暖房・炊事器具の発達

 

 炉や窯の発達を一覧表にしました。
 炉は、直火で暖をとったり,肉を焼いたり,鍋を吊るして煮物を調理することができます。日本のいろりとほぼ同じです。しかし欠点は,火を落とすとすぐに寒くなり,暖房能力は極端に落ちます。極寒のフィンランドの冬の夜は,暖房なしに寝ることはできません。
 窯は,輻射熱で暖房したり,火を落として余熱でパンを焼いたり,料理を調理することができます。原理はオーブンやピザ窯と同じものです。
 それぞれの長所を生かした暖房・炊事器具の発達を見てみましょう。

 


突き立て棒小屋と平炉 pistekota ja tulisija

 


中央アジア発祥といわれる窯(オーブン)の原型

      

石膏を塗り固めた窯(手前の炉の部分はない。穀物乾燥庫や浴用サウナ用として使用された。)

石積み窯(オーブン)の発展形。手前が炉で煮炊きし,奥がオーブンでパン焼きやグラタン料理をした。

大きな石膏窯には煙突はなく,煙が部屋中に充満したため煙窯(savu-uuni)と言われ,その家は煙屋(savutupa)と言われた。
夏の終わり,秋めいて来たら煙窯に火を入れ,石に蓄熱させる必要があった。火をつけるとすぐに部屋は煙で満たされ,煙は天井から徐々に増えて行き,部屋中どこでも,もうもうと立ち昇った。天井が低いと煙溜りの容量が小さくなるため,天井は4〜5mの高さに作られた。火を焚いている間,人が生きられる空間は床上1〜2mで,人々は,床に座ったり,歩く時には体を強くかがめて歩いた。室内は酸欠になるため壁にあけた小さな穴から外気を取り込んだ。
3時間程で室温が40〜50度前後に達した頃,天井の排気孔を開けて煙を排出した。排出すると冷たい外気が流入するため,煙を排出している間,隣家に駆け込み,お互いにそうしていたという。
煙を排出し終えると天井の排気孔を閉じ,煙窯の輻射熱でシャツ一枚で生活出来た。その後,煙窯は炊事の時朝夕一回づつ熱すれば,窯は翌年の春まで熱を放出し続けた。

左写真の家の浴用サウナ。

煙道(煙突)が天井を貫いている。煙・煤で難渋することはなくなった。また,天井高も従来より低く抑えることができた。

石膏を塗り固めただけの暖房専用窯から生活の向上と共に華麗なタイル装飾を施した暖房専用窯が作られていきます。その様子をご覧ください。

 


 

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