〜ウサギ(4) 波と兎(参考)
福島県石川町の沢井八幡神社ですばらしい「波乗り兎」を見ることが出来た。
「波と兎」の図柄は、波は水なので火除けの守りとされ、兎は子孫繁栄や豊穣をもたらすめでたい瑞獣とされて、様々な場面で用いられた。
「波と兎」の由縁は謡曲「竹生島」からと思われる。
沢井 八幡神社の「波乗り兎」
耳がとれているのは残念だが、兎像の乗る大石とも一体となって波上の動きすら感じさせるすばらしい像である。
この「波乗り兎」について、狛犬ネットの鐸木能光氏はその著「神の鑿 寅吉・和平の世界」の中で「幻の高遠石工・小松理兵衛布弘の作か?」と推定されている。

?福島県石川郡石川町沢井
JR水郡線磐城石川駅下車 バス新白河行沢井バス停下車 宝海寺に隣接


この「波乗り兎」像の台石には、「天保14癸卯年(1843)8月15日 奉納 角田定右衛門」と刻まれている。
沢井村の村社である八幡神社に、卯年の8月15日(旧暦)、すなわち、兎年の中秋の十五夜(満月)にこだわって、「波乗り兎」像一対が奉納された。
「月と兎」を念頭に「波と兎」が奉納された。
奉納の主旨(五穀豊穣や子孫繁栄の願いなど)に奉納年月日という「趣向」が加えられている。