元気と食欲
 元気さは、普通に見ていてもわかりますね。食事は普段から決まった量を 与えていないと、食欲がないときに気が付かないことがあります。猫の場合むらぐいで食べたり食べなかったりですが、一日量としてはそれほど大きな変動はないはずです。複数の猫を飼っている家では、どの猫がどの位食べているか、把握できないことがあります。食器を分けるのは当然のことですが、どの猫が食べていないか知りたいときは、別々の部屋で食事させるなどの工夫をしてみて下さい。また、外に出ている猫の場合、別宅があって、そこでもらっているということもあります。不用意に食事をもらわないためにも、ネームプレートや、首輪を つけておくのもいいでしょう。 (→症状から見た対処法
   
”うんち”と”おしっこ”
 この2つは、大切な健康のバロメーターです。外でさせていると言う人は、この機会にぜひ、屋内、あるいは敷地内にトイレを設置してください。硬さと かについてはもちろんですが、食べた量、飲んだ量がちゃんと出ていますか? 一見正常に見えても、いつもと同じに飲食してるのに、量が減ったり、増えたり しているとしたら要注意です。一回の量や、一日の回数も普段から気を付けて見ていてください。食べて、飲んで、いつもと同じに出ていれ ば、まず問題ないでしょう。 (→症状から見た対処法
   
体じゅうさわれますか?
 普段から、スキンシップを取るようにしてください。しっぽ口の中をさわらせますか?おなかを なでても嫌がりませんか?ブラッシングを兼ねて、普段から皮膚の状態をチェッ クするようにしましょう。不自然な脱毛はないか、ケンカのはないか、小さなしこりは ないか、歯茎は赤くないか。 「よく気づきましたね。」と、獣医さんをびっくりさせてみませんか。 (→症状から見た 対処法
   
ワクチン
 猫にも予防注射があります。今のところ、3種混合ワクチンウイルス性鼻気管炎:いわゆる、鼻風邪、カ リシウイルス感染症:口内炎を伴う風邪、パルボウイルス感染症: 出血性の胃腸炎の3つを予防します。)、4種混合ワクチン(3種+ウイルス性白血病: 症状は様々)、5種混合ワクチン(4種+クラミジア:結膜炎と鼻風邪)が出ています。年1回(最初の年は2回)の注射で、病気を予防します。保険料がわりにぜひ受けてあげてくださ い。接種時期、種類についてはかかりつけの動物病院にご相談下さい。
   
避妊と去勢
 飼い主さんによっては、嫌がる方もいるのですが、子猫を取るつもりがないのだったら、ぜひするべきです。「手術なんて、かわいそう で・・・家に閉じこめておくからいいわ」と言う方がいますが、「避妊しないでいいよ、でも、エッチもしちゃだめだよ」と言ってるようなもんです。かえっ て、猫が気の毒です。猫の発情は周期的に何回でも来ますので、ほっておけば、 ねずみ算式に猫が増えていきます。でも、もらい手を探すのは、並大抵のことではありません。その点は、犬より大変と言っていいでしょう。避妊や去勢は病気の予防にもなります。早期に避妊手術をした場合、乳腺腫瘍の発生率が下がるという報告もありますし、不必要に遠出して、交通事故にあったり、病気を もらう確率も減ります。雄猫の場合、雌をめぐってのケンカをしなくなりますの で、けがで病院にお世話になる回数がぐっと減るでしょう。早期にやることで、スプレー(あ ちこちにおしっこをかけて歩く)の予防にもなります。「太るっていうから・・・」たしかに、避妊・去勢すると、太りやすいかもしれません。ただこれは、飼い主さんが、食事の量を気を付けることで予防できます。全体的に見れば、欠点より利点の方がまさっていま す。
 
ドライフードか、缶詰か?
 よく飼い主さんに、「ドライと缶詰、どっちがいいんでしょう?」と聞かれます。答えは、「どちらもあげてください。」です。どちら も、一長一短です。ドラ イフードのいい点は、管理が楽歯と歯茎のためにいい保存性が よい、など。悪い点は、置 きっぱなしになる、尿石症になりやすい、など。缶詰のいい点は、尿石症になりにくい病気の時に与えやすい、など。悪い点は、歯垢がたまりやすい、開封後は痛みやすい、 など。両方のいいとこ取りで、例えば、昼間、留守の間はドライフードを置いておき、夜、缶詰を与えるなんてのはどうでしょう。それから、缶詰を選ぶ際は、 「一般食」でなくて、「総合栄養食」と記載されているものをなるべく選んで下 さい。猫缶の場合まだまだ「一般食」が多いのですが、これだけでは栄養的に偏ってしまいます。
 
