〜ウマ(4)  神が乗られる「神馬」
古来から馬は神の乗り物とされ、神(神霊)は馬に乗って降臨されるものとされてきた。
神が参拝者の祈願を成就されたり、
(神事などで)神が御幸(外出)されるのに、神が乗られる馬は欠かせない。
そこで、それに備えて、多くの神社が境内の神馬舎などに生馬や馬像を収容している。
これら「神が乗られる馬」は特に「神馬」と
(狭義で)呼ばれ、祈願や雨乞いなどで奉納される馬とは区別されている(広義では神社の馬は全て神馬)。
なお、同様に「神が外出の際に乗られる神輿」を神輿舎に納める神社も多い。
神馬の3タイプ

神が乗られる「神馬」には
  A. 生きている神馬(生馬)
  B .腹部に社紋をつけたブロンズの神馬像
  C .神馬舎や楼門などに納められ、化粧し装飾された神馬像(飾り馬)

の3つのタイプがある。
この項では神社訪問の際に出会った神馬を例示したが、C.の化粧し装飾された神馬像が多い。
(外部から写真撮影が可能なもののみ)

A .生きた神馬 (生馬)

祭事や神事に参列する神馬は生馬が多い。
神社で飼育されている馬は少なく、神事に際して召し出される。
境内の神馬舎、神厩舎などで見られる生馬は特定の日や時間だけ駐留される。

神社の境内で生馬に会えるのは、日光東照宮(栃木県日光市)、上賀茂神社(京都府京都市)、伊勢神宮(三重県伊勢市)、多度大社(三重県桑名市)、住吉大社(大阪府大阪市)、金比羅宮(香川県)などと少ない。

日光東照宮


神厩の長押には猿の彫刻

神厩の中の生馬

長押に猿の彫刻がなされた厩舎の中に、白馬が午前10時から午後2時までの間つながれる。
初代の神馬は家康が関が原の戦いで乗ったとされる馬だが、神馬は雄の白馬に限られるとのこと。

栃木県日光市山内2301

上賀茂神社(賀茂別雷神社)

当神社は神話の時代に、ご神託に基づいて馬に乗って賀茂別雷大神のご降臨を願った事から、日本乗馬発祥の地と言われている。
馬にまつわる神事も多く加茂の馬祭りや競べ馬神事などもある。


左は神馬舎、参拝時に、神山号は不在だった。
神山号のポスター

神馬舎には神山号という馬が繋がれている。
1月7日の牽き馬の儀式で神覧に供される。

京都府京都市北区上賀茂本山339

B.青銅製の神馬像

境内に置かれ、腹部に社紋が入れられている青銅製の神馬像。
単体で置かれている場合が多い。

富岡八幡宮


境内神馬銅像。
昭和11年8月奉納

東京都江東区富岡1-20-3

讃岐・金比羅神社

祓戸社前銅馬 境内には生馬の神馬もいる。  

香川県仲多度郡琴平町892番地1

阿倍野神社

西参道鳥居前〜幸誘う語らい神馬
阿吽の馬像は珍しい。
平成17年6月

 大阪府大阪市阿倍野区北畠3-7-20