劇場版
仮面ライダーエグゼイド
トゥルー・エンディング

□忍者プレイヤー

 その名の通り忍者の様な動きをするのですが、それが黒十字軍の忍団みたいで格好良いです。忍団、最初だけは強かったのですがねぇ。

□「よ〜い、ば〜ん」

 「よーい」と聞こえた時点で劇場から笑いが漏れて来て不可思議だったのですが、直後にこの言葉の主が大我で合点がいきました。しかし声だけで大我と分かったのですか? あたしゃさっぱりピーマンでしたよ。
 その後も飛彩がまどかの父親を演じていてピザを切る姿なんかに笑い声が上がりましたが、聞こえてくるのは大人の笑い声ばかりでミオさんは冷める一方です。

□「喜んでくれるかなぁ」

 娘を思う父の気持ちと父を思う娘の気持ちが交差して実に切ない台詞です。
 影成がまどかの病室を訪れた時は父親ではないかと疑ったのですが、まどかが「誰?」と訊いていたので違ったのかと思い直しました。しかしやっぱり父親だったのですね。

□パラドの囮大作戦

 黎斗の「私のVR(を使っている永夢)」とか「その(永夢が乗っている)車に触るな!」とか聞いても黎斗×永夢はちょっとピンと来なくて盛り上がらなかったのですが、実は永夢と思わせてパラドだったと判明して一変しました。黎斗とパラドであれば相応の因縁がありますからね。

□エグゼイドクリエイターゲーマー

 序盤や中盤のテレビシリーズで見られたエフェクトを多用した派手な戦闘が久久に味わえました。慾を言えばもっと縦横無尽に画面を振り回して欲しかったですね。

□南雲影成/仮面ライダー風魔

 ちょっと影と哀しみのある佇まいで、雰囲気のある良い存在でした。
 影成のやった事は勿論無関係な人間を巻き込んだと言う意味では許されないのですが、娘であるまどかに対しての行いだけは強ち間違っていたとも思えません。本人が主張する様に例え手術が成功したとしても病気とは今後も寄り添って行かざるを得ず、決して普通の暮らしは待っていないでしょう。それならバーチャルの世界で平和に暮らす方が良いではありませんか。少なくともあたしがまどかの立場ならそれを望みますわ。

□颯爽と現れた仮面ライダーブレイブ

 絶体絶命のゲンムとレーザーが間一髪で救われた時は、「あぁ、定番の次回作ライダーのゲスト出演か」と落胆したのですが、実際はブレイブでした。次回作ライダーの出演を快く思っていないのでこれは予想外だった驚きと共に嬉しかったですわ。そしてゲンムとレーザーに回復魔法をかける頼もしさと言ったらありませんよ!

□ジョニー・マキシマ/ゲムデウスマキナ

 影成が魅力的な人物だった反面、ジョニーは映画に於ける絶対的な悪と言う立場を与えられていた感じで、どうも存在感に欠けました。
 ゲムデウスマキナも強い事は強いのですがそう口で説明しているだけの感じで、映像的な説得力のある描写ではありません。

□「すまない、俺が悪かった」

 何も知らない妻からしたら自分達を捨てて姿を消した事を謝っている様にしか見えませんよね(ぉ

□感動

 単に切ないと言う程度にしか感じなかったまどかの「喜んでくれるかなぁ」なのですが、終盤の回想で使われた時には他の描写と合わせて見ていてボロボロと涙が流れて来ました。自分でも驚くくらいに滂沱の涙でボロ泣きですよ。いやまさか仮面ライダーを見てこんなにストレートに感動させられ泣かされるとは思いませなんだ。

□仮面ライダービルド

 一向に出る気配が無かったのでこのまま出ないのかとすっかり安心していたのですが、そんな私を嘲笑う様に最後の最後で出して来ました。そのタイミングも酷いのですが、エグゼイドから力を吸い取るなんて行動の印象が最悪ですよ。しかもその真意が明かされずに終わるとか正気を疑います。余韻も台無しですしどういう了見なのでしょうか。

□「行こう、パラド」

 まるでパラドは消えたけれど永夢の心の中に生きているみたいなニュアンスだったのですが、普通に生きていました。

□「作る、形成するって意味のビルドだ」

 この台詞に既視感を覚えました。最初は「私の名前はアン。eのつくアンよ!」がぼんやりと浮かんだのですが、もっとストレートにこの台詞に近い言い回しです。何とかその数時間後、当日中には思い出しました。「「頑張れ」って感じのデクだ!!」です。

□総評

 本当のエンディングみたいに銘打って宣伝されていたのでそれを期待した訳ですが、その点に関して言えば率直に言って期待外れです。何時も通りの番外編映画でした。南雲影成、星朱美、星まどか、この親子三人にとってのトゥルー・エンディングでしかありません。
 ただ、映画としてはとても面白かったです。三人の親子を巡る物語としてよく出来ていました。それに理屈ではともかく前述の様にもろに泣かされているのですから、それを駄目だったと断じるのは些か無理があるでしょう。
 テレビシリーズが面白い事も影響しているのですが総じて高得点を上げたいです。『エグゼイド』は話が面白いのは勿論なのですが、その勢いで演出も脂が乗っていると感じます。この映画で言えばまどかの病室に駆け付けた永夢が影成に裏拳で一蹴される場面が実にスピーディでよく出来ています。何気無い場面の一つから完成度の高さが窺えますわ。

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(17.08.16)