里山オーナーの話(1) |
2003年 2月5日(水) <ことの始まり> <その1 ことの始まり> ことの始まりは、昨年の12月頃。 県の広報誌で、私が<里山オーナー募集>という、数行の記事を見かけたことである。 里山。 というのは、大体こういうイメージの場所であろう。 田んぼや畑と、低い山が一体になった、我が国の田舎の風景。のどかな風情。 記事からすると、 その里山が、近年 地主さんの高齢化と後継者不足から、荒れ気味になっている所が多く ここはもう、年間いくらかの賃貸料で里山を貸し出し 日曜大工ならぬ<日曜里山オーナー>に、里山の手入れを助けてもらおうではないか? という話になった・・・・・ということらしかった。 「こんな制度が、あるんやって〜。」 と、私がそれを夫に話したのは 単に、興味深い話だなぁと思ったから。 ただそれだけだった はずだったのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「申し込んだで。」 と、夫が笑顔で言ったのが、年明けの15日頃。 申し込んだ・・・・・・・とは、当然、<里山オーナー>のこと。 冗談でしょう??? ・・・しかし、冗談ではなかったのだった。 夫は、香川県の森林組合にFaxして 香川県の某所にある、300坪の里山のオーナー募集に 軽〜〜〜〜〜〜〜〜〜い気持ちで応募してしまったのだった。 「シイタケでも栽培してみようかと思て♪」 シイタケ!!! 山登りをするからよくわかっているのだけれど 山というのは、人がまめに手を入れてメンテナンスをしていないと、もうどうにもならないもの。 これまでに、 作ったはいいけれど、メンテナンスが出来ず 荒れ果て、ヤブにおおわれ 倒木にさえぎられて歩くこともできない登山道を、私は何度も見てきた。 夫も一緒に山に登っているのだから 山を管理するのは大変!ってわかっているはずなのだけれど・・・・・・・・・・・ それが呑気にシイタケとは!?!!!!! それでも私は、それほどあせってはいなかった。 この時点では。 何せ、このオーナー募集。 広報誌以外にも、新聞記事になったり、森林組合がチラシを配ったりで、人気を呼び 最終的には13倍もの倍率になった、と聞いていたから。 なにせ高橋家は、クジ運というものが皆無なのだ。 今年のお年玉付き年賀葉書だって 100枚以上の葉書の中から、当たったのは、たった3枚の4等賞。 それも、人様からいただいた葉書ではなくて 自分達の書き損じから出た3枚 というくらいに、クジが運ゼロなのだった。 当たるはずないじゃん♪山なんて。へっへっへー。 <その2 泥沼> 『当たりました。あなたは里山のオーナーです。』 県の森林組合から届いた、当選の封書に、私は目の前が暗くなった。 これよりさかのぼること3日ほど前の、週末 夫は、里山の現地見学会へ出かけ 募集20区画のうちの、希望地をいくつか申し込み 森林組合の方々の簡単な面接を受け 嬉しそうに帰ってきたところなのだった。 (そりゃ、もうこうなれば、私も同行したかったところだけれど、 現地へ行くマイクロバスの都合上、申し込み1グループより、代表者1名のみ参加するように と言われていたので、あきらめたのだ。) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 はっきり言って 私は、柳生博やC.W.ニコルになりたいわけじゃない!!! ・・・とはいえ、当たってしまったものは、もう仕方がない。 里山が荒れて仕方がないというのなら、オーナーになって、手入れを手伝おうじゃないですか。 地主さんが、山林の枝払いをする時 人手が足りないんやけど・・・・ というのなら、手を貸そうではないですか。はいはいはいはいはい。 とはいえ、こういう所なんだけど ホンマにどうなるの?こんな所、どうやって管理していくのよ???素人の私達が?????? <その3 さらに泥沼> 「うん、みんな良さそうな人ばっかりやったで♪」 この土曜日 里山オーナーへの、契約などの説明会があり、 それに出席した夫は、帰って来るとこう言った。 オーナー20人+家族などが、初めて顔を会わせ、お互いに自己紹介などしたらしい。 私も出席するつもりだったけれど あいにく風邪をこじらせて寝込んで、行けなかった。 さて 私がずっと、気になっていたのは <いったい、他の人々は、何を考えてオーナーになろうと思ったのか?>だった。 なんとなく応募して 今のところ、シイタケ栽培以外、なん〜〜〜〜〜にも思いつかない我々としては とっても知りたいところ。 夫によると ◎ツタで籠などのクラフトを作るのが趣味の、サークルの人達が、皆で応募した。 「これで材料が、好きなだけ調達できる〜〜♪」と、嬉しそうだったとか。 ◎自宅の庭で、シイタケを栽培するのが趣味だったおじさん。 念願の山で、好きなだけ栽培出来る〜〜〜♪と嬉しそうだった・・・・・・・・・・・・・・・らしいけれど 私は、この人の家族の、これまでの苦労(自宅の庭がシイタケ栽培の原木だらけ)を思って 心の中でそっと涙をぬぐった・・・。 ◎「定年退職したオヤジが、趣味もなくブラブラしているのを、見るにみかねて・・・」 と、申し込んだ息子。 ◎「子供達を連れてきて、山を体験させたい!」 という塾経営者。(こういう人が複数いたそう) ◎なんとなく・・・・・・・・(←我々) ・・・・・・・・・これはどう見ても、我々が一番根性なしのように見えるのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 そんな私を、さらにドツボに突き落としてくださったのが 夫が持ち帰った来た<山仕事のHow to>というような冊子。 これの <山での作業の時の服装> を見た時、私の下がりかけていた熱は、また一気にぶりかえした(気がした)。 「・・・・・・これ、林業やん??」 「そう、林業をやるらしいわ。俺らは。これから。」 柳生博になりたいわけじゃない。 C.W.ニコルになりたいわけじゃない。 わけじゃないけど、これは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 この里山。 別荘地として分譲したわけじゃない。 本当の里山なので、絶対に火気厳禁!(そりゃそうだ。) バーベキューやキャンプが出来るわけではないし、 本当にこういう格好で林業(シイタケ栽培も含む)をするしかないのである。 では、この先 休日が取れるたびに、我々はこういう格好で山へ行かねばならないと・・・・・・・・・・・・・・・・????? ますます熱がぶりかえしそうな私に 夫はさらに言った。 「あ、ヘルメットと、ノコギリとナタは、1グループにひとずつ、もう買ってくれてるんやって。」 「・・・・ノコギリ・・・・・・ナタ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「チェインソーは、オーナー全員の共同資材で、一個買うてくれてるらしい。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「それから、山では自然薯(じねんじょ)も取れるんやけど、イノシシがけっこう出て 食べ散らかすらしい。」 「イノシシ。」 「シイタケも、結構、食べられてしまうんやって。」 「はぁ。」 「けど、森林組合の人は、猿はあんまり出ません、って。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 <あんまり>って何ですか!??????? この先、私は、猿とケンカもしなきゃならないと!? (再び熱が出て、この後、高橋は数日沈没す。) 2003年 2月18日(火) <なにごとも経験> およそ売れていても売れていなくても 漫画を描くことを仕事にしている人間は 皆、日々、こういうことを思いながら生活しているはずだと思う。 「ま・・・・・・、なにか仕事に生かせるかもしれんし・・・。」 たいていは、何か面倒くさいこと なかなかスッと腰が上がらないこと・・・に直面した時にこう思う。 もう10年ほど前、私が乗馬に挑戦した時も、やはりこう思った。 当時、埼玉県のとある市に住んでいた私は、市の広報誌で、こういう一文を目にしたのだ。 <乗馬を体験してみませんか? 1回 1000円 3回のコースです。 初心者大歓迎! ◎◎乗馬クラブ。> 乗馬・・・。 それは、それまで私には挑戦するチャンスのなかったこと。 それが、1回たったの1000円ポッキリ。 それも、3回のみ。 半年通う・・・となったら重荷だけれど、3回ならなんとか。 これはなかなかチャレンジしやすいコースなのではなかろうか??? しかも、リゾート牧場で30分乗ってみる、というのではなく ちゃんとした乗馬クラブの、体験コースである。 こういうチャンス、なかなか無いのでは????? とはいえ、 初めてのことに、いきなり一人で挑戦するというのも、思い切りが必要なもの (そうじゃない方も多いでしょうが)。 う〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・・どうしよう??????なんか面倒くさい気も・・・・・・・・・・・・・・・ と、迷う私の背中を、最終的に押したのは、上に書いた 「ま・・・、なにか、この体験を仕事に生かせる時が来るかもしれないしぃ・・・・・・・。」 だった。 もちろん、 挑戦した結果は、悲惨だった。 