ワニと白くま 1

vol.1

ワニ「どうも、ワニです」
白くま「白くまです。二人合わせて」
ワニ「ワニと白くま……って、そのまんまやないかい♪」
白くま「いや、それにしても最近暑いですなあ」
ワニ「暑いですなあ」
白くま「なんて話合わせちゃって、ワニは暑さ平気でしょ? 出身、熱帯でしょ」
ワニ「ワニだって暑いんですよ。日本なのにこんだけ暑いのは、正直、異常気象ですよ」
白くま「ほんまやね。こないだまで寒かった分、三割増で暑く感じますね」
ワニ「そもそも、うちら、こんな暑さを求めて日本に来たわけじゃないですからね」
白くま「そやねん。うちらが日本に求めてるのは、桜、フジヤマ。芸者。サムライ」
ワニ「でもこんだけ暑かったら、求めるものは、クーラー、クーラー、クーラー」
白くま「われわれ獣にも、クーラーが必要な時代になってきましたかね」
ワニ「外にいると、暑いからねえ、特に室外機の風が。なるべく屋内にいたいもんです」
白くま「いっそ人間が外に出て、獣が家の中に入ればええんや……。ロハスやで」
ワニ「ロハスですかね。そや、最近、草食系男子とか森ガールとか山ガールとか聞くけど」
白くま「人間も自然に帰りたいってことなんですよ、きっと」
ワニ「あ、ワニはね、今度アマゾンのなわばりを、人間に賃貸しすることにしたんですよ」
白くま「へえ!」
ワニ「ネットの住宅情報に掲載したら、問い合わせが殺到しちゃって」
白くま「あ、ほんと」
ワニ「ワニもとうとう、家賃収入だけで食っていけるようになりましたね」
白くま「うらやまし〜」
ワニ「ワニ、やることなくて、ニートになっちゃって。ワニートになっちゃった。アハハ」
白くま「白くまも売りに出そうかな。南極の氷上のなわばり一坪五万円」
ワニ「お得物件や」
白くま「でも温暖化で氷溶けちゃうかもしれないね。氷の下はすぐ海かもしれへんな」
ワニ「リスキーな物件、危険と隣り合わせやね」
白くま「もし売れたらいっしょにハワイに行きたいですね」
ワニ「ハワイ、暑そう〜」
白くま「暑そう〜。キャッキャッ」
……(以下つづく)

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