2008年2月2日 岐阜県
長良川・中央漁協管内各支流
〜解禁釣行〜


いよいよ2008年渓流釣り解禁。

最初に言っておこう。管理人は長良川の解禁釣行で、3・年・連・続・ボ・ウ・ズ、というあり得ないカウンターパンチをくらい続けている。

今年こそはなんとか一匹釣りたい。
人間は失敗から学ぶ生き物であると何かの本に書いてあったような気がするので、過去のボウズ釣行記を教訓に、作戦を立てることにした。


 まず第一に、過去の釣行記や、ボウズだったのでネット上に出る事無く抹殺された頭の中だけに存在する釣行記(ボウズ日記・・・・泣)を読み返すと、「釣れない」よりも「釣りが出来ない」ケースが大半である事がわかる。不戦敗が圧倒的に多いのである。
要するに、アマゴまたはシラメに対して、もっと単純に言えばライズに対して、フライをキャストする事さえ出来ていないケース、土俵に上がれていないケースが大半なのだ。

長良川でのミッジングと言えば、関観光ホテル前、美濃橋(赤い釣り橋)が有名ポイントとして真っ先に思い浮かぶ。
しかし、これらの有名ポイントで安定したライズに対峙できる可能性は極めて低い。

何故なら、数少ないライズの前には100%先行者が入っているし、そのような人は早朝、或いは前日から川原に泊り込んでいる(自分も時々やりますが、準備が大変で毎回は無理)。仕事か家族、もしくは人生のいずれかを犠牲にしている猛者達。
余程意外な所でライズが始まらなければ、それらのライバルを出し抜いてポイントを先に押さえる事など、まず出来ないだろう。当然、放流場所を見ていた地元釣り師もピンポイントで張り付いている。
さらに多くの場合、ショップやネットを通じた”釣り仲間”と団体行動している人達が意外と多く、ライズが安定して続けば仲間がすぐにやってきて、隣に強引に入ることも不可能。


遠方から、しかも単独で乗り込む多くの釣り師は、釣り開始の前に大きなハンデを背負っているのである。

まずはライバルを出し抜いて、ライズの前に立つ必要がある。全ての始まりはそこからだ。過去に管理人が成功したケースは、
 @放流した情報がほとんど出回っていなかった
 A誰もが注目する多数のライズ・魚影から少し離れたポイントでライズしていた

この2パターンだけ。

しかし、これらは狙って得る事が出来るチャンスではない。
自ら動いてライズと対面できるとすれば・・・・”長良川でのミッジングと言えば、関観光ホテル前、美濃橋(赤い釣り橋)が有名ポイントとして真っ先に思い浮かぶ。”・・・・これを逆手に取るしかない。
皆が狙うポイントと違う場所を狙う。
漁協のホームページや2/1に釣りをした人のブログを調べ、上記2箇所以外の数箇所のポイントに狙いを定めた。



6時に三重を出発し、9時前に岐阜県関市まで到着。今回は気温の低い午前中を全て情報収集に充てる事にした。

下流から見て回る。津保川の友釣り専用区間。新富津橋の下流付近。
かなりの数の餌釣り師が陣取っている。あまり聞かない場所だが、毎年これほど賑わっているのだろうか?

常に安定したライズがあり、その距離は足元〜15m程度と、余裕の射程距離内。しかも魚が下流に流されないようにするためか、一部はご丁寧にネットで仕切ってある。ただし、生活排水の流入があるのか泡立った水が度々流れてきて、水質はイマイチ。


ちなみに、このポイントは50m程の離して2箇所に放流されているようだったが、どちらでもライズがある一方、ミミズやイクラを水面直下に流してもあまり釣れていないようだった。

見た限りでは、ミッジを流せば一発で釣れそうな感じ。

餌釣り師の人にビクを見せてもらったが、皆さん20匹ぐらいは釣り上げている模様。多い人では60匹を釣っているそうな。川幅が狭く、水深もそれ程無いので、1週間もすれば釣り切られてしまいそう。
頻繁にライズしているポイントには、餌釣り師がピッタリと入っている・・・・と言うか、イスは持ち込んでし焚き火で暖を取ってるし焼酎で一杯始めちゃってるし(汗)、どう考えても場所が空く余地なし。

気温が上がれば魚も散ると考えられるし、人がいないところでも多少ライズしている。とりあえず、このポイントはいつでも釣れそうだったので保留し、別のポイントを見に行く。

関観光ホテル前。
はい、一目で厳しい状況だと分かります。ここではなるべく立ち込まないのが暗黙のルール(立ち込むとライズを遠くに追いやってしまうので、ライズが近付くまでじっと我慢するのが吉)ですが、皆さん胸まで浸かってます。

その背後では様子を伺うフライフィッシャーが10名ほど。
多分、かなり遠くでライズしていて我慢できなくなったのでしょう。こうなるとお手上げ。ギリギリまでウェーディングしつつ、さらにフルラインレベルでのキャストを完璧にこなす技術が必要になる。

その後、美濃橋と板取川下流部を見て回るがライズなし。美濃橋では毎年恒例の橋の上から海釣り仕掛けを流す餌釣り師もいない。
本当に放流されたのだろうかと疑ってしまう。


そうこうしている間に正午を回ったので、津保川へ引き返す。早朝から粘ってた人が数名帰っていったので、ライズしているポイント近くまで運良く入ることが出来た。

ハッチは#24ぐらいのミッジがポツポツ。朝と比べて数は減ったが、ライズはまだまだ続いている。
様子見として#20のCDC・フローティング・ミッジピューパをキャスト。

