〜タイ 「鬼神社の鯛」と「津軽の鬼コ」
「おにがみさま」に一対の石の鯛が奉納されている。
( 鯛は供物で神使ではない)
干ばつから救ってくれた鬼を祀ったのが「鬼神社」(おにがみさま)。
鬼は人助けもしてくれる。この神社の鬼という字にはツノ(角)がない。
「おにがみさま」に奉納された鯛(タイ)
鬼神社は通称「おにがみさま」と呼ばれ、干ばつから救ってくれた鬼に神社名は
由来するという。
この「鬼神社」に、石造りの大きな鯛(タイ)の一対が奉納されている。
  
鬼神社(祭神:高照姫神、イザナギ大神、大山祇神)
参道の左右に対で置かれている石造りの鯛は、殆ど同形で、頭を同じ向きにして横に寝せ
腹側を拝殿に差し向けて三宝ともいえる石の台座に載せて奉納されている。
「おにがみさま」への「供え物」である。

拝殿側から見て左側の鯛

拝殿側から見て右側の鯛

奉納 昭和53年(1978)旧5月29日
藤田重次郎 八十才

奉納者銘の後に八十才とわざわざ刻まれているので、
傘寿(80歳)を迎えられたことに感謝しての奉納と思われる。
豪勢な供物である。

弘前市鬼沢菖蒲沢
JR五能線板柳駅から4Km、弘南バスで弘前駅から鬼沢下車

干ばつから救ってくれた鬼 (鬼神社の伝説)
鬼神社(おにがみさま)には、下記のような伝説があるという。

昔、村の人々が干ばつで作物が出来ず苦しんでいると、鬼が山(岩木山)から下りてきて用水路を作って助けてくれた。
それに感謝 して村人が、農耕の神として、鬼を祀ったのがこの「鬼神社」だという。

境内の由緒書には、祭神の高照姫神は岩木山の山頂奥宮に鎮座する神で、神社には千年も前に奉納された鉄製の鍬形も残るとある。
拝殿正面の鴨居には、鎌・鋤・鍬などの大きな鉄製の農具も額に納めて奉納されている。

鬼神社の鬼にはツノ(角)がない
参道入り口の鳥居にある扁額の「鬼」という字にはツノ(角)がない。(写真上)
「鬼は、
恐ろしいばかりが鬼ではない、人助けもしてくれる」というのが、津軽地方独特の鬼信仰である。
ツノ(角)のない鬼はこの気持ちを表わしたものといえよう。

<参考・追補>「鳥居の鬼コ…津軽の鬼には角がない」はこちらからどうぞ!