Q1:病院は初めてなんですが、避妊(去勢)手術を受けたいんですが。
病院によって、推奨している月齢
は違いますが、生後6ヶ月を過ぎていれば、受けられると思います。ただ、その前に一度、病院にお連れになって、簡単な健康診断と、予防注射を受けて下さ
い。ワクチンを打ってなくても手術される先生もいるようですが、病院は病気の猫が集まるところです。また、手術のストレスで、体調も崩しやすくなっていま
す。防げる病気は防ぎましょう。
来院した時に、手術の日程を相談すればいいでしょう。
(→ワクチン)
|
|
Q2:雄猫のスプレー行為は、去勢で直りますか?
必ずしも、直るとは言えません。
ただ、試してみる価値はあります。スプレーを始めてからあまり経っていなければ、効果が高いようです。スプレーを始める前に去勢手術を受けてしまえば、ほ
とんどの猫はスプレーをしないようです。
去勢手術は、ケンカによる外傷やウイルスの感染を防ぐといった利点があります。猫ちゃんのためにも、手術を検討してみてください。(→避妊と去勢)
|
|
Q3:「サナダ虫」が出ます。市販の薬をあげたのですが、まだ出ます。薬だけもらえませんか?
市販の駆虫薬は回虫などの一部の
線虫類しか落とせません。虫が出たら、まず「うんち」の検査をしてもらうことが必要です。
「サナダ虫」もいくつか種類があって、それによって薬の投与量が違ってきます。先生によってはお薬だけ出してくれる病院もあるようですが、一般的に使わ
れている錠剤は、慣れていない方には、かなり飲ませにくいと思います。病院で駆虫薬を注射してもらうか、錠剤を飲ませてもらうのがいちばんいいでしょう。
|
|
Q4:猫にもフィラリアってあるんですか?
あります。厳密に言うと、犬の
フィラリアが猫に感染することがあります。ただこれは、学会や論文などで発表されている程度のもので、実際に現場の獣医師が猫のフィラリア症に遭遇するこ
とは、ごくごくまれです。
通常、猫では免疫が働いて、ミクロフィラリア(フィラリアの子虫)が体内に入っても、心臓へ達する前に退治されます。そのため、普通に飼育されている猫
ちゃんなら、まず感染することは無いと思います。 フィラリア感染犬の多い地域で、何らかの原因でミクロフィラリアに対する免疫が無い場合に、感染の可能
性があります。
現在は猫用のフィラリア予防薬もありますので、かかりつけの先生にご相談下さい。
|
|
Q5:妊娠したんですが、猫は離した方がいいですか?
離さなくても大丈夫です。
妊婦と猫の間でもっとも取り上げられるのが、「トキソプラズマ」という病気です。猫と一緒にいてこの病気に感染する確率は、1パーセントにも満たないも
のです。むしろ、豚肉からの感染の方が数は多いです。さらに、感染しても実際に胎児に影響する割合も、かなり低いそうです。
また、トキソプラズマというのは、糞便中に出てから、感染可能な状態になるまで、最低でも24時間必要です。ですから、毎日きちんとトイレを掃除してい
れば、感染することはありません。どうしても心配ならば、ゴム手袋をして掃除するとか、妊娠中だけ旦那様に掃除してもらうとかしてみて下さい。
これから生まれてくるお子さんのためにも、「動物と遊んだら手を洗う」という習慣
を身につけておきましょう。
|
|
Q6:攻撃性が高いので、爪を取る手術を受けたいのですが・・・。
爪を取る手術は安易に考えないで
ください。猫にとって爪とぎは重要な意味がありますし、もし外に出している猫なら、なおさら取らない方がいいと思います。手術自体も意外と手間のかかるも
のですし、あまりおすすめはできません。もし、猫ちゃんが大人の雄猫で攻撃性が高いのなら、去勢手術をしてみるのも一つの手です。
精神的な問題も考えられます。充分遊んでいてあげているか、何かストレスになるようなことはしていないかなど、もう一度よく観察してみて下さい。
|
|
Q7:どうして動物病院の治療費はあんなに高いんですか?
どうしてでしょうか?まず第一に、動物
での医療保険体制が確立されていないということがあると思います。保険事業を成立するためには、加入者の数がある程度たくさんいること、個体識別ができる
ことという2点が必要になってきます。残念ながら今の時点では、その両方とも動物では難しい状態です。動物の保険を扱っている所もあるようですが、実用的
とは言いがたいものです。
基本的に、動物の治療に使っている器材や薬は、人間と同じものです。動物専門の器材・薬品の方が高いことが多いです。そう考えると、人間の医療費(保険
がない場合)に比べれば、かなり安くはなってると思うのですが・・・。ただ、中には不当な料金を請求する病院もあるようです。料金明細に不明な点があれば
聞いてみましょう。
21.8.8追記
現在、数社からペット保険が販売されています。提携病院であれば人間の国民健康保険、あるいは社会保険の様に自己負担分のみの支払いで済むことがあるよう
です。当院では取り扱っておりませんが、かかりつけの病院に相談してみるのもよいでしょう。ただし、保険料の支払いは必須です。
|
|
Q8:妊娠しているようですが、中絶できますか?