多少フライを疑う素振りを見せたが、パシャッとフライに出た・・が、すっぽ抜け。
この時点でフライフィッシャーは自分を含めて3名ほど。

気の良さそうなジイちゃんが後ろで見ていて「お!今のは食いついたな」とか「水面でバシャバシャしてる時は、高いミミズでも食わない」とか、色々と話しかけてくる。

結局、2回合わせ切れしたのでティペットを10Xから8Xに変更。ナチュラルに流れればアマゴの活性はかなり高いと判断した。

そして、ライズに流し込んだフライが、ようやく吸い込まれた。



バチャバチャと暴れる魚。背中に手を伸ばし、ランディングネットを・・・・えーーー!?今使うしかないのか?なんか勿体ないけど仕方ない。

おニューのランディングネット入魂。収まった魚・第1号は、2008年解禁翌日に釣れた放流シラメとなりました。

オリジナルデザインのハンドメイド・ランディングネット、近いうちに製作過程も含めてご紹介しますが、製作はカインネットさんです。1年近く待ちましたが、想像以上の出来栄えで大満足。ちなみに管理人のネットはvol98です。探してみてね。


1匹釣り上げても、ライズが止まる気配はない。むしろ、餌釣り師が固まっているポイントから少しずつこちらへ移動してきているようで、3〜4匹のアマゴが常に見えている。
上流側からライズにフライを送り込んで行くと、数匹のアマゴがフライを見に浮上してくるので、意識は完全に水面〜水面直下。餌より釣れる自信がある。

流し方を少しずつ変えて、2匹目を追加。

 

参考までに、ストマックをチェックしたところ、ゴボッと結構な量の捕食物が出てきました。食ってたのは全て右上のようなミッジピューパ。サイズは#22ぐらい。ボディが細め。
カラーはベージュと言うか、茶色と言うか・・・・ストリップド・ピーコックハール色(?)というのが一番近い気がするし、実際、ピーコックハールのボディが最も効果的でした。

釣り方には少し邪道かも。ダウンストリームでライズ近辺までフライを流し込み、20cmほどスパッと引いてフライを沈ませる。ポコッと浮かび上がるミッジフライに、アマゴが辛抱たまらないように浮上してくる。
引いた瞬間の素早い動きにも弱いようで、ある種反射食いのようなヒットもあった。

沈めるか水面直下を素早く引いた方が効果があるかも・・・。
フライをチェンジし、目の前に沈めると何匹ものアマゴが寄ってきて簡単にパクリ。

いやー、釣れます。ん?フライは何か?アマゴの口元に変なものが刺さってる?


・・・。



・・・。

チャートリュース・ビーズヘッド付きの管理釣り場フライ(汗)。冗談抜きで無茶苦茶効果的でした。ただし飽きられるのも早い。2日前まで養殖場にいた魚なので、管理釣り場パターンが効果的なのは当然ですが。

フライを黒のソフトハックルに変更し、さらに数匹を追加。不意に、「申し訳ないけど、横で釣らせてもらってよろしいか?」と声を掛けられた。
初老のご夫婦で、少し前から自分が何匹か釣ったのを見て場所を移動してきたとの事。

「どうぞどうぞ。僕の方が邪魔な釣り方してますので」

「いやー、すいませんねー」

かなり気さくな人で、今年の魚は小さいとか、午前中は沢山釣った人がいたけど午後はダメとか、あそこでライズ(最近、餌釣り師もこの言葉をよく使うな)していたとか談笑。

おじさんの目の前で1匹釣り上げると「へー、餌には興味ない魚が、毛ばりだと食うなー」
「時々、そういうこともありますね」
そしてリリース。

「そういえば、あなたは釣った魚どこに入れてるの?」
「?いえ、逃がしてますよ?」
「えぇーーー!?」奥さんも一緒に驚きの声。
「なんで?もったいない!ワシら頑張ってもっと釣って食べたいのに」
「なんでと言われましても・・・釣るだけで十分楽しいと言うか、ビク持って歩くのも面倒ですし。フライとかルアーの人は逃がす人多いですよ」
おじさんはともかく、奥さんは全く理解できないご様子。ご夫婦で釣った魚を逃がすという奇怪な行動について、色々と話をしていた。

この時点で、私はあの言葉が出るのを覚悟した。

「あのさ、逃がすならくれない?」

普段なら丁重にお断りする申し出だが、温厚そうな人柄と、なによりその年で夫婦で一緒に釣りをしているという、尊敬すべき夫婦円満さに敬意を表し、プレゼントすることにした。

「釣れました〜」  「お!すまんねー!」

「釣れました〜」  「ワシが取りに行くから持って来てもらわんでいいのに!」

多分、傍から見たら家族で釣りしてるようにしか見えなかったことだろう。2匹ほどプレゼントしたのでもういいかなと思い、釣れても声を掛けず、こっそりとリリースしようとしていると、おっちゃんが満面の笑顔でダッシュしてくる。

ライズも少なくなり、突然フライフィッシャーも増えてきたので撤収する事にした。

帰り際に奥さんから丁寧なお礼を言ってもらい照れ笑い。フライフィシャーの好感度アップになった気もするが「フライの人は頼めば魚くれる」という変な噂が広まってたらスイマセン。

 その後、板取川へ移動してポイントを見て回るが、アマゴのライズは見当たらず。その代わり、30cmくらいの黄色っぽい魚が2度ライズしたのでしつこく狙ってみたが釣れず。あれは何だったのだろう?鯉っぽい感じがしたけど。

午後4時過ぎ、イブニングライズを期待して美濃橋へ移動。
しかし、今思い出すと結局アマゴのライズは一回も無かったような気がする。立ちこんでいるフライフィッシャーが何人もいたが、夕マズメの最も期待できる時間にライズが全く無く、5時過ぎには殆どの人が引き上げた。

放流した魚が全く動いていないとすると、ホテル前と美濃橋は、もう少し暖かくなれば期待できるかもしれない。


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