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運が良ければ当たる。そういう珍しいモノも探してみましょう。こればっかりはホントに運だから、逆に初めての人にもチャンスがあるかもね。
ビーチコーミングもある程度慣れてくると、風向きなどで漂着物がたくさん上がりそうな浜がわかるようになる。するとこれぐらいのものは拾えるようになるものだ。9月の中旬のこの日はモダマが多かった。
ビン玉大サイズ。左下の煙草と較べてもらったら大きさがわかる。大サイズは目立ちやすい為、ビーチコーマー以外にもすぐ拾われてしまう。人の来ない海岸なら可能性は高いが、そう言うところには駐留米軍のビンダマニアが大挙して押し寄せ、軍仕込みの本格的な捜索で根こそぎさらって行ってしまう。
モダマ三種。左デブモダマ。中央オセロモダマ。右ヒメモダマ。ヒメモダマは西表自生種。デブモダマ(出戸命名)は他のものと較べて極端に丸っこく、また径、嵩ともに大きい。色も最も赤みがかっている。友達のイズミンさんによれば、これがいわゆるSeaHeart(欧米人が珍重)ではないかとのこと。中央オセロモダマ(出戸命名)は径はヒメモダマよりもやや小さいが、縁と中央の嵩がほとんど変わらない。故にオセロの駒から名付けた。若干丸みがあるぐらい。また、色は最も黒い。これが奄美にある所謂モダマなのだろうか。奄美産を見てみたい。ヒメモダマはこれに対し、縁が狭まり、中央には乳首状突起があり、色は少し茶色っぽい。モダマは南西諸島以外にも南には沢山自生していると思われるが、残念ながら外国産のモダマを見たことがない。現在は収集に止まっているだけで分別は出来ない。ただ、少しいつもと違うモダマを見つけた時はやはり格別嬉しい。
サルモダマ(出戸命名)。最初はなんだかよく分からないマメだった。まず形が歪。表面には波のような痘痕があり、形全体も波うっている。縁はカショウクズマメ同様ガマクチ状。但し、カショウクズの縁よりも狭まり、尖っている。何かのマメの奇形かとも思ったが、他に似たものがない点、同じタイプのものがけっこう見つかる点から、独立した種のマメであると断定。サルのようにしわしわで色も赤っぽいので便宜上「サルモダマ」と名付ける。その後、砂浜美術館サイト内の漂流物のページからヂオクレアの一種であることが分かるが、そんな名前は言いにくいのでサルモダマと僕は言い続けてます。この方が愛着もわくしね。
左アンガマモダマ(出戸命名)。中ヒメモダマ。右ピンクモダマ(出戸命名)。左はモダマによく似ているので奇形なのかも知れないが、同じものを幾つか拾っているので、これも西表の自生種とは違うものかも知れないと命名した。形は大体このように細長く、どちらかがすぼむ。表面にはこちらのお盆で用いられるアンガマの面(老人)のように皺が並ぶ。故にアンガマモダマ。その後、やはりこれがモダマの仲間ではなく、タシロマメ(別名シロヨナ)という別の木のものであると分かった。石垣と西表に僅かに自生している。
右は砂浜ではっと目を引く色。見た目そのままの命名。こちらもカショウクズ同様、縁がガマクチ状に。黒い2本線の間に黄色の線が挟まれた縁である。ピンクモダマの存在は島のマメを使ったアクセサリー屋さん、「工房ながや」の大理さんから聞いて知っていたが、その時は半信半疑。お客さんが見つけたもので彼の手元に実物がなかったからだが、いざこうして自分が見つけてみて興奮した。一番美しいマメだ。現在2個しか拾っていない。実はこれも左と同じジオクレアの仲間。
ククイノキの実。最初は胡桃の内果皮に似ている為、胡桃だと思っていた。しかし、何グルミか分からぬ為しばらくほっておいたら、これが胡桃でなくククイノキの実であることが砂浜美術館のサイトから分かった。僕は現在漂流物学会のMLに参加しているが、やはり一人で調べられることには限度がある。以下、砂浜美術館サイト内のククイノキのページより抜粋。
ククイノキ 常緑の高木で、大きいモノは樹高二十メ−トル、胸くらいの高さで幹の直径が五十センチほどにもなります。原産はマレ−シア東部ですが、熱帯各地でも広く栽培され、また野生化もしています。特にハワイとフィリピンには多いといわれます。日本では沖縄の植物園で栽培されているのを見たことがありますが、戸外でもよく生長し、結実します。種子から採れる油は、ペイント、ワニスなどの塗料原料や石鹸製造、とうゆ灯油など利用価値が高く、種子はキャンドル・ナッツとしてよく知られています。種子は黒色又は灰褐色で、直径2.5〜3.5センチ、扁球形で、表面には凹凸が多くあり、非常に硬くクルミの内果皮に似ています。
