7/23 長野県
阿知川


 金曜日に夫婦そろって夏休みをとったので、旅行に行くことになったのですが、木曜日の段階で予約さえしていないという、緊急事態が、そもそもこの川へ行くきっかけでした。



 候補地は色々あったのですが、下呂→ありきたり。高山→前に行った。熱海→遠い。城崎温泉→どうせ行くならカニが食える時期に。京都→どうせ行くなら松茸が食える時期に。伊勢志摩→論外(近すぎる)
という紆余曲折を経て、一度も行ってなくて・あまり遠くなく・温泉入れて・釣りができるという条件が全て揃った、長野県下伊那郡の昼神温泉に決定しました。(ちなみに白骨温泉は即却下されました。今行ったら絶対サービスいいのにねぇ)

 そもそも、今回は釣りをするつもりではなかったので(前々日は京都に行くつもりだった)、ロッドやウェーダーなどは持って行く気はなかったのですが、「綺麗な川があったら絶対釣りたくなるって!」という奥さんの勧めで、新しいフライは一本も巻いていませんせしたが、とりあえず道具一式を車に積み込みました。


ちなみに、釣りができる(岩魚やアマゴが釣れる)という根拠は、東海じゃらん8月号の262ページ(妙に細かいな、オイ)『昼神の夏:阿智川・・・サラサラと涼しげな・・・清流阿智川は夏にぴったりの遊びスポット。・・・ヤマメやイワナなどお宝魚を狙った渓流釣りができるのもファンにはたまらないポイント』と書いてあったからだ。

ま、普通に考えたら、こんな雑誌に載る情報なんぞ熟練フライフィッシャーの方々なら『( ゚д゚)、ペッ ! ほざいてろっ!』て感じでしょうが、川があって魚はいそうなので1時間ぐらいならやるか、というノリでした。

木曜に仕事を終えて、夜の11時に津を出発。1時間後、ある事に気がついた。









『デジカメワスレタ(泣)』。





この時、初めて携帯にカメラが付いてて良かったと思った。
そのまま運転を交代しながら走り続けて約3時間半、お互い眠気と体力が限界に達したので、恵那峡サービスエリアで車中一泊。

朝8時過ぎに園原インターに到着した。

インターを降りてすぐが、阿知川の支流となっており、見た感じ小規模ながらなかなか感じの良い流れ。
『全く釣れない事もないかな?』というのが第一印象だった。

そこから10分ほど走ると、昼神温泉郷に到着。近くの旅館で游漁証を販売していたので、日券を1枚購入することに。
『すいませーん。釣りの券ください!』
『はいはい。800円ね』(意外と安い!)
『どの辺りが釣れますかね?』

『うーん。まぁダム(※)より上流かな。インターより上ぐらい』

『ありがとうございます』

※インターから温泉郷の途中に、中規模の水力発電ダムがある

そして、もらった河川図がこれ。

まるでクモの巣のように広がる支流の数々。ちなみに、アマゴが釣れるポイントは「ア」、イワナが釣れるポイントには「イ」と印が書いてある。

1 初めて来た川で、
2 7月下旬の8時過ぎ、
3 気温は既に30度近く、
4 やや渇水気味で、
5 どこを釣ったら良いかさっぱり分からず、
6 天気は快晴。



これはどう考えても、岩○渓一郎を遥かに凌ぐ技術を持つと噂される管理人であっても(←誰が噂したんだよ)、釣れる気配は皆無。

近くの観光スポットを見たいという奥さんに、「1時間したら終わるから、適当にドライブしとって」と告げてインター付近から釣り始めた。フライはお決まりの#16ブラックアント

※写真は全て携帯で撮ってます。画質が悪いのはご勘弁を!

川幅広くて7m。水深深くて1m足らず。

小規模な川なので、ティペット・リーダーの全長は10ft程度にし、大場所だけに狙いを定めて大雑把に流すことにした。

1投目・・・パシャッ!。ま、カワムツだわな。

2投目・・・パシャッ!間髪いれず合わせ、難なくフッキング。・・?!グググググッ!おー!結構引くなー。・・?・・・!あ・あれ!!? 