乗馬をした経験がおありの方には、よくおわかりでしょうが 競馬の騎手 あれは普通の人間ではない。 この乗馬を体験して後、私は競馬中継をTVで見るたびに、騎手が神に見えるようになった。 なにしろ、疾走する馬、 あのメチャクチャに激しく上下運動する馬の背に乗り 自分の身体はピタリ!と、微動だにしない騎手。 あれは神の技だ。 スタートからゴールまで、 騎手の頭の位置は、決して動かない。 私など、2度目のレッスンで<並足>から<ちょっとだけ早足>になった瞬間 上下に揺れだした馬の背中で、ガクガク身体を揺すぶられ 鞍の上でポッコンポッコンお尻が上下し、お尻は鞍から落ちそうになり もうかんべんしてください〜〜〜〜〜〜状態になってしまった。 身体全体で、馬の動きの衝撃を吸収し 姿勢を保つ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ なんてできるわけがない!!! おまけに運命の最終日。 私の乗る馬の手綱を引いていた乗馬クラブの方が、うっかり馬を驚かせてしまい 馬はいきなり後ろ足で立ち上がり 背上の私は、あわわわと青くなって馬の首にしがみつき しかし、このまましがみついて振り回されているより 手を放して自分から地面に落ちた方が、まだ危険度が低いのでは??? と0.5秒考え 手を放し そのまま、高さ約1.4メートルの馬の背から、地面にズドン!とオケツから落ち 落ちたはいいけど、暴れる馬に踏まれそうになって あわわわわわわと地面を這って、馬から逃げまわり そりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜もう格好悪いのなんの!&怖いのなんの!! という思いをしたのだった。 それが私の、乗馬のすべて。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ はっきり言って こんなことが仕事に生きる日が ・・・・・・・・・・・・・・はたして来るのかしらん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・? さて、先日の日記に書いた<里山オーナー>。 この一件も、 「ま・・・、・・・・・・・・もしかしたら、仕事の役に立つ日がくるかもしれんしぃ・・・・・・・・。」 とは思う。 思うけれども・・・。 本日、ネットで<里山オーナー>を検索していたら 県のホームページで、この件を紹介しているのに出会った。 紹介のページでの、お誘いの文章はこうだ。 <里山オーナーになって、キノコや山菜の栽培、野鳥観察や森林浴を楽しみませんか??> ええ、ええ。 素敵よねぇ。 野鳥観察に森林浴♪♪ なにせ こういう所ですからね! そう、先日の日曜日、私もこの目で見てきた、我々の300坪の里山(賃貸料 年間5000円也)。 写真でおわかりになるでしょうか????? すっごい斜面(この写真の傾斜は、まだゆるい方)。 右端の平らな場所は、共通の通路で、ここから左下が我々の手入れするべき雑木林。 もう、水平に立っていられる場所、ありません。 ええ、ええ。そりゃー、森林浴、し放題でしょうよっ! 立っていられれば! 我々はこれから、これらの木を切り、森に風と光を通し シイタケを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 でも、 誰か読みたいですかね? <女木こりの漫画> あるいは <シイタケ栽培漫画>。 (いや、農業や林業の雑誌で需要があるかもしれないけれども。) ともあれ、私と夫は、近々<職人の店>という所へ行き 地下足袋と軍足を買わねばならないのでは?????と本気で思っているところだ。 (なにせ、林業のHow to本には、 <地下足袋が一番!>と書いてあるんだから。) ・・・けど、正直、ここまで生きてきて 私は自分が、地下足袋を履く機会に出会うとは、思ってもみなかった。 建設関係の現場の仕事以外で、履いてる人を見たことがなかったし。 もちろん、猿との戦いも、想像外。 ああ、これが無事出来れば、将来猟師にだって大工にだって なんにだってなれそうな気がする。 本気でそう思う。 昼: マーボー豆腐ナス(厚揚げ、挽肉、緑ピーマン、赤ピーマン、ナス、長ネギ、にんにく、しょうが、) いよかん、紅茶 2003年 2月28日(金) 髪を切りに行ったら、美容師さんが言った。 「週末は、また雨になるみたいですね〜。もう。」 なに?雨? 一応、私も話を合わせて顔をしかめた。 「ここんとこ、週末になると雨ですよねー。もう、イヤんなる。」 と言いつつ、心の中では、ニヤリ。 なぜなら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 本日の高松市は、大快晴。 