'03/5 迷宮の十字路
 もう一度観たい。
 ・・・ということで、きっと、DVDが出れば、買うことでしょう。
 これで、コナンの映画は、2枚目・・・になるかな?
 もう一枚は、言わずもがな、キッドの出ている、「世紀末の魔術師」ですが、はっきり言って、それ以外の映画は、劇場で観たいと、言うところまではいきませんでした。
 今までの、テレビ放映分も入れれば、「揺れる本庁」をできれば、スクリーンで観てみたかったという以外は、やはり、番外編以外のなにものでもないという感じで。
 だから、期待も何も、なかったのですが、今回は、違いました。
 多分、倉木麻衣のテーマソングも、かなり手伝っていたと思いますが、強烈に、観たいという気持ちが募り、期待に満ちあふれてしまったのです。

*前段階
 舞台が京都。これは、結構理由になりました。
 私は、実は、学生時代の4年間を、京都に通うことで費やしたのですが、とにかく、不思議な町なのです。学生の街でもありますので、新しいものがたくさんあるのですが、古いものが、同じように平然と顔を揃えているのです。
 もちろん、町自体、平安の御代に作られていますから、呪術的な意味合いもたっぷり。
 そして、1000年の長きにわたり、都があったわけですから、歴史の舞台として、話題に事欠かないわけで。
 まず、謎解きとしてのおもしろさが、充分期待できました。
 こむつかしいことでなくても、「京都」と言うだけで、胸がわくわく。
 それに、「手鞠唄」でしょう?
 ああいう、子供が口ずさむ唄には、色んなものが、隠されてることが多いのですが、それが、よく似合っていたと思います。

 あと、CMでは、平次が、バイクに乗って、町はずれを走る、いやそれより、線路を走るシーンがあるでしょう?
 私には、ちょっと懐かしいところ。
 電車の面を眺めながら、「嵐電か、京福か・・・京津やないな」などと、極めてローカルなポイントで盛り上がったりしました。
 ヒントのひとつが、弁慶と義経であったところから、一番候補となったのは、京福線鞍馬。
 ・・・当たらないわけはないですが。
 ここを、オフロードで疾走する平次に、胸がときめきました。
 かっちょええ〜(笑)
 いや、このシチュエーションは、実に個人的理由で萌えたので、これ以上の言及は避けますが、とにかく、「平次がかっこいい」というのは、比較的強力な吸引力でした。
 1作目から、6作目まであったけど、脇役がメインになるなんて、なかったでしょ?
 で、「名探偵コナン」の題名を冠しているのだから、含みを感じないわけには、いかなくて。
  
 で、一番大きな吸引力は、間違いなく、「生の新一」でした。
 生なのね?
 これで、決まりだったといって、過言はないでしょう。 
 自分で驚きましたもの。
 私って、以外と、新一を待ってたんだぁと。
 でも、蘭ちゃんの「やっと逢えた・・・」とのかねあいで、かなり警戒もしました。
 こう、なんというか、もうちょっと、人間らしい出会い方をしてよね・・・という感じで。
 根が、関西人なせいか、「語る」新一君というのは、結構苦手なのです。
 これは・・・このシーンは・・・もしかして、諸刃の刃?みたいな。
 肝心のシーンが、実は、一番心配なシーンだったとも言えます。
 そして、ちょっとためらう私の背中を押したのが、テーマソングでした。
 ペンタトニックっていうのかな。
 いかにも、「和」の音の並びですよね。
 「平均律」が、かなり苦手な私には、気持ちの良い音でしたし、あれは・・・あれは耳に残ります。
 
 
*観た
 結論から言ってしまえば、冒頭の通りで。もう一度観たい、と思うほど、満足しました。
 なんて言うんだろう。
 とっても、青山色豊だった・・・という感じでしょうか。
 どの部分が?と言えば、他の人が同じことを感じるかどうかはわかりませんが、圧倒的な伏線の多さに、そう感じました。
 謎解きは、もちろん、伏線によって、解いてゆくものなのですが、それ以上に、こう、ささやかなところに・・・。
 じゃ、前段階のポイントから、いきましょうか?