普通にイワナなんですけど。

これは多分、新婚さんである管理人への神様からのプレゼントですな。
いやー、1匹釣れてヨカッタヨカッタ。これで帰れるわい。等と思いながら、釣り再開。水が結構綺麗で気持ちいい。

鼻歌交じりで釣りあがる。フンフン♪

再び、いかにも魚が付いてそうなポイント。フライをキャスト・・期待せずに眺めていると、ユラ〜。黒い影が浮上。
そそ、そんな馬鹿な!??もしかしてかなり魚影が濃いのか?

適当に流していたのをやめて、カーブキャストでドラッグを回避。


あっさり2匹目。

この瞬間、『1時間適当に流して、奥さんが戻って来たら、ビール飲んで蕎麦食って早めにチェックインして温泉三昧』(完璧オッサンです)という当初の計画は早くも修正され、『妻よとめるな、俺は奴等を釣らねばならん』に変更。


やっぱり簡単に3匹目。

奥さんにソッコーでメールを送る。『サイコー!!(^O^)』と、一言。
後で聞いた話では、この短いメールで旦那に何が起こったか全て理解したらしく、早くても12時までは釣り続けるだろうと思い、近くの漬物工場から飯田まで、長距離ドライブに出かけたらしい。

入渓地点は写真左上の草むら付近。ここまでで3匹の釣果。川の横はすぐ道路。
長野県のマイナー河川ってこれほど釣れるのか、もしくは、言いたくはないが、言いたくはないのだが俺様が上手すぎるのかー!!すぎるのかーすぎるのかーすぎるのかー(←空に向かって←誰か止めてやってください)

その後も魚はコンスタントに釣れてくる。右の魚は特にそうだが、腹がパンパンの魚が指サイズ、手の平サイズを問わず多かった。
「このままでは、自然河川で50匹釣れちまう!」などと、いらん心配をしていたら案の定、そこまでウマイ話がある訳はなく、パタッとアタリが無くなった。


突然アタリがなくなり、何となく写真を撮ってみるの図

しかし、おおよその見当は付いていた。原因はおそらく水温。
上の写真のポイントまで行く途中に、小規模な支流が流れ込んでいたので、その水がキーポイントではないかと感じていた。
すぐに引き返し、支流へ入る。水温を確認すると、明らかに2〜3度は低い。

支流の入り口で、すぐにイワナがこんにちは。これは再び期待できる。

渓相はこんな感じ。どこにでもある小規模渓流。岩すれすれと言うより、岩にフライをぶつけるぐらいの気持ちでキャストすると、どこからともなく岩魚が浮上してくる。

ただしアマゴと違い、非常にゆっくりとフライにアタックしてくるので、このような落ち込みの続く流れではすぐドラッグが掛かってしまい、岩魚がフライに追いつかない。
スレてはいないのだが・・・。

指サイズがポツポツ釣れるが、上の写真ぐらいのサイズになるとかなり引く。
この魚を釣った同じポイントで、ふと、あるポイントが気になった。

小さな落ち込みなのだが、上からの水が滑るように流れ落ちてきて、水のカーテンのようになっている。
気になったのは、水のカーテンの後ろ側。

フライを落ち込みの脇にキャストすると、うまい具合に流れに乗って水のカーテンの後ろ側にフライが入った。フライは当然よく見えないし、1秒もすればティペットが流れに飲まれてフライは沈む。

しかし、「お、うまくポイントに入った」と思った瞬間、フライが消えた。
ただ沈んだだけかもしれないが、反射的にロッドを立てると”ズシッ”と重たい手ごたえ。

2m四方の小さなプールを縦横無尽に暴れまわった主は、グッドサイズの岩魚。


25cmぐらい

すぐ上流に、越えられそうにない堰堤が現れたので、川から上がることにした。
最後の悪あがきにもう一流しすると、釣れたのは指サイズ。

よく見ると、背中の紋が少し流れている。ナガレモンイワナと言うほどではないのだろうが、ちょっと珍しかったので写真撮影。

すぐ横は道路の、ご覧のような細流。上のほうで紹介した河川図を見る限り、このレベルの支流は無数にあるかと思う。道路事情の良いこの沢でこの釣果。「釣り人の楽園」の2つや3つ、探せば多分あるでしょう。

