第二海堡(かいほう)探索記(上)
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第二海堡に行ってきた!

  
場所はこのあたり        こんな形の島(数字は写真の位置を示す)


、近づく島の風景 かなりオドロオドロしい!

第二海堡とは東京湾と浦賀水道の真中あたりにある首都圏でも最大級の軍事廃墟だ。
当時の陸軍が明治22年より大正3年まで25年の歳月と約50万人を動員して
水深8〜10mほどの海底に砕石を落として作った人工島だ。
島の面積41,300m2、すでに島の輪郭がはっきりしない状態だが
東西300m、南北180m、外周約1km、高さ13m程だ。
ブーメラン型をしている。

大正12年の関東大震災で壊滅的打撃うけ使用不能になったが、昭和に入り今度は海軍が
また要塞化を進めた。しかし、その頃はすでに航空戦となっており砲台など時代遅れであった。
そしてついに実戦に使用されることなく米軍に接収され、
昭和30頃返還されてから廃墟状態になっている。
基本的に自然は無い。島全体が砲台、弾薬庫、兵舎と地下壕で構成されていて表面は
ほとんどコンクリートとレンガで出来た要塞だ。
それが現在侵食により海に向かってズルズルと崩壊しつつある。


、海面すれすれの地下壕入口跡
飛び出た煙突が不気味

現在、海上保安庁等の管理下で灯台、電波塔、消防訓練所の諸施設があり、
基本的に無断上陸禁止だ。その現実ばなれした風景は過去に映画やプロモーションビデオの
撮影のロケ地に使用されている。松田優作の「蘇える金狼」やMr.Childrenの
「終わりなき旅」という曲のビデオ等だ。記憶違いがなければ1970年代のなかばに
関西の天気予報のバックにもこの光景が水着のお姉さんといっしょに使われていたような気がする。
そのバランスのあまりのシュールさに息をのんだ憶えがある。

そんなこんなで廃墟フリークの世話人としては、とにかく一度行って見たいと思っていた。
しかしどうやってそこに行けるのかよくわからなかった。
最近、釣り舟に便乗すれば渡れることを知りなにがなんでも行ってみたくなった。
最初に行きたいと思ってからもう20年以上もたっている。

2001年11月11日天気は快晴!朝6時前に家を飛びだした。
船は8:30に金沢八景の先からでる。時間に余裕はない。

村本海事の金幸丸に乗船する。乗船時に住所、名前、電話番号を書かされる。
そして通し番号のついた小さなプラスチックの札を首から下げた。
行方不明者対策であろうか?なんかヤバイところに行くような気がしてきた。
船は釣り客のために一日3便ほど出ていて乗り合わせたのは12名ほど。
釣りざおをもっていないのはもちろん世話人ひとりだけだ。かなりまわりから浮いている。
船は激しい爆音と振動と共に波の上を思いっきり飛ばしていく。
島は横須賀沖合7km、デッキの手摺に必死でしがみついて約30分で到着。
30分以上だと嘔吐間違いなし。船は岸壁に体当たりするようにドカンと横付けした。
ふらふらしながら上陸する。

 帰りの船は12:30に来る。
余裕をもって岸壁に戻ってくるようにと船長?に何度も念をおされる。
探索に要する予定時間は約3時間ほどしかない。
夕方に最終の船をねらえば6時間ぐらいの探索が可能だが、体力的にも難しいし、
その船を逃すとそれはもう大変なことになる。次の日に会社に行けないだけではすまない。


、島の最頂部の砲台跡、インカの遺跡を思わせる。
ちょっとシュールで美しい

とりあえず島の最頂部にあるトーチカ跡に上る。風が強くとても寒い。
震えながら品川駅のキヨスクで購入したメロンパンを頬張りウーロン茶で流し込んで
探索計画をたてる。もちろん島にコンビニなんか無い。それどころか水も無い。
あらかじめ航空写真を入手していたのでそれに照らしながら海岸線に沿って
探索することにした。

     
、まわりが崩壊してむきだしになった         、崩壊激しい島の西側を見る
地下壕跡とビビる世話人                       

                    
      
海岸線は砲台のコンクリートやレンガの残骸で足場が悪く、
今にも崩れそうなコンクリートの巨大な壁がオーバーハングしていて危険この上ない。
(2度転倒してヒザ打撲)やむなく一旦島の頂上に戻り安全な海岸線に降りるという
繰り返しだ。これが結構こたえる。
それに航空写真では高低差がわからず、写真の頃より崩壊が進んでいる上に潮の満引きの
関係もあって写真となかなか整合しないため自分の居場所がよくわからなくなる。
そして100年も前から造ったり、壊れたり、直したり、取り付けたり、またはずしたりで
収拾がつかない状態のまま放置されているので何がなんだかわからないというのが実感だ。

廃墟になる前の状態がどんなものだったか全く想像がつかない。でも想像しないと話に
ならないのでその想像は「第二海堡探索記(下)」に記する。

とにかく島とは言っているけど、これは海の上にある構築物で高さからいうと
3階建くらいの巨大なビルが建っているようなものだ。実際に島の内部には3層になった
地下空間があるらしい。
そしてそれがドーナツ状の回廊でつながっているそうだ。確かに崩壊して地上に露出した
部分からもそれは推測できる。しかし現在地上にある入口は全部埋められたり、
鉄板で塞がれたりしているのでその正確な構造を窺い知ることは容易ではない。

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島の最頂部のトーチカ跡か見張台?