妊娠初期(交配になってから数日以内)
ですと、注射による中絶方法もありますが、副作用があり、実際にすすめる先生はほとんどいません。外見的に妊娠がわかる位の時期ですと、開腹手術による胎
仔の摘出になると思います。たいていの場合、子猫は望まないということでそのまま避妊手術をすることになると思います。ただ、通常の避妊手術に比べ母体に
負担がかかります。もし最初から子猫を望まないのであれば、成猫になった時点で避妊手術を受けることをおすすめします。
命を救う立場の私達が逆に命を奪うというのは、たいへんに不本意なことです。多くの獣医師は、それ以上飼い主のいない猫ちゃん(ノラちゃん)を増やさな
いために、やむを得ず手術を行います。妊娠したら避妊手術すればいいと、安易に考えないでください。 |
|
Q9:トイレ以外のところでおしっこしてしまいます。直す方法はないですか?
尿検査などで特に異常が見られない場
合、精神的なストレスが原因と考えられます。粗相をする猫ちゃんは多頭飼育(2匹以上飼うこと)されていることが多いです。飼い主の愛情を独り占めした
い、他の猫が使ったトイレは使いたくない、あるいは、何かその猫なりの理由があるのでしょう。他の猫がおおらかな性格であれば、問題を起こしている猫ちゃ
んをなるべくかわいがるようにしてください。粗相をしたとき叱ることも逆効果かもしれません。可能であればトイレも使ったらすぐ掃除する方がよいでしょ
う。
とはいえ、飼い主の体もひとつしかありませんから、そうそう掃除ばかりしてもいられないでしょう。あまり粗相の回数が多いようなら、猫のストレスを解消
するためのフェロモン剤もあります。すべての猫に効果が保証できるわけではありませんが、動物病院などで相談してみてください。
(→トイレでしない
) |
|
Q10:ノラ猫の避妊手術をしたいのですが捕まえられません。眠り薬のようなものはありませんか?
猫を眠らせるような飲み薬もあるのです
が、お訊ねのような目的ですと、残念ながらお出しすることができません。
眠り薬(鎮静剤や軽い麻酔薬ですね)を内服で与えた場合、その効果が現れる時間、効果が続く時間は猫によってかなり異なってきます。注射と違って胃や腸
を経由するため、吸収速度が変わってくるためです。そのため全く眠ってくれない猫もいれば、何時間も眠り続ける猫も出てきます。効きすぎると体温の急低
下、呼吸の抑制がおこり死に至ることもあります。
さらに問題なのは、ノラ猫にこういった薬を与えた場合、どこか人の手の届かない所に潜り込んで寝てしまう可能性が高いと言うことです。お訊ねのような目
的に不向きと言うことがおわかりいただけるでしょうか。大変でしょうが、なんとか馴らして捕まえるようにしてください。 |
|
Q11:猫の風邪は人間にはうつりませんか?
くしゃみ・鼻水といったいわゆる「風
邪」の原因として、ヘルペスウイルス、カリシウイルスなどの呼吸器感染が考えられます。ほとんどのウイルスは動物種を越えて感染する能力は無いと考えられ
ています。(中には狂犬病ウイルスのように、多くの動物に感染するものもありますが・・・)同じヘルペスウイルスという名前で人のウイルスもありますが、
猫のものとは違うウイルスです。従って、猫の風邪は人間にうつらないと考えていいでしょう。
ただ、それ以外で猫から人に移る病気もありますので、過度の接触、例えば猫に口移
しで食べ物を与える、キスをするといったことはやめ、触ったあとは手洗いをしましょう。
21.8.8追記
最近になって、風邪に似た症状をおこす細菌が、猫から人間に感染した例が報告されています。これはDPT3種混合ワクチン(日本では赤ちゃん〜幼児期に接種)で予防可能で、感染する確率はかな
り低いです。
報告されているのは10頭以上の多頭飼育で、野良猫が出入りしていた例がほとんどです。感染猫に触ったり、くしゃみで鼻水が飛んだりすることで感染しま
す。通常の風邪と同じで、マスクや手洗いで予防します。 |
|
Q12:猫を逃がしてしまいました。どうしたらいいでしょう?
まず、飼い主さんが落ち着きましょう。
猫のほうも逃げ出してはみたものの、知らない場所でパニック状態になってるはずです。追いかけたり、大きな声で呼ぶのはやめましょう。また、他の方に探し
てもらうのも避けた方がよいでしょう。ますます遠くに逃げてしまうかもしれません。
逃がしてしまったときは、少し離れたところから静かに見守って、隠れた場所が確認できたらそれ以上追わないようにします。自宅から逃げたのであれば、
10分もすれば猫の方も落ち着いてきますので、そのころを見計らって小さな声で呼んでみてください。自分から戻ってくるでしょう。
病院などに連れて行った時に逃げたのであれば、診療時間が終わって人気がなくなるまで待ちましょう。できれば、車どおりなどもなくなる夜中まで待ったほ
うがいいかもしれません。静かになったところで、同じように小さな声で呼んでみましょう。助けを求めて出てくる可能性が高いです。
病院などに連れて行くときは、ケージやネットに入れることはもちろんですが、ロックやファスナー等がしっかり閉まっているか確認しましょう。 |
|