川から上がると、時間はちょうど12時頃で、奥さんが近くまで迎えて来てくれたので一時撤収。

車の中でビールを飲んで、「来て良かった。ロッド持って来て良かった!」を連発。とりあえず昼飯ということで、近くの蕎麦屋で大盛ソバを1人前注文。
二人で仲良く分ける(並盛り2人前より、量も多くて値段も各段に安かったのだ!)


腹ごしらえも終わり、地図と睨めっこしながら移動。

先ほどの沢の上流でも良かったが、せっかく来たので新場所を探索。
20分ほど走って、近くに民家の点在する支流へ到着。

先程の支流とは違い、底石が黄色っぽい。
若干濁りが入っていて期待できそうに見えたが、何となく釣れる気はしなかったので「30分だけ釣る」と言い残して釣り上がる。

案の定、反応は多数あるが釣れてくるサイズはご覧のとおり。絶対ここにはいる!というポイントでも、真っ先に飛び出すミニサイズ。

何故かアマゴしか釣れなかった。
早々に見切りをつけ、別の支流に・・・と思ったが、予想以上に気温が高く(多分30度オーバー)体力も限界。
予想していたより遥かに沢山釣れたので、本日の釣りは終了とした。



昼神温泉に向かい、宿泊先旅館を確認。おー。適当に選んだ割にはかなり良いじゃねーか。

すぐ近くには、雑誌の情報どおり阿智川が流れている(さっきまで釣っていたのは阿智川の上流のさらにその支流ということになる)
旅館の前から橋が架かっていたので、川を覗き込む。





・・・な ん か、泳 い で る・・。

おそらく鮎、またはでかいカワムツ。こんな人通りの多い、川原で子供が遊んでる場所でマス・サケ属の魚がいる訳がない。
訳がない、が、確認するのが男ってもんでしょう。

即座に用意し、橋のかなり下流から再度入渓。
しかし、鮎釣り師がいたので挨拶して結局橋の少し下流付近から釣り開始。



50m程釣ってみるが、反応なし。
途中、流れが2つに割れていたので、木の日陰がある左側の流れに進む。

フライを木陰の部分にキャスト、2m程ナチュラルドリフトしたフライが、スポッと消えた。




確かな手応えと同時に、激しくローリングファイト。慎重に寄せてきた魚は、丸々と太ったアマゴだった。

温泉街のまん前を流れる川で、この時期にこんな魚が残っているとは・・・。恐るべし阿智川!
4月とか5月の最盛期は、かなりの魚影が期待できるのではないだろうか。

そのポイントから少し上流で再びヒット。

サイズは小型だが、変わった模様。縦長のパーマークと黄色っぽい体色は、まるでトラ。
30分ほどで、橋の下まで釣りあがり、チェックインの時間も過ぎていたので、次のポイントで最後とした。

丁度奥さんが戻ってきて、橋の上から釣りを観戦。2〜3度フライを流すと、またまたヒット。

サイズは小型だったが、人に見られている目の前でバシッと釣り上げるのはやはり気持ちいい。

初めて来た右も左も分からない川にしては、十二分に満足できる釣りを楽しめた。
来年あたり、もう一度最盛期に来たい川だ。


おしまい(^o^)/




と、爽やかに終われば問題なかったのですが、この後地獄が待っていた。

昼神温泉は、提携している温泉十数か所を自由に巡れる、「湯巡り手形」という制度がある。
奥さんは当然楽しみにしていて、「最低3箇所は回る!」と張り切っている。

方や、朝から川の中を歩き続け、既にヘロヘロの自分。

1時間後、汗だくで視点が定まらず、足元がおぼつかない男と、やたら元気な女性が温泉街を徘徊していた・・。


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