何かのヤシの実。上は横から。中は上から。下は下から撮影。何ヤシなのか。僕には分からない。大きさは5.5センチぐらいで非常に硬く、重い。ココヤシ同様に上方に顔のような3つの穴があることから、ヤシの仲間だと決めつけたが、違うかもしれない。
ところで、白浜にあるシェルというレストランは島の素材を使った家庭料理を作ってくれるお店だが、そこのオーナーのヒロコさんは、長年ビーチコーミングをされてきた人。彼女は貝が専門で、店内には所狭しと彼女のコレクションが並べられている。が、その脇には外側の繊維質を失い、硬い内果皮だけになったココナッツも並んでいる。彼女が拾ったものだが、彼女はこの内果皮の顔のような穴が可愛くてついつい拾ってしまうらしい。それぞれに個性があるそうな。彼女によれば、この穴はヤシが芽や根を伸ばす為の穴らしい。確かにあの硬い椰子の実を内側から突き破ることは困難に違いない。ココヤシではこの穴はもともと開いているものではなく、そこには薄い皮がある。これなら小さな力で突き破れる。
話がずれましたね。写真の実。名前分かる方、連絡ください。
オウムガイ。フィリピンなど熱帯の珊瑚礁や深海に住むらしい頭足類。即ち、イカやタコの仲間である。貝殻をもったイカと言えば、すぐに化石のアンモナイトを想像するだろうが、まさにその仲間。貝殻の内部は幾層にも隔壁で隔てられ、各々が空気を保持している為、死後も貝殻は沈むことなく、海流にのって漂着する。
しかし、発見するのは非常に稀。欠けていない貝殻はお宝である。
イルカの頭骨。砂浜を歩いていると砂に埋もれて、何か白く丸いものが顔を出しているのに気付いた。石かとも思ったが、念の為、掘り出してみる。
どうもおかしい。石にしては質感が軽い。しかもかなり深くまで埋もれているようで、指に触れる曲線は妙になだらか。
すわ!人骨か!と少々不安になりながらも全体を掘り出してみた。
間違いなく骨だった。
だが、ほっとしたことに人間のものではない。
盛口満さんに鑑定を依頼したところ、これはイルカの頭骨であるとのこと。中央の突き出た部分に上顎の骨が本来くるものらしい。イルカの骨の漂着は稀であり、誰かが埋めたものかも知れないとのことだった。
美螺三種。上サツマボラ。左ジュセイラ。右ショウジョウラ。いずれも鹿川湾の砂浜で拾ったもの。
鹿川は内湾であるが、湾に沿って延びるリーフの幅は狭く、その外は急に深く落ちる。海底は砂浜で海の色は不思議な緑色に澄んでいる。ここにはこのような美しい模様の小さな法螺貝の仲間が多いようだ。
特にジュセイラは国内では鹿川ぐらいでしか確認されていない希少種で、別名カノカワガイとも呼ばれる。
鹿川仙人と呼ばれた万年キャンパーのオジイがこの貝を集めては時折訪れる観光客に売っていたという話は有名。
オオジャコの貝殻。漂着ではないのだろうが、台風の後、砂浜の形が変わってしまった時に、忽然とその砂の中から巨大な容姿を現した。現在、沖縄県下ではほぼ絶滅状態だが、先頃、西表でも生息しているのが確認されたと聞く。こんな貝に海底で腕でも挟まれたら、と思うと恐ろしい。
非常に重たく、ひっくり返すだけでもしんどかった。八重山では記念碑的に飾られたり、手水用の洗面器代わりに何気なく用いられている。
ククイノキの仲間。Aleurites sp.。ククイノキの種子より一回り大きく、やや横に長い。縦には不連続な突起が縞状に走る。シナアブラギリやククイノキの種子と近い仲間で、やはりキャンドルナッツ。拾った時はそうでもなかったのだが、置いておくと、茶色く臭い油を染み出させ始めた。燃やしてみたいが、滅多に拾えないものだけになんとなく勿体無く、油まみれのまま、保管中。
クルミの種子。日本では至るところの砂浜で拾えるらしいが、西表ではかなり稀。沢沿いに自生していないので当然か。中国産なのだろうか、日本の鬼グルミよりやや大きい気がする。
