ホンドテン
(ネコ目 イタチ科)
私のフィールドのひとつでスギカミキリやビャクシンカミキリが発生する北アルプス山麓のヒノキ・スギ林には、何種類かの哺乳類が生息しています。
彼らが残した糞を丁寧に見ていくと、甲虫の鞘翅が混じっていることに気付きます。タヌキの溜め糞にはオサムシなどのゴミムシ類やシデムシの鞘翅が少ないながら混じっていますが、カミキリの鞘翅はほとんどありません。地上で拾い喰いをすることが多いタヌキにとって、カミキリムシは出会うことの少ない昆虫なのかもしれません。
ところが、ホンドテンの春先の糞にはスギカミキリやビャクシンカミキリと思われるものが含まれ、かなりの数を捕食しているようです。
この2種は夜行性でホンドテンと活動時間帯が重なること、ホンドテンが頻繁に樹上に登ることや、春以降、動物質の餌の比重が大きくなる(秋以降は果実食が強くなる)ことで捕食されるケースが多くなるものと推測されます。
以下の写真は冬季に撮影(シーズン中はカミキリの撮影に専念しているので)したもので、優れた身体能力の一端がうかがわれます。
すっかり暮れた頃、ねぐらにしている ヒノキの洞から降りてくる(安曇野市 以下同じ)
周辺の果樹園から落果したリンゴを失敬 安全な場所まで運んで食べる
沢の中の石を踏み越えて対岸へわたる
倒木を利用して川をわたる
樹幹を駆けあがる際、両足を 同時にはなす瞬間がある
まだ暗い早朝、ねぐらに戻る
カミキリムシの天敵に戻る
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