気温は少々低いけれど、太陽の光は地中海のように(行ったことないけど)まぶしく明るい。 ああ、これはもう、スギ花粉が、ワンサと飛び交っているはず。 目には見えねど、心眼ではハッキリと見える!見えるぞ! 昨年のこの時期の日記にも書いたとおり 我が家は、夫婦ともども花粉症患者である。 なので、今年もこの2月1日以降、 <非核三原則>ならぬ<非花粉三原則>が、我が家では実行されている。 1:外出時には絶対にマスク着用。 2:帰宅したら、絶対に、玄関に入る前に、ハタキで身体の花粉を落とす。 3:新聞&郵便は、絶対にハタキではたいてから、家に持ち込む。 とにかく、花粉を家に持ち込まない。吸い込まない。もう、これしかない。絶対に! ・・・とは言え、掃除をする時は窓を開け 外の空気を、ヒョロヒョロ入れながらやっているのだから 結局、室内の花粉量は、プラスマイナス0かもしれない。 ザルで水を汲んでいるようなものだけれど いや、でも 私のような、根が体育会系の人間には この<出来る限りの努力はしている>という、自己暗示も大切なのだ。多分。 この自己暗示が、あるかないかで 垂れてくる鼻水の量も、変わってくるというものではありませんか? という状態の高橋家。 なので、例の<里山オーナー>の件も 実際の山仕事は、5月以降でないと不可能。 まぁ・・・・・・、<仕事>と言っても、本当の仕事ではなし。 5月の本番のその日まで、本でよく勉強して、そなえていようではないですか。 と思っていた。 思っていたところが、 先日、森林組合から、このような手紙がやって来たのだった。 <3月1日に、山仕事の講習会をしますから、現地に来て下さいね〜〜〜。> 3月1日! 日付を見て、泣いた。(←プロジェクトXの田口トモロヲさん風に) 行きたくない。行きたくないけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本だけで得た知識じゃ、正直頼りないし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 以来、私は心の中で、雨乞いの踊りを踊り続けていた。 なぜなら、雨が降れば、花粉の飛散量は、グッと減るからだ。 講習会は<雨天決行>なのだ。 雨の中、カッパを着ての山仕事なんてイヤだけど、この際文句は言っていられない。 ああ、まるで <金はあるけど顔が悪く性格も悪い男> と <顔は良いが不潔で性格の悪い男> この二人のうちの、どっちかをどう〜〜〜しても選ばなきゃならない、 さあ、どっちがマシ!? と言われてる気分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ともあれ、雨乞いの踊りを続けていた結果 そう、冒頭の美容師さんのセリフである。 そして、夕方の天気予報で確認したところ 本日の、この大快晴からはうって変わって 明日の香川県は<雨> それも、降水確率が70%もあるというではありませんか!????? ああああああああああ、神サマ、 ありがとうございます!!(涙) (明日行楽予定だった皆様、申し訳ありません!) と言うわけで、明日 おじいさん・・・いえ、おっさんとおばはんは、山へ柴刈りに。 そして、あさっては・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ついに、我が父のパソコンをインターネットに接続する日。・・・どうなることか・・・。 夜: カツオのエスニックサラダ(カツオのたたき、アボガド、カイワレ、長ネギ、ブロッコリーのスプラウト) トマトのスープ(トマト、タマネギ、にんにく、卵) 2003年 3月5日(水) <シイタケの食菌> 「こ・・・この世の中には、シイタケ好きの人が、こんなにいるものなのか・・・?????」 週末、<山仕事>の講習会に行き ボウ然として帰ってきた、高橋家である。 去る土曜日。 天気予報大当たりの、朝からの大雨の中、我々夫婦は例の<里山>へ出かけた。 車が山へ近づくに連れて、雨足は強まる。 さすがの杉も、これでは花粉を飛ばせまい! ザマアミヤガレ!!と、もう笑いは止まらない。 現地では、さすがにこの雨の中、山での実習は危ない・・・ということで 地主であるTさん ・・・この方の立場は、この<里山オーナー制度>においては <里山マスター>と呼ばれるんだそうで なかなかナイスな楽しい名称なので、 今後私はこの方を、<マスターTさん>と呼ばせていただくことにしますが その農業<マスターTさん>宅の、広い納屋の中で 山仕事の基礎講習は行われることになったのだった。 そしてその日、 我々は有無を言わさず、<シイタケの植菌>なるものをやらされてしまう。 