SAGE TXL(#2)


 購入当初からレビューを書くと言いながら、紹介するのを完全放置されていたセージ・TXL。

某オービスロッドのように、「書くのをサボっていたらモデルチェンジしてました」という情けない事態は回避できた事を喜びたい。

とりあえず、昨年の冬に入手(形式的には娘からの誕生日プレゼント。10月ぐらいの日記参照)してから管理釣り場・解禁当初のミッジング・盛期の釣り上がり・夏の叩き上がりと実戦経験も豊富になってきましたので、悪い点も含めて詳細にお伝えしましょう。



一言で表現するなら「かなり良いロッド」です。

素直に褒めてる時点で、このサイトではありえない。と言うか怖い。SAGEから金貰ってるんじゃないかしら(クレ)
手持ちの低番手ロッドは現在4本あるが、気がついたらこのロッドしか使っていない。3ピースの持ち運びの良さもあるが、特筆すべきはその使い勝手だろう。


まず、飛ぶ。(XPでも同じ事書いたような・・・)

飛ばないSAGEロッドなんて翼の無い飛行機みたいなもの(←それ飛行機ぢゃねーよ)。低番手に特化した日本仕様ロッドとはいえ、やはりSAGE。ユーザーが期待する部分はしっかり押さえている。

#2ロッドでも普通の#3ロッドと同等か、それ以上のキャスティング能力は間違いなくある。
管理人は1番手上の#3ラインを何度か試したが、全く問題なく使用可能なので、場合によっては2番手上のロッドと同等のキャスティング性能さえも秘めているかもしれない。

 アクションはセージのロッドとしては断然柔らかいと思うが、バットはかなりしっかりしていて、フリーストーンやアルトモア等、日本のスタンダードロッドを愛用する人から見たらかなりファーストアクションに感じるかと思う。
と言うか、知らずに振ったら2番ロッドでも「4番?」と思われるかもしれない。

ジェネレーション5テクノロジー(短冊状に切ったグラファイトシートをマンドレルに貼り付けていく手法らしい)か何か知らんが、抜けの良さは天下一品。振ったロッドは変にぶれる事が無く、スカーンとラインをすっ飛ばしてくれる。

実際、ロッドのトルクはかなりのモノで、管理釣り場でラインを出した状態からインジケータ+ウェイト入りニンフを一気に引き上げ、隣のポイントへワンキャストで運ぶ事が可能。「#2だよな?本当に」と思わず疑ってしまう。

当然、40cmオーバークラスのニジマスでもガチで引っ張りあえる腰の強さを備えている。

魚を掛けた時の感触としては、20cmクラスが掛かってもバットからゴンゴン大げさに曲がってくれるジャパニーズロッドとは異なり、不感症のおんn コホン、失礼しました。冷静沈着な紳士のように、サイズ相応に然るべく曲がり方しかしてくれません。

が、釣って楽しくないのかと聞かれたらそうでもなく、変にグネグネ曲がるロッドより魚の動きがダイレクトに伝わってきて面白い。魚の動きをロッドが吸収しにくいので、バレやすい事があるかもしれないが、そんなものは手首の動きとロッドワークで何とかせい。

このロッドの購入を検討している方で、素振りする機会が無いなら、自分がイメージしているアクション-1番のロッドを買った方が良いかと思う。
管理人は#3を買おうと(プレゼントしてもらおうと)していたが掲示板で「#2ぐらいの方が良い。#3は少し硬い」と教えて頂き、#2に決めた。この判断は大正解だったようで、日本のロッドの感覚で言えばSAGE TXL#2は#3.5といった印象である。
TXLの看板商品である#0や#00でも、想像以上に普通に使えそう。新モデルの#000はどうか知らんが。



飛ばすことに関しては秀逸な完成度を誇るが、小技に関してはイマイチ融通が利かない。

ロールキャスト。
出来なくはないが、期待しないほうが良い。管理人は後ろのスペースが全く無いならボー&アローキャストで対応している(TXLだとやりやすい)。3〜4mは余裕。
もしくは1mほどラインを垂らし、リーダー、ティペットのみ着水した状態で一気にキャストする(名付けて空中ロールキャスト?)。
まぁ、「できなくはない」という表現を使えば、#8のロッドで山岳渓流での釣りが出来なくも無い訳で、その程度のレベルだと思っていただければ結構かと。

