン軍残党掃討と反地球連邦運動壊滅のため「ティターンズ」が組織されました。この連邦軍エリート将校によって組織された特殊部隊は,「アースノイド(地球生まれで地球にすむ人々)」こそがもっとも優れた人種であるとの,一種ザビ家に近い思想のもと結成され,反地球連邦であろうと無かろうと,「スペースノイド(スペースコロニーに暮らす人々)」を不当に弾圧しました(付け加えますと月面にすむ人々はルナリアンと呼ばれます)。
このティターンズが,一年戦争のガンダム神話を利用し,自軍の旗頭とすべく開発を進めたのがガンダムMK−Uです。しかし機体テストを行っていたグリーンノアにて,反地球連邦組織(エゥーゴ)の将校クワトロ・バジーナ率いるMS小隊によって試験機体の3機ともが奪われ,以後エウーゴの主力MSとして使用されることになります。
なお,この時にクワトロ・バジーナに協力した,現地の少年カミーユ・ビダンが,後のMK−Uのパイロットを務めることになります。
エゥーゴは奪取した3機の内、3号機ただ1機を残して解体し,機体の分析を行っています。またこの際に機体カラーが,ティターンズカラー(ブラック,パープル)から,初代ガンダムに近い,トリコロールカラー(ホワイト,ブルー,レッド)に塗り替えられました。
ガンダムMK−Uは,ティターンズのスペースノイド排斥思想に基づいて,地球出身の技術者のみで開発されており,第2世代MSのなかでは,決して強いMSというわけではありませんでした。しかし,それでも,グリプス戦争,第1次ネオジオン抗争を通じて,それなりに戦果を挙げたのは,そのベースとなった、初代ガンダムの設計理念がすばらしいものだったためといえるでしょう。
新しく組み込まれた機能としては,
「360度・全天視界モニター」
「リニアシート」
「ムーバブル・フレーム」
「エネルギーパック方式のビームライフル」
を挙げることができるでしょう。
360度全天視界モニターとは,かつてRX−78−NT1「アレックス」に試験使用されていたもので,RX78−GP03「デンドロビュウム」で正式採用されたもので(なお,このGP03は存在そのものの記録が抹消されている。このため,史実では正式採用されたのはRMS−106ハイザックということになっている),コックピットを球形にし,その内壁をすべてモニターにしたものである。これによって有視界戦闘において第1世代型MSの視界を遥かに越えるものとなりました。
しかしその弊害として,見えすぎることによりパイロットが恐慌をきたすこともあったのです。
リニアシートは,コックピットシートを支えるアームを二重構造にし,その構造をリニアフロートシステムにすることで,パイロットにかかるGを緩和する働きをするものです。
これによって,今まで以上にMSを高スピードで動かすことが可能となったのです。
なお,ガンダムMK−Uは初代ガンダムに使用されていたコアブロックシステムを廃止し,この時代のMSに共通の脱出ポッドシステム(緊急時には球形のコックピットそのものを射出するシステム)を採用しています。
次にムーバブル・フレームです。
これは,第1世代型MSがいわば外骨格だったのに対し内骨格とでも言うべきもので,より柔軟な動きと,メンテナンスの効率の向上を図ったものとなっています。
とくにこのガンダムMK−Uのムーバブル・フレームは優秀で後のZ−ガンダムの開発に大いに貢献することとなりました。
最後にエネルギーパック方式のビームライフルの採用です。
初代ガンダムが携行していたビームライフルはジェネレーターから直接エネルギーを取り込むタイプでした。このため一度オーバーヒートすると,しばらくライフルが使用できなくなるという欠点がありました。
これを改良したのがカートリッジ型のエネルギーパックを使用する,エネルギーパック方式です。
この方式のもう一つの利点はかつてのジェネレーター直結方式では,ジェネレーターの状態によってビームの威力が左右されていましたが,このエネルギーパック方式では,常に安定したビームを発射でき,威力の調節もできるようになったのです。
さて次回は,いよいよ第3世代型MS,T.M.S(トランスフォーマブルMS・可変MS)の傑作機,Z−ガンダムの登場です。
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