2013年11月16日 三重県
安濃川発眼卵放流


実施するかどうか迷った今回の発眼卵放流。

 2012年の秋、台風で川がかなり荒れたため同年の放流は見送り。
 ちなみに、この台風の後、電気ショッカーでのアマゴ生息数調査が行われ、激減はしているものの多少の個体は残っていることが確認された(釣りでもアマゴは釣れたが、小さい魚は1匹も釣れなかった)
 そして、記憶にも新しい2013年9月の台風。死者まで出た、過去最凶レベルの被害は、昨年の復旧工事で新設された護岸を再度剥ぎ取り、道路や護岸が相当に荒れてしまった。

↑護岸の白っぽい部分は、昨年の台風で流された部分を、付け足した
(直された)箇所の残骸。今回の台風で、修復箇所が剥ぎ取られた。
 ↑同じく修復されたばかりの護岸が流され、道路下部まで浸食。
例年、発眼卵放流場所はこのすぐ上下流になる。

 その後の調査で、例年放流していた区間は、アマゴがほぼ姿を消している事が判明。「魚が減ったならば放流しよう」という簡単なものではなく、川自体が荒れており、しかも継続的な復旧工事が予想され、魚が生きていくには厳しい。

 一方で、人工物に目をやれば確かに被害は大きいが、川の状態としては、砂礫は多く堆積したものの、私が台風の事を知らなければ「少し水が出たかな?」程度の状況。
おそらく、ここ数年の大水で、流されやすい軟弱な土砂や岩盤は殆ど流失し、大規模な荒廃には至らないのかもしれない(むしろ露盤化の方が心配される)。

 下流部。砂の堆積が多い 比較的上流。まだマシな方? 

 アマゴの放流自体は可能のように感じる。逆に問題なのは、かつて50年に1回とか言われた100mm/hレベルの異常な集中豪雨が、間違いなく1〜2年に1回の”普通の事”になりつつあることか。 この豪雨に準じた形に川が浸食されるまで、隠れ場のない渓魚には不遇の時代が続きそうだ。

 結局、安濃川で継続的・安定的なアマゴの増殖、再生産は、数年に1度リセットが掛かるため、あまり期待が持てないという結論に達しつつある。川さえ荒れなければ、穴場と呼べるほどアマゴは増えるようだが、こうも頻繁に無慈悲な大雨が降るとなると、考え方を改めないといけない。

 いずれにせよ、アマゴの個体数が相当減ったのは間違いなく、地元の川でのアマゴの魚影を維持するため、状況は悪いが無理を承知で5000粒の放流を実施する事にした。
多分、このまま自然に任せておくと回復に10年以上はかかってしまう。


11/16 放流日当日、三重大の学生さんらと合流し、準備に取り掛かる。なお、発眼卵の数は養魚場の都合で、4500粒という微妙な数になった。

よく考えたら2年ぶりの放流のため、前日は結構準備が大変だった。
作って、かれこれ7年経過したボックスが、ついにプラスチックの劣化により崩壊。作り方紹介の画像でも出てくる水色バージョン。
まぁ、100円少々でこれだけ持てば十分でしょう。崩壊の一番の原因は、軒下に野ざらしで保管されてるからだけど(汗)

あと、買おう買おうと思いつつ後回しにしてたら、夏休みシーズン終了に伴い、ダイソーから虫かごが無くなったのも痛かった(泣)


イクラ丼ではない

8カゴに分けて放流。
途中、近所のおじさんに温かいジャスミンティーの差し入れを頂く。
放流に参加した一同、ジャスミンティーなんて高貴な飲み物に接する機会がなく、旨いのか不味いのか正直分からなかったが、お湯の中で花を咲かせるように広がる茶葉(?)を見て、「何だかよくわからんが、これはどうも高そうだぞ」というのは全員感じた。ゴチソウサマデシタ。

カゴの中に小石を詰め、大きめの石で囲って終了。発眼卵放流のメリットは、コストもさることながら労力が掛からないのが大きい。


11/21 放流1週間後の見回り。・・・川の様子がおかしい(滝汗)

もう、何が起こっているかは大体わかる。そのまま上流へ車を走らせると、通行止めの上流から重機の音。そして泥水に沈む発眼卵。

ぶっちゃけ、笑えてきました。下流で結構工事があったので、上流の工事は来年かと思ってましたが、道路の復旧が最優先で進められている模様。
ただ、1年間に直した護岸があっけなく流されたので、今度は前回と違う、丈夫な補強をお願いしたいところだ。

発眼卵の水中写真。濁りで殆ど映らない中、手を突っ込んでフラッシュを駆使して撮影。とりあえず、全滅はしていない。


12/8 懲りずにまた安濃川へ。 工事が一段落したのか、濁りは無くなっていた。ずっと濁り続けてたらカゴが土砂で埋まりそうだったので、ちょっとだけ安心。

孵化の状況を確認するため、石をどかしていくと、カゴの横で何か動いている。

石をどかしていくと、見慣れたお魚が慌てて隠れようとしている。

卵が割れる際、その匂いで釣られて潜り込んだのだろうか。
もしかしたら生まれたての稚魚を食べてしまうかもしれないので、丁重に10mほど下流へ移動して頂いた。

前途多難ですわ。


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