メンディング。
着水後のライン操作は一苦労。空中でラインを曲げるか、リーチキャストを駆使しましょう。TXL専用ラインのクワイエット・ダブルテーパー(QDTライン。管理人使用してます)の場合、ベリー部分が細いのでさらにやりにくい。通常のDTラインならある程度は出来る。


ラインを30cmぐらい出した状態、またはリーダーティペットだけで目の前1m以内にキャストするような、提灯釣りに近いやりかたも苦手。ティップは案外繊細な作りになっているが、ロッド全体の復元スピードが速くてかなりむずかしい。

しかし、小技に関しては一歩譲るものの、それを補って余りある投射能力。
実際、15m以内ではピックアップからそのまま次のポイントへキャストする事が容易で、スローアクションロッドではかなり疲れる釣り方を、難なくこなすことが出来る。

このロッドが最大限に力を発揮するのは5〜10m程度の近距離。山岳渓流では最も実践的な距離だと思うが、手当たりしだいに、例えるなら矢を射る感覚でポイントにフライを撃ち込める。いざとなればロッド・ラインの番手以上の遠投性能も秘めており、#2ロッドでも中流域までカバーできそう。

渓流で最も頻繁に狙う距離での性能を最大限に高めているってのは明白で、コンセプトは猫でも分かるほどハッキリしている。確かに、ロールキャストの出番なんてそれほど多くはないし、管理人がロールキャストを使うケースは、岩にフライが引っ掛かった時が95%を占めている。


ゆったり、ふんわりとキャストしたい人は絶対に買ってはいけない。釣竿と言うより、飛び道具と言った感覚かもしれない。
バンブーロッドユーザーが触ったら、じんましんが出るかも。

 

仕上げに関しては丁寧ではあるものの、繊細とか綺麗とかそんな言葉はどこを捜しても見当たらない。仮にも7万近い価格なんだから、もうちょっとねぇ・・・。

ついでに、TXLのみならずSAGEロッドは、殆どの店でびた一文値引きしない強気の販売。値引きして売った店は取引停止だとか何とか、黒い噂は絶えない。


値段や仕上げなんて初めから分かっているし、釣りには関係ないので管理人がもっともダメだと思う点。

それは・・













金のLBに見える(懐かしいな、オイ)。




つーか、実際間違われました。「あ、それI's3LBの限定色のやつですよね」だとさ。「いや〜ちょっと違いますかね〜」とか答えてみたけど、お前の視力は-1.5か。全然違うやん(汗)


総論として、このロッドは「渓流で最もよく狙う距離での性能を、極限まで高めたロッド」だと思う。

流行廃りで同じようなアクションが溢れかえる日本のフライロッド業界で、低番手でもスパッと飛ぶ明確なコンセプトと性能はさすがの一言。海外ロッド大嫌い人間だった自分が、SAGEロッドの魅力にはまった理由が分かってきた。



ロッドから設計者の狙いが伝わってくる。


財布に余裕があり、ロングティペットリーダー用のロッドに疑問を感じている方は是非手に取っていただきたい。目から鱗がバラバラと落ちること間違い無しである。






++オマケレビュー SAGE クワイエット・ダブルテーパーライン++

QDTラインに関しては直進性抜群。一番手上のラインと同等かそれ以上の飛距離を叩き出すので、TXLには正にベストマッチのラインかと思う。

ただ、前記のとおりTXLのアクション自体がトリックキャストを苦手としているので、メンディングやらロールキャストには少々手こずる。SAGEよ、お前は前しか見ていないのか(小技を重視する人がこのTXLやこのラインを買うとも思えんが)。

ラインの耐久性・浮力は大手メーカーのモノと同等か、平均レベルって感じ。多分どこかに外注しているんじゃないだろうか。

通常のダブルテーパーと異なり、先端から徐々に細くなっているのが特徴。なだらかなWFラインと言った感じか。同じレベルで語っていいのか分からないが、3MのWWF(ダブルウェイトフォワードライン)に比べると自然なテーパーデザインで使いやすい。#2では考えられないような遠投能力を発揮してくれる。

しかし・・・正直言うと、通常のDTラインのほうが使いやすいような・・・・・。
TXLだと、DTラインでも普通に”かなり”飛ぶんですよね(汗) メンディングもしやすいので、生粋のSAGEファンで無いなら、DTラインで良いかと思います。メンディングもしやすくなるし。


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