シイタケの栽培というのは、 1メートルくらいに切った、ナラやクヌギの木の幹に菌を植え付けてするのだが いきなりその日、 一人一本、実際に植え付けをやって それを今後、自分の借りた山の中で育てなさいね〜〜♪グッド・ラック♪♪ などという展開になるとは思ってもいなかった! そりゃ、栽培の講習があるのはわかっていたけれど それは、マスターや森林組合の人が 「こうやって、こうやるんですよ〜。」 と、実演して見せてくれて終・わ・り、だと思っていたのだ。 正直な話、 我々夫婦は、まず最初の1〜2年は、山の木を刈り取り、整備をするので精一杯。 シイタケの栽培をするのなら、3年目くらいから、ゆっくりと行きましょうかねぇ などと思っていたのだ。 それがいきなり <マイ・シイタケの原木>を持つことになろうとは! どうするのよ!? と思ったけれど、すでに菌のビッシリ植わった原木を手に抱えてしまったのでは もう、どうもこうもない。 やるしかあるまい・・・・・・・・・・・・・・・・・。 と、ヤケクソな気持ちで、我々は 原木を5月頃まで寝かせておく、マスターTさんの山へ登って行った。 他の人達はというと、もうこれが元気いっぱいである。 そう、この日、この雨の中、 里山オーナーのほとんどのメンバーが、講習会には参加したのだけれど どの人も、実にやる気満々! へっぴり腰で成り行き任せなのは、我々だけ・・・・・・・・・・という感じだ。 皆、意気揚々と<マイ・シイタケの原木>を抱えて山に登って行く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 さて、 登って行った、マスターTさんの山で、ことは起こった。 マスターTさんの山(我々が借りているのも、もちろんマスターTさんの山なのだが)は さすがに手入れが行き届き、見事! 美しく整備された林の中には、シイタケの原木がズラリと並び、壮観だ。 シイタケは、収穫までに4年(!)もかかるそうで マスターTさんの4年物の原木には、黒々とした見事なシイタケが、鈴なりになっている。 さっすが、マスター!!!!! へっぴり腰の私も、この光景には感動した。 そして、 皆で「ほぉぉ〜〜〜〜〜〜〜」と、シイタケにに見入っている時 県の森林組合の人が言ったのだ。 「Tさんのご厚意で、このシイタケ、取っていって良いそうですよ〜〜。」 そのとたん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・何年前だったか、 東京の日本橋の、なんとかデパートが閉店した時 閉店の日、 最期のセールに群がる人々を、私はTVのニュースで見た。 それが、この日、山の中のシイタケ畑で再現された。 もしくは、砂糖に群がる蟻。 もしくは、砂漠で、水場に突進するラクダの集団。 皆、シイタケの原木に取り付き 両手にこぼれんばかりの量のシイタケをもいでいく。 「じゃ、1人2個ずつね」 と、4個をもいで手に持って、 そのあと、私と夫はぼう然と、皆の収穫のさまを見守るしかなかった。 み・・・みんな、そんなにシイタケが好きなの??? え???????????????????? はっきり言って、私はそんなにシイタケが好きなわけじゃない。 いや、 5年前までは、ズバリ!嫌いだった! 大嫌いだった。 どれくらい嫌いだったかは、昔からの友人知人が、口を揃えて 「あんた、シイタケ食べられへんかったよね〜〜。」 と言うので証明済みだ。 よほど、嫌い!嫌い!とわめきまくっていたのだろう。 なんでそんなに嫌いだったかと言えば、 ナメクジに似てるから。 いや、異論はあるでしょうが、まあ、聞いて下さい。 あれは、私が、小学校の2年生の頃。 我が家は、引っ越しをした。 中古の木造平屋建ての家に、引っ越しをしたのである。 引っ越した夜、 お風呂に入った私は、身体を洗おうと、風呂場の床にしゃがんだ。 しゃがんで、ふと顔を上げると 目の前の浴槽の壁面に、シイタケの切り身がくっついている。 濃いベージュ色に、ふちの所が黒い、7センチほどのシイタケの切り身。 「あら、シイタケ。」 と、手に取ると、それは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・ 今にして思えば 引っ越して来たばかりの家の風呂に、なんでシイタケの切り身がくっついているの??? と、不思議に思わなかった私も私だけれど まぁ、7歳の子供の頭の中なんて、そんなものでしょう。 とにかく、シイタケだと思って、思いっきりナメクジを握ってしまった私は 風呂場で硬直してしまった。 スッポンポンの裸で、気色悪い物に触ってしまう・・・というのは、 服を着て同じことをするより、気色悪さが倍増するのだ。多分。きっと。 