オオバヒルギとヤエヤマヒルギの胎生種子。東南アジアのマングローブ植物オオバヒルギはヤエヤマヒルギの基本種。ごく最近になって、亜種としてヤエヤマヒルギが分別された。胎生種子はヤエヤマヒルギと外見の特徴はほぼ同じだが、一見してその大きさが違う。写真のもので74cm。大きいものでは90センチを越えるとか。ヤエヤマヒルギの2〜3倍に成長するのはさすが本場熱帯産。名前の通り、その葉もかなり大きいようだが、木自体は20メートルほどにしか成長しないとか。オオバヒルギの胎生種子を某所干潟に植えてみたが、発芽させることが出来なかった。なにか大きな環境の差があるのだろうか。
パンギノキの種子。バリ島など、熱帯地方で自生している落葉高木。同じ熱帯地方にパンノキがあるが、ややこしいことに全く違うもの。パンノキはクワ科で、英名 Bread-Fruit Tree.。その名のように果肉や種子を轢いて捏ねてパンのように焼いて食べるらしい。一方、こちらのパンギノキはイイギリ科の植物で、パンノキと同じような直径20センチほどの球形の果実をつける。
同じく食用にも用いられるようで、こちらはもっぱら種子のみを食べる。ただ、種子には青酸化合物が含めれる為、乾燥させたものを長時間茹で零すなどの特別な調理法が必要。
漂着は非常に珍しい。ところで、パラゴムの種子を見たことないのだが、これに似ているのだろうか。
ココヤシの実生。非常に数多く流れ着くココヤシだが、発芽は意外に稀。拾ったココナッツを置いておくだけでは発芽しないようである。上に書いた時間的経過以外にも重要な条件があるのだろう。また、砂浜では発芽しにくいようで、発芽したものは多く海岸林の中で見つける。ブラジル料理にココヤシの新芽のサラダがあるが、どんな味であろうと、想像中。
ニッパヤシの実生。こちらは漂流中に発芽するようである。よくこのように下部の繊維部分から発芽した状態のものや、発芽した芽が枯れ、中が空っぽになったものを拾う。因みに西表のニッパヤシの種子はこれらと比べ、嘘のように小さい。小さいとは言え、群落を形成しているのだから、更新が行われている筈だが、あの小ささで芽が出るものかと不思議になる。
左ヒメモダマ。上右Vカットモダマ(出戸命名)。どうにもいいあだ名が思い浮かばず命名に悩んだ不思議なマメ。上と右は別のマメのように見えるが、サイドのガマ口状の模様が同じ形状である為、同種として扱った。普通、サイドのガマ口模様は閉じた状態から広がって、また最後はすぼむというのが常識的だが、このマメでは上下2本の黄色いラインが、閉じた状態から広がったまま収束しない。マメのサイドを3/4周しながら、Vの字状態に取り巻いている。世界の漂着種子を扱ったいい外国本があるようなので、今度購入しよう。
ニッパヤシの株。株ごと流れてくるのはちょっと珍しい。川沿いのマングローブに生えるニッパヤシは東南アジアでは非常に有用な植物で、ニッパハウスと呼ばれる家を建てるのにその葉を用いたり、砂糖を作ったり、酒を作ったりするらしい。この株を観察してみると、無数の細い根の奥に、蛇腹状になったぶよぶよした部分があったが、触ってかなり気持ち悪かった。
ウッドローズ。ハワイ原産のヒルガオ科の植物の種子。西表にはグンバイヒルガオという海岸性のヒルガオがあるが、種子も確かによく似ている。
ただ、一回り大きく、長時間流れてきた為、毛がない。
ウッドローズを検索で調べてみて驚いた。
「欧米ではこのままむしゃむしゃ食べる。違法ドラッグLSDとほぼ同じ成分。サイケデリックはMM(マジックマッシュルーム)を凌ぐ・・・」などとある。ご丁寧に栽培方法まで書いてあるサイトもあった。
日本人はぁ!懲りないねえ・・・
探しに来たからといって、滅多に拾えるものではありません。
上段ワニグチモダマ。下段カショウクズマメ。カショウクズマメは西表には至るところに自生している。
が、ワニグチモダマはかなり少ない。これらの仲間はオオコウモリが花粉を媒介している為、彼等のいない場所では結実が見られない。しかし、西表にはオオコウモリは沢山いる。それこそかっては蛋白源だったぐらいに。にも関わらず、ワニグチモダマは結実が少ないようだ。何故だろう。
一方、漂着種子ということではワニグチモダマはかなり拾える。反対にカショウクズマメは少ない。西表ではワニグチは海岸林に。カショウクズは低い山地に群生しているが関係あるかも知れない。
