〜自主放流活動へ至る経緯〜
地元を流れる、三重県・安濃川の漁業協同組合が解散した事を知ったのが2005年3月。
生まれて初めてアマゴを釣らせてくれた、そしてフライフィッシングを教えてくれた川は、管理者のいない、そして鮎・アマゴが全く放流されない川となった。
市街地からのアクセスが容易にも係わらず、かつてのこの小さな川には、小型ながらアマゴが溢れていた。
普通に考えれば、安濃川は本格的な渓流釣りを楽しむ川ではない。管理人も含め、地元のフライフィッシャー、渓流釣りファンは県内の宮川や櫛田川、又は他県の川へ足を延ばしていたことだろう。
数が釣れる訳ではないし、大型も期待できない。川幅は狭く、ロケーションもよくある護岸された川だ。
所々には不法投棄された粗大ゴミが散らかっているし、川沿いの道路には引っ切り無しにドライブや行楽客の車が走っている。
なぜ、そんな川で自主放流をしようとするのか・・理由は簡単。
【この川が好きだから】だ。
高校から始めたフライフィッシング、アマゴ釣りの以前に、小学生の頃は中流域でオイカワ釣りを楽しんだ。中学生になり、汽水域でハゼやセイゴを釣っては家に持ち帰り、天ぷらにして美味しく頂いた。
河口付近ではシジミも取れる。バケツを持って半日頑張れば、夕飯で美味しくいただくぐらいの量は採れる。
今の時代、このような恩恵を与えてくれる自然の川は、何物にも替え難い貴重な宝だと思う。
「昔はこの川でもアマゴが沢山釣れた・・・」
そんな昔話にだけはしたくない。そんな昔話を、自分は何度聞いてきたんだ。今度は自分がそのセリフを言う立場になるのか?
それだけは嫌だ。
先の台風で甚大な被害を受けた三重県・宮川は大丈夫だ。漁協関係者をはじめとする、熱意と行動力、強い志を持ったサイト運営者や市民があの川を支えている。
しかし、安濃川はどうだろう。全国各地どこにでもあるような、このような小規模河川は。
漁協が解散した翌年、游漁が無料となった平成16年には、かなり多数の釣り客が押し寄せたという。そして平成17年、釣り師が姿を消し、同時にアマゴの数も驚くほど激減していた。
人間の欲深さか、”タダ”という言葉は、こうも卑しく人を駆り立てるのか。
地元のアマゴが釣れる川を、環境を残したい。
発眼卵放流。
卵が全滅して終わりかもしれない。夏が越せないかもしれないし、上手くいっても結局、釣られて持ち帰られて終わりかもしれない・・・。
三重県のフライフィッシング環境の改善・発展を目指して、ほんの少しずつ頑張っていこうと思います。