シャンプー
 基本的にシャンプーは必要ないと思います。猫は本来きれい好きな動物ですから。やるとしても、せいぜい月に1〜2回にしておいて下さい。やりすぎると皮脂が洗い流されて、かえって皮膚の異常を 起こすことがあります。かわりに、ブラッシングは丁寧にしてあげましょう。小 さいときから慣らせば、ブラッシングが大好きな猫になるはずです。ブラシは最初は柔らかめの ものを選ぶと、猫もそんなに嫌がりません。
 
耳の掃除
 耳掃除は、目で見える範囲をテッシュかガーゼで拭き取 る程度にしておいてください。よく、綿棒で掃除をするという方がいますが、それはやめた方が無難です。綿棒でこすることで、耳の中に小さな傷をつけ、かえって炎症を 起こすことがあるからです。耳道にはもともと自浄作用があって、耳垢を外へ外 へ出そうとする働きがあります。綿棒じゃないと、届かないようなところが汚れている場合、専門家にま かせた方がいいでしょう。(→症状から見た対処法
 
人の薬は使わないで!
 人間用の薬は、猫にとってよくないものもあります。基本的に使わない方がいいでしょう。(動物病院で処方されたものは別ですが・・・)よくあるの が、人の目薬をつけてあげた、というの。人の目薬には、あのスーッとさせる成 分が入っていて、猫にとってはいい迷惑です。あと、解熱鎮痛剤も猫に中毒を起こさせます。実際、人の風邪薬を飲んでしまって、中毒症状を起こしたものが、年数件み られます。消毒薬などの常備薬は病院に相談してそろえてください。
 
季節ごとのポイント
・・・春先は発情シーズンの始まりで、外出によるケガ、交通事故、感染症などが多く見られます。避妊・去勢手術をし ましょう。
・・・夏に入る前の暑くなったり寒くなったりの梅雨時は、猫も体調を崩しやすいようです。逆に真夏になると涼しいところで じっとしていることが多くなるせいか、比較的病気になることは少ないようです。熱射病は犬に比べるとまれな病気ですが、留守番させるときなどは十分注意が 必要です。白い猫は耳介に皮膚炎を起こすことがあります。予防については病院で相談してください。
・・・涼しくなり始める秋雨のころも体調を崩しやすいようです。また11月頃から風邪を引く猫がが多くなります。早めに予防 注射を受けましょう。
・・・年末は飼い主さんが多忙なせいか来院数は少な目です。その反動で1月に入っての駆け込みが増えます。忙しくてもなるべ く症状が軽いうちに治すようにしましょう。冬場は飲水量が減ったり、寝ていることが増えトイレに行く回数も減るため、尿石症が多くなる時期です。おかしい ときは早めに病院に相談しましょう。

高齢猫で気を付けること
 歳をとると自分で身の回りのケアをすることが大変になってきます。爪 がのびすぎていないか、毛玉ができていないかなど、飼い主さんが気を付けてあげましょう。外見的な体力だけでなく、内臓の方も衰えてきます。よく見られる のが便秘で、便のの固さ、回数に気を付けて、便秘が疑われるときは早めに病院に相談しましょう。腎臓病も高齢猫に多くみられます。水を飲む量、おしっこの 回数や量に気を付けて、年に一度は腎機能検査をするとよいでしょう。人の食べ物、特に塩味のついたものは厳禁です。
 毛の色が薄くなってきた(人間でいうところの白髪)、若い頃に比べて少し体重が減った、爪が以前にくらべて長くなってきた、などが老化の兆候です。元気 がよくても、無理はさせないようにしましょう。
 
最後に
 猫の飼い方については、たくさんの本が出てますので、 何か1冊買って読んでみるといいでしょう。ただ、人間の子供と一緒で、猫も、 猫それぞれです。本に書いてあることが全ての猫にあてはまるとは限りません。(それは、この「猫の病院」も、おなじことですが・・・。)マニュアル通りに やることが、必ずしも猫にとって快適とはかぎりません。たくさんの飼い主さんの中には、飼い方マニュアルに縛られてしまって、猫を飼うことの本来の楽しさ を、充分味わってない方もたまにいます。一番大事なことは、飼い猫に愛情を持っ てること。飼い猫があなたのことを好きであること。猫が家につくっていうの は、正しくないと私は思っています。本当に信頼関係ができていれば、猫は人につきます。猫とのすばらしい生活を楽しんで下さい!
  
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