猫 と 大黒天
狛研一の神使研究家である福田さんから狛猫の話題が届きました。
猫像自体、数は少ないのですが、ここは一味違った面白さがあります。
福田さんの神使ワールドをお楽しみ下さい!
像があるのは、那須塩原市黒磯の「熊田坂温泉神社」という、地元でも知っている人はほとんどないと思われる神社で、明治40(1907)年の奉納です。
一般に猫の像は、蚕を食べ養蚕に多大な損害を与える鼠に手を焼いた養蚕農家が、鼠の天敵である猫に養蚕を守護してもらうことを願って奉納したものです。
ここの猫像は、大黒天の碑を真ん中にして、その左右に猫が控えています。
蚕を鼠の被害から防ぐのを願って、猫像を奉納するのに、
なぜ大黒天を祀ったのでしょうか?
だって、
大黒天の神使は鼠ではないですか!
私は、不勉強で不謹慎かも知れませんが、これを
奉納者の趣向(洒落)とみたのです。
次のような趣向を想像してみました。

(1) 猫だけでは足らず、鼠を神使とする大黒天にも、鼠に「蚕を食い荒らさないように」と叱って貰いたいと願う。
(2) 鼠は蚕を食べるのだから、
大黒天の所にくる鼠と言えども許せないと、猫に見張らせる。
(3) 鼠を神使とする大黒天に、蚕を害する鼠を退治したことを
謝罪し、今後も退治する許可を貰う。

しかし、実際は、大黒天は豊穣の神でもあることから、単に、養蚕の無事と豊蚕を願ったのかも知れませんが。

                             福田博通 2005年 51号より

神使像めぐり 神使になった動物たち
猫の項、熊田坂 温泉神社の猫を参照下さい。