因みによく似たこの2種のマメだが、ワニグチはマダラ模様が鮮やかで、右写真のようにサイドには凹状の黒いがま口模様がある。反対にカショウクズは比較的曖昧なマダラ模様にサイドには広い凸状の黒いがま口模様がある。ただ、両者とも表面は無地の模様のものもあり、サイドで見分けるのが無難。
左モモツブ(出戸命名)、右外国産シロツブ。日本に自生しているかどうか怪しいと言われるシロツブだが、海岸では明らかに国産ではないと思われる(ハスノミカズラタイプではない)シロツブが見つけられる。写真右のものなどは、扁平でかなり大きく、また色がグレーに近い。普段よく拾われるシロツブでもないだろう。
因みにシロツブの仲間は非常に色が豊かで、僕が見ただけでも、白、灰色、黄色、緑色、橙色とある。が、中でも左のシロツブは変っている。僕が漂着種子を扱った外国のサイトで調べても、この色のシロツブはなかった。
色は白にモザイクのように赤や桃色の点を細かく散りばめていったようで、非常に愛くるしい。それでいて、ちゃんとヘソを中心とした同心円がマメ自体を飾っている。間違いなく、シロツブの仲間だ。別にアカツブと名付けても良かったのだが、可愛らしさを表わす為に「モモツブ」と命名してみた。2003年度の初モノ。同年のフロリダ、Sea-Bean Symposiumにて世界初の採取例(暫定)としてイズミンさんにより報告される。主催者エドペリー氏の提案でアメリカでは「バブルガム・ニッカーナッツ」という名前に。ただし、今は亡きジョンデニス氏のワールドコレクション内にも見つからず、これが唯一の採集例なので、奇形、カメムシによる病気などの説も言われる。新種であることを願って、同じものを見つけた方はどうかご一報下さいませ。
ハンバーガー。Mucuna sloanei 。かなり見つけるのは難しいが、冬場にはこういう外国産の珍しいマメが上がる機会が多い。
見たままハンバーガーみたいなので、そう名付けてみたら、外国で漂着種子を集めている人達もこのマメを「Hamburger seed」と呼んでいた。Mucuna属のマメは熱帯に多く分布する種類で、カショウクズマメやワニグチモダマがそう。
面白いのは同じ物がアメリカ西海岸でも見つけられること。これは分布が広いのか、それとも海流の影響なのか。
まだまだ知らないマメがあり、そういうものがプカプカと今海を漂いながら、この島に向けて流れてきていると思うと、今日も北風の吹きすさぶ中、僕は早朝から海岸を歩かずにはいられなくなる。
Prickly palm.。最初拾った時は、ククイノキの仲間かなと思っていた。硬いし、黒いからだ。
形は横に広いスライム型(涙型)で、相当長い間漂流していたのか、表面には歪な痘痕がいくつか開いている。が、何気なくその痘痕を見ていて、並びが、椰子の実の発芽痕(下の顔状になった3つの穴)に似ていることに気付いた。もしやこれは椰子の仲間かも、と思っていたところ、友人のイズミンさんからこの名前を教えてもらった。直訳して「刺だらけの椰子」。ご覧のように種子には刺は見当たらないから、椰子の木自体に刺があるのかも。それとも、元は刺だらけの種だったのだろうか。あだ名は特につけていない。「プリックリー」で十分語感が楽しめるので・・・。
モダマ4種と中央モダマドロップ(出戸命名)。モダマも色々あるもんだ。再びモダマ特集。因みにここにはヒメモダマは入れなかった。右のものはデブモダマ。形の良いものは「SeaHeart」とも呼ばれる大きなモダマで、学名 Entada gigas.。中米コスタリカやメキシコに多いようだが、日本にも流れ着くのだから、アジアにも生えるのだろう。
中央上は径が小さいが、分厚さはデブモダマに匹敵するモダマで、相撲取りに喩えてアンコモダマ。分厚さが均一なものと僅かに中高のものとが確認できた。因みにこれを所謂モダマの標準とする人もいる。
左下はちょうどデブモダマとアンコモダマの中間を行くサイズ。径は両者の中間で、分厚さは均一で他のものより若干劣るが、丸っこく、色合いはアンコに近い。命名はもう適当。チャンコモダマ。
左上は黒褐色のモダマで、ちょっと見ればヒメモダマにも似るが、縁の幅が狭く、ヒメモダマが裾野の広い中高であるのに対し、テーブルマウンテンのように縁近くで急勾配を持つ中高。形も若干三角形に近い。でもってオニギリモダマ。