+++観光ガイド+++
 単なる、京都ガイドにしたくないと、パンフには書いてあったけれど、充分、観光ガイドだって(笑)。
 でも、義経・弁慶ゆかりの地ってのは、あまり知らなかったから、「へ〜あそこも、そうなの」って感じで。
 一番笑えたのが、蹴上インクラインの後。
 インクライン界隈は私も好きなところですが、あそこのシーンで、「まさか、この後、湯豆腐食べたりなんかしてな・・・」などと考えていたら、本当に食べてた。(ガイドと言わずして、何と言う?)
 ・・・高校生の野郎2人が、昼から、湯豆腐・・・?言うとくけど、あの辺のは、結構とられんねんで・・・(思わず、和葉になってしまいそう)
 高校生とどう見ても小学生の彼らは、きっと、浮いてたやろな(笑)。
 
 鞍馬界隈・・・ちゃんと、ロケハンしたんだぁ。(←当たり前でしょ)
 最初のアクションの見せ場。・・・もしかして、バイク入れて、ロケハンしたのか?
 鞍馬じゃないけど、オフロードで、京都市北側の山に入る、という無謀なことをした人に同行したことがあります。その時は、さんざんな目にあったのですが、乗ったままで行けば、まさにあの通りで。
 平次がバイクに乗るところは好きです。あの、フットワークの良さ!
 吊り橋を切られたときに、「何、すんねん!」と言わずに、「なんちゅうことすんねん!」と、言うでしょ?平次やなぁ〜と、思いました。
 新一だと「何するんだ!」って、言うような気がしたんですが・・・ま、いいか。
 あそこのCGは、大嫌いでした。申し訳ないけど。
 だって、影がないから、とってつけたようだったんだもん。
 あのCGは頂けませんでした。(偉そうだけど、ほんとに、そう思ったもん)

 あと、個人的には、「たこ平」の店が出たときに、テロップで、「寝屋川市」と出たのがツボでした。
 (う)の育った地は、その、お隣の市だったりするので(笑)。

 

+++ラブラブコメコメ+++
 
 平次のあっけらかんとした性格と、初恋に対する照れのなさが、新一と対照的に描かれていて。あれ、コナン君だから、「言いたくても言えない」みたいな、 屈折したものがあるんでしょうけれど、新一であったとしても、きっと、あれほどオープンではなかったろうな〜と。
 鴨川の花見のシーンで、新一が、月にまつわるエピソードを話したとき、からかう平次の言葉に、言葉にしなくても、つい、本心が漏れるでしょ?
 多分、そばに長くいる人が初恋の人である故に、新一は新一であり、同じ立場の和葉を初恋の人と別人として捉えているから、平次は平次なんだと思ってしま いました。どこがどう、と言われると、全くもって、説明できないんですけれど、平次のオープンさは、性格より、そのことから来てるんだろなと。
 どうかな〜。ときめきの度合いが違うような気がするんですよね。

 とにかく、その後の、蘭を見つめる目、彼女と目が合いそうになって、「やべっ」と、目をそらす辺り、それまでのかっこつけな彼の、年相応の男の子らしさを見てしまって、嬉しくなりました。
 つい、ね、「自覚、あるのね?」(哀ちゃん風)てな感じで(笑)。
 ところで、あのときの蘭ちゃんの眼差し・・・。
 実は、コナン君のこと、わかってんじゃ・・・なんて、思ったのは、私くらいかな(笑)。

 初恋の人とおぼしき人が、容疑者として浮かんだとき、平次は、何の迷いもなく、「俺の初恋の人がそん何するわけない」と、断言してます。
 あのシーンで、思い浮かんだのは、「3つのK」の事件の、コナン。
 「彼が、そんなことするわけない・・・」という、コナンの思いと、真実は違っていて、平次って、あの場にいたけど、言い切れるんだ。
 なんだろ、コナン(=新一)の方が、言うに言えぬ思いを抱えなければならない分、辛さとか、背負ってしまうのかな。
 というか、平次の存在意義って、もしかして、その辺にあるのかも。
 新一(=コナン)と対照的存在として。