9/9・10 長野県
太田切川 前編


「また来年、お邪魔します!」


とか前回言いながら、1ヶ月もせずに再訪する事になりました。
本当は一人で来るはずでしたが、「妻と娘置いて、自分一人で地ビール飲んで、ソースカツ丼食う気か!連れてけー!」という嫁さんからのプレッシャーに負け、またも家族3人旅行です。

実はこれ、我々夫婦にとってはかなりレアなケース。嫁さんが彼女だった期間を含めた7年間、二人で1年以内に同じ場所へ旅行に行くというのは、これまで殆ど無い。
釣りが出来て自然が綺麗で、その上メシもビールも旨い。観光スポットも多くある駒ヶ根を、二人揃って相当気に入ってしまったようだ。


 今回、この川へ一人で来たかった理由は、前回の釣行記を見たある方より、お薦めポイントの詳細情報を頂いたためだ(苦労の割に釣れてない姿を見て可哀想になった?(汗)

しかし、C&R区間とは異なり、入渓だけでも一苦労しそうな場所。初めてのポイントでもあり、普通に釣れば1日コース。

とてもじゃないけど、桃狩りやらソースカツ丼屋巡りなんて出来ない。


『とてもじゃないけど、桃狩りやらソースカツ丼屋巡りなんて出来ないよ?』

『大丈夫。わかってる。行く。連れてけ。』

・・・チッッ!



最近、日本語ではない独自の言語を喋り始めた騒がしい娘も乗せて、一路太田切川へ。
コンビニで翌日の日券を購入し、吊り橋の公園駐車場で車中一泊(女子トイレにオムツ替える台があるため)。

朝6時起床。最初の入渓ポイントの近く、車で行ける地点ギリギリまで進み、そこからは徒歩で移動。嫁さんには12時にここに戻ると約束する。

まずは入渓。話によると、この辺は序の口で期待しない方が良いとの事。ザッと流すが、予想外に岩魚が浮いてくる。2〜3匹ヒットしたがランディングには至らず。

粘ってみたかったが、ここでモタモタしていると、半日では核心部まで到達できない。一気に釣りあがる。


渇水気味・・?

徐々に渓相が険しくなってきた。しかし、大岩が連続するその様子は、一瞬三重県宮川上流部の各谷を思い出させてくれた。
見た目も似ていたが、急流で洗われた岩の表面は、ツルツルしていてウェーディングシューズのグリップが効きにくいのもソックリ。

壁みたいな岩があったので、助走を付けて一気に駆け上がったらツルツル〜〜って感じで滑り落ちた。
スキーの季節にはまだ早い。

写真じゃ臨場感があまり伝わらないが、「下手すりゃ死ぬな」ってポイントが数箇所。本当にここは序の口なのか・・?

途中、普通に通り過ぎようとしたポイントが気になった。ポイント上部には植物の蔓が垂れ下がり、誰もが嫌がりそうなポイント。きっと、狙った人は少ないだろう。

角度を計算してロッドを微妙に傾けた上で、超ナローループでフライを叩き込む。写真で言えば中心からやや左上、黒く映ってる影になった部分だ。

着水後、1秒・・・2秒・・・ダメか・・・水面爆発。少々ファイトの後、上がってきたのは割と良いサイズの岩魚。


写真を・・・

グネグネグメ・・おいおい、どこへ行く。

パシャリ・・・・・見えない。

暴れる魚を落ち着かせ、ようやく無事撮影終了。「よっしゃ」

しかし、後で確認すると、変なところを押してしまったのかボイスメモのモードになっていた(汗) 『よっしゃ』 「何がや・・」誰もいない谷で、一人虚しい突っ込み。


ここでフライを変更。#14ぐらいのカディスがハッチしていたので、アントをやめて茶色っぽいエルクヘアカディスを結ぶ。

この選択は正しかったのかどうか分からない。何故かと言うと、アントとたいして反応は変わらず(汗)
数匹バラシながらも、中型〜小型を数匹ゲット。

 

程なく目の前に、最初の難関である堰堤が見えてきた。メールによると、この辺りまで半日コースとの事だったので、かなりハイペースで登ってこれたようだ。



そして、ある事に気付く。

いつもなら「ふー、やれやれ」となって一服でもするところだが、皆さんご存知のとおり、管理人は現在禁煙中。代わりにガムは噛んでいたが、タバコを吸っていた時と比べて全く疲れていない。正直驚いた。

ハッキリと分かるほど、体力に余裕がある。まるで大学生時代の体に戻ったかのよう。
次のポイントへは、堰堤を高巻く必要があるのだが、これなら余裕っぽい。堰堤の真下に定位していた数匹の群れを狙ってみたが反応しなかったので、それらしい踏み跡を見つけ、高巻き開始。さらに上流を目指す。




・・・甘かった。

情報では、「堰堤を一気に巻いて」となっており「一気に巻けるルートがあるのかな」と思っていたが、違った。「根性で一気に巻け」が正解だったようだ(後述するが、本当はもっと楽だったのかもしれない)。

傾斜は軽く45度
。土につま先をめり込ませてないと滑落しそう。至るところにイバラが生えており、真っ直ぐ登る事もできない。しかも、薮で自分のいる高さを見失い、堰堤が見えず、どの辺りまで登ってきたのかも分からない。

そして、自分が突き進んだ道は踏み跡なんかではなく、大雨の際に水が流れた跡だと気付く。理由は簡単。水でぬかるんできたから(泣)

さらに最悪は続く。


体力が・・限界近い・・・・!

なぜ・・・・・。こんな事に・・・・(涙)



調子のりすぎた。巻く前に一休みすべきだった。さてどうしたものか。

とりあえず、木を背にしてもたれながらウェーダーを半分脱ぎ、熱気を放出。体力回復に努める。このまま登ればいつかは林道か道路に突き当たるはずなので、遭難の心配はない。

しかし、かなり登ってきたのに林道に当たらないということは、堰堤から離れつつ、斜めに登ってしまった気がする。

頭に地図を描き、進路を左前方に修正して薮に突入。

しばらくの格闘の末、無事に人間様の歩く道に出ることが出来た。

「ここ、どこだ??」手入れされていない道を川に向かって下りていく。すると、脱渓ポイントの目印であるはずの橋が出現。
脱渓ポイントから再度入渓するという、意味不明なコースを歩むことになった。


原因は明らか。超大回りで堰堤を巻いてしまったらしい。さすがに疲れ果て、ウェーダーを脱いで一休み。

何十匹単位かでバッタがピョンピョン。「フライは#12ぐらいでフォーム使ったテレストリアルだな・・・」





→後半に続く


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