アマゴ発眼卵放流
2011年11月24日 三重県 安濃川
昨年は、ゲリラ豪雨によってボックス(卵)が殆ど流失してしまった。ハッキリ言って失敗である。
後日の調査結果だが、昨年放流した卵から育った稚魚は、耳石のALC標識を調べたところ、25個体中1匹だったとの調査結果を学生さんから頂いている。
当歳魚(1歳になる直前)の生存率は、過去の調査結果からすると12%〜25%。捕獲した地点や数が限定的なので、正確な生存率とは判断できないが、それでも4%は低すぎる。
発眼卵放流の大敵は、やはり冬の大雨だ。
あまりにも低すぎる前回放流魚の生存率。
これを逆手にとって、向こう数年間発眼卵放流を休止し、個体数の変動を調査しようという考えもあった。個体数が減らないなら、発眼卵放流はそれ程効果がないことが分かるし、魚が激減するなら、もっと効率的な方法を考える必要がある。
しかし、6年続けてきた活動でもあり、運良く大学の協力を得られ、他の自主放流活動に比べ、圧倒的に専門的な追跡調査を続けられている。
「今切るのは惜しい」「継続は力なり。」
しかし、そう判断した矢先、深刻な問題が発覚した。
発眼卵を仕入れていた美杉の養魚場、台風12号の被害で親魚が全滅し、今年は卵が採れないとの事。
県外から仕入れるかという案もあったが、自己満足のレベルであれ、やはり三重県の川のアマゴにこだわりたい。運良く、美杉の別業者で5000粒の確保が可能となり、放流にこぎつけることが出来た。
が、別の問題が勃発。
発眼卵放流には、タイミングがある。眼ができて、卵膜が硬化し、短時間であれば水が無くとも運送に耐えられる時。これは水温と関係するので、人間の都合では選べない。
メール:放流日は11月24日に決定です。
返信:すまん。仕事で無理(汗)
安濃川で発眼卵放流活動に取り組んで初めて、学生さんに放流を委ねました。
いやー、釣りのために仕事休むとか、恐れ多くてそんな事年に数回しか出来ない私ですけどね、この日は流石に洒落になってなかった。
「俊はどうした?」
「なんか魚の卵撒くとか言って休んでますが」
「よーし、さっさと奴の机を片付けろ。換りに書棚置くぞ」
「いいんですか?」
「魚がでかくなるまで、そのまま川にいろと言っておけ。本望だろう。」とか普通に起こりそうな状況。社会人たるもの、家族もプライベートも犠牲にして仕事しなきゃならない日だってありますよ。
本当にスンマセンでした(泣)
以下は学生さんからの写真提供です。+++
今回のテーマは「集中放流と稚魚の流下」
ななななんと!毎年一応テーマを設けて放流しているのです。モチベーションの維持と新たな発見に繋がります。
初期の頃はボックスの改良、次は直播きに関する実験が多かったのですが、ここ数年の捕獲調査で、稚魚がかなり下流へ流される(自分から下ってる?)事がわかりましたので、それなら上流一カ所へ放流すれば、川へ万遍なく散らばるんじゃないかと。
発眼卵放流は 低コスト 低労力 高効率 がモットーですので(ホントか?)、放流ポイントを1カ所に出来るなら非常に楽に放流できます。
ただ、1カ所に放流すると言ってもボックスは細かく分けます。虫かご型の場合、計算上640粒まではOK。適正数は少し余裕を持たせて500粒ぐらいでしょうか。
放流完了の図。
今回は流失防止のため、ピトン(ハーケン)を打ち込んでボックスを固定しているとの事。
12/17 途中経過観察。
12月も半ばを過ぎると、流石に大雨は心配ない。このまま無事に春を迎えてくれることを願う。