タコのウインナーのような赤い筒状のガクとその中の黄色い花弁。
別名アカバナヒルギの名前どおり、無数についたその赤いガクが目立つ
オヒルギの林の足元では大きく湾曲した根が無縁仏のように地上に盛り上がる。
奄美大島以南に分布するマングローブ植物。
西表では最もマングローブ林を占有している種。
他のマングローブ植物より一際大きく、10bを超える高さのものも多い。
ヤエヤマヒルギほどの耐塩性はないのか、川の上流に進むにしたがって密度が高くなる。ただ、ヤエヤマヒルギ林が明るく、比較的疎らに生えているのに対し、オヒルギ林は暗く、かなり密に生える。陰樹なのかも知れない。
足元には、数も少なく、また短く広がりの無い支柱根を作るが、その根は一度地中に入った後、何度も地上に露出して屈曲しては再び地中に潜るということを繰り返す。
この屈曲した部分は木化して硬くなっているが、地中に這う根は非常に軟弱。
根の断面を見れば、空気を通す為のスペースが大きくある。見たところ、ヤエヤマヒルギの生える土壌よりもジメジメした更に緩い泥の地面(一層地中に空気が少なそう)に生えているが、その為に特化した、より空気を多く吸え、強固に支えることの出来る形の根なのかも知れない。
人が膝を曲げた形に似ているところから、このような形状の根を膝根と呼んでいる。
かって樹皮から防腐剤として用いられたタンニンを採ったり、染料を採ったりしたことは有名。
花は花弁は目立たず、赤いガクがよく目立つ。この赤い色が鳥を呼ぶ色らしく、オヒルギ林にはメジロやヒヨドリ等、多くの小鳥が見られる。
日本では珍しい鳥媒花でもある。
その為、雌しべの根元には黒糖によく似た味の沢山の蜜が収納されている。
他のヒルギ同様、胎生芽を作る。胎生芽は長いオクラのような形で、最初は緑色だが、熟すると、赤みがかってくる。よくウンカの仲間の虫が寄生している。
オヒルギの胎生芽。