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(2020年5月20日掲載)

フィンランドの落ちこぼれ

 

 OECDが行った15歳生徒の学習到達度調査(PISA)の2000年以降,いつも上位にいるフィンランドは,日本の教育界ばかりでなく社会にも大きなインパクトを与え,いかにフィンランドの教育は素晴らしいか,いかに児童生徒に寄り添った教育がなされているか,期末テストや中間試験がなくフィンランドの子どもたちはいかにのびのびとしているか,などというプラス面ばかりが強調されて来ました。しかしよくよく考えてみれば,どんな国でも,どのような時代でも,人間が織りなす社会は,そんなパラダイスのような社会ばかりではありません。

 日本では,戦前には尋常小学校中退などという修了証書を持たない人が多くいたということですが,今では例えオール1であっても,学校に行ってさえいれば中学卒業の修了証は誰でもが持っていることでしょう。

 ところがフィンランドでは,基礎教育学校卒業資格(日本の中卒に当たる,基礎教育学校とは小中一貫教育校のこと)は,1年生から9年生まで各学年の習得すべき課題にきちんと取り組み,修めた者でなければ修了証書が授与されません(基礎教育法第25条 学習義務)。

 期末テストや中間試験がなくても教員は日々きちんと指導要録に記録していて,卒業を前に卒業証書を出すか否か検討した後,レベルに達していない子には修了証を授与しません。フィンランドの小中学校は子供たちにとって厳しく,脱落する子が後を絶ちません。この中卒資格を持たない人たちがフィンランド社会の足を引っ張っていて,社会問題化しています。
 フィンランド人成人の7人に一人が貧困に喘いでおり,その多くがこの中卒資格を持たない人々です。

 

 フィンランドの落ちこぼれについて,フィンランド教育省とフィンランド教職員組合のホームページからその様子を見てみましょう。

 

        フィンランド教育省ホームページ        人口の年齢構成と教育水準

 

        フィンランド教職員組合ホームページ    教育義務を全うできない者

 

 

 


 

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