以来、 私は、シイタケの切り身がすべてナメクジに見えるようになってしまった。 悲惨だったのは 我が母の作る巻き寿司やちらし寿司に、シイタケの切り身が必ず入っていたこと。 子供にとっては、大ごちそうの寿司。 それが、私にとっては、阿鼻叫喚の食べ物になってしまった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 そんな、シイタケ。 5年ほど前に 突然、憑き物が落ちたように食べられるようになったのだけれど だからと言って、大好きになったわけでもない。 けれど、皆 両手に持ちきれないほどのシイタケを手に、嬉しそうに山を降りて行く。 ・・・・・・・そんなにシイタケが好き・・・・・?????みんな・・・・・???????? という疑問が、さらに増大したのは、その翌日。 梅の盆栽用の肥料を、DIYショップへ買いに行った時のこと。 (そう、里山騒ぎで後方に追いやられていた感があるけれど、我が家には<盆栽>という<宿題>もあったのだ。) ショップの園芸用品コーナーに <シイタケの原木 細・中・太><シイタケの菌> などという物が、ズラリと並べられているのを見た時だ。 マスターTさんのような、本物の農家の人は、こういう物は農協で買うはず。 では? DIYショップのこれは????? つまり 趣味でシイタケを作ろっと♪♪ と言う人が、この世の中には、そんなにたくさんいる・・・ということなんだろうか????? み、みんな、そんなにシイタケが好き?????????? 考えてみれば お歳暮・お中元シーズンに見かけるギフトカタログの中には、必ず、シイタケがある。 <大分産 どんこ 5000円>などという、箱一杯のシイタケ。 ・・・ああいうのが贈り物としてあるということは、 やっぱり、シイタケがとっても好き♪と言う人は この世の中には山ほどいる、ということなんでしょう。 実は、我が家の里山で、もし、山ほどシイタケが採れたらどうしよう・・・・・・??? 家族や親戚に配っても、まだまだ余るかも・・・・・・・・・・・・・・・・・・ などと、 捕らぬタヌキの皮の心配をしていた私達だったけれど 貰い手は、案外たくさんいるのかもしれない。 ちょっと安心。 でも、 やっぱりビックリ!(世のシイタケ好きの多さには。) 朝: ゆで卵、野菜炒め(赤ピーマン、緑ピーマン、エリンギ) サラダ(カイワレ、トマト、きゅうり、カリフラワー) フランスパン2切れ、オリーブオイル、オレンジ、紅茶 昼: 鯛の塩焼き、キュウリの塩もみ 小松菜のピリ辛スープ(小松菜、シイタケ、長ネギ、唐辛子) サラダ(カリフラワー、ブロッコリーのスプラウト)、豆乳 2003年 4月27日(日) 山笑う季節である。 新緑の緑はまぶしく、大地には花が咲き乱れ・・・・・。 しかし、ここ高橋家では、この数週間 山が笑えば笑うほど、人間の顔は険しくなる一方の日々が続いている。 原因は、例の<里山>である。 そう、この陽気で、あの山 我々がスギ花粉のため、山に近づけない間に、草ボーボーになっているのでは・・・・・・・ と、思うと、もう心配で心配で。 そんな中、本日、その山で<里山オーナー総会>なるものが開催された。 機材(チェーンソーとか)の管理や、管理費の問題 あるいは、共用地の草刈りなど、 20人のオーナーで話し合うべきことはいっぱいある。 私と夫も、その総会に出席してきた。 今年の花粉も、そろそろ終息期のようなので。 そして、久し振りに入ってみた、我が里山。我が区画は・・・。 こんな感じ。 自分が手入れする山でなければ「ああ、木々の緑が美しいわぁ〜♪」と思うところだけれど 自分がこれを、枝払いしたり、下草を刈ったり を考えると、なかなか手強そう。 でも、思ったより、草ボーボーではありませんでした。 ・・・これから、ボーボーになるのかもしれないけれど。 こちらは、我が家が花粉症で山行きを断念していた間に、ドンドコ整備作業を進められた方の区画。 素晴らしい。 このように、密生した木を伐り、木に巻き付いていたツルを刈り、地面に積もっていた落ち葉をかき、 林床に光が当たるようになったのが、良い山の状態なのだ。 <林床>に光が当たると、何故良いか?と言うと 地面の中にあった草や木の種が芽吹き、植物が地面を覆うようになり それが、山の表土の流失を防いでくれるから。 そして、色んな植物が芽吹けば、 そこには色んな生き物がやって来るし・・・。 ただ・・・ 我が家の区画が、こんな美しい状態になるのは、果たして、いったい何年先のことなのか??? ともあれ、良いお天気続きで 里山はすっかり初夏でした。 |
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