里山オーナーの話 (4) |
2004年 9月23日 <大クヌギが倒れた!> <山仕事は楽し・・・ (6)>をご覧の通りであります。 台風18号が去ったある日、夫が一人、里山へ出かけてみたら、マスターTさんに呼び止められたのだそう。 「ちょっと山の様子を見に行ったらなー、 高橋さんとこの区画、なんやら大きな木が倒れとったわ」 とてもとても軽い調子で言われたので、夫も軽く <あ、枯れかけの10メートルくらいの山桜でも倒れたんかいな> などと考え、区画へ登って行ったのだそうだ。 そうしたら こんなことになっていた。 (倒木を下から見上げたところで、矢印が倒木) さて、漫画にも描いたとおり、 倒れたのは我が区画で一番でかく、私が秘かに<主(ぬし)>と名付けていた木。 ↓の写真は、その主がぶっ倒れて、真横になっているところなのだけれど 写真で見る限り、幹はムチャクチャに太いわけでもなく「どこが主??」という感じかもしれない。 が、張り出した枝の部分がすごいのだ。↓こんなの。(ピンクで囲んでいるのが人間) とにかくでかい・・・・・・・。 これを、これから細かく切って、片づけていかねばならないとは・・・・・。とほほー。 ↓和やかなベンチも ↑こうです。 苦労して作った腐葉土置き場なんて 木っ端みじんだ。もう笑うしかありません。 けれども、このクヌギと山桜。 実は、ちょっと怖い木でもあったのだ。 と言うのは、全長30メートルにもなる大木が、なんと<斜め45度>の角度に伸びていたから。 森の中で光を求めて、斜め斜めに伸びていった結果なんだろうけれど 見ていて、ものすごく不安定で 「いつ倒れてくるんだろうか・・・」 と、とても不安だった。 特に、枯れて腐りやすい山桜の方は、恐怖の的。 ・・・でも、自分達で切り倒すことはできなかった。 ひとつには、その技術がなかったから。 もし、この木が、平原のまっただ中に一本ポツンと生えているのなら、できる!我々にだって。多分。 でも、 こういう密生した森の中で、 大木を切るのは、難しいうえに、危険が大きい。 倒れながら、そばに立ってる木にひっかかって動かなくなってしまうから。 それを動かそうと、ロープで引っ張ったりしているうちに、思わぬ方向に木が倒れ、事故になることもある。 危なすぎるのだ。 そしてもうひとつ。 私は、今市子さんの<百鬼夜行抄>を読んでいる者なので、大木を切るのが怖いのですよ。 だって、わけわかんない物の怪に恨まれたらイヤじゃん!!! というわけで、気になりながらも、切るに切れなかった<主>。そして山桜。 それが、今年、次から次へと上陸した台風で、ついに命を終えた。 漫画にも描いたとおり、主のいなくなった山は 明るい日差しに満ちて、 また、新しい主の成長を待っております。 あああ、山の片づけが・・・・・と思いつつも、この日差しは心の底から嬉しいワタクシ。 それにしても、マスターTさんは、実に軽〜〜〜く 「大きな木が倒れとるわ」 と言った(そうだ)。 Tさんにとっては 驚くほどのことではないんだろうなぁ、これくらいのこと と、この道50年のキャリアに、あらためて脱帽し かつ 今年は本当に台風が多かったんだなぁ と、実感した、この9月。 2004年 10月3日 <大クヌギの解体> 先週末(9月25日)、我が里山で、倒れたクヌギの解体作業が、マスターTさんにより行われた。 なんで自分達でやらないのか?? と言うと <できないから>。 危なくって出来ないのだ。 いや、 この巨大な倒木が、電信柱みたいにまっすぐな木で、それが平地に倒れているのならやりましょう。 でも、 ↑こういう具合に倒れているので、下手な切り方をするとバランスが崩れ 大木が自分の方へ、ドワッと落ちてくる。 枝1本でも、かなりの大きさで重量もあり、例え足の上に落ちたとしても大ケガは間違いなし! というわけで、 この道50年の大ベテラン、マスターTさんにお願いすることになったわけだ。 マスターTさん。 紛れもないプロとはいえ、御歳71歳。 若々しくて元気そうだけど、足が痛むのか、最近は、いつも足をちょっとひきずって歩いている。 重いチェーンソーをかついで、山道を登って行くのもつらそうで 「申し訳ないなぁ・・・。大丈夫かしら・・・」 などとと、心配しつつ、ついていった私だった。 が、 やっぱりプロです。 でかいチェーンソーをブイブイいわせ あっけにとられている間に、<主>・・・いや、<元主>を解体していくじゃあないですか。 推定樹齢60年の元主の、根元あたりの直径は、およそ60〜70センチ。 ↑で、<まっすぐな木で平地に倒れているのなら、私だって解体できる> なんて書いたけれど 本当は、無理。 いえ、出来たとしても、おそろしく時間がかかるはず。 そのくらい、直径60〜70センチの木の幹は、太い。 でも、マスターTさんにかかれば 1時間半で、この通り。 ちなみに、↑が根元です。直径60〜70センチを想像して下さい。 いや、それにしても、本当にお見事だった。 倒木の傾き具合を見極め、どこにチェーンソーを当てるか、自分はその時どこに立つか ほとんど迷いがなかったTさん。 私だったら、最初の切り目を入れた時点で、もうアウト。 今頃、病院で寝ていることでしょうに。 かくして、元主は 無事、さばかれました。(木を解体することを<さばく>と言うのです) 後は、我々夫婦で、ボチボチと、本当にボチボチと片づけていくだけ。 大人2人でも持ち上げられそうにない丸太とか、ゴロゴロしているんだけど なんとか頑張らねばね。 それはそうと、↑の、人間が写ってる写真。 撮影したのを、後で見て 「・・・・・誰や?この右端に写っとるおっさん」 と思ったら、自分だった。 ・・・もう、山の中では、男も女もありませんな。(ちなみに、真ん中に写ってるのが、神の手を持つマスターTさんです) |
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