前回の執筆があまりにも忙しかったので、「もう本は書かないぞ。」と決めていたんですが、のどもと過ぎればなんとやら、前著の再版は難しいということもあり、新しい本を書きました。今回も校了間際はやっぱり大変でしたが、終わった今となっては達成感がありますね。せっかくなので執筆の記憶が新しいうちにどんなふうに書いたのかまとめてみました。
昨年の8月10日、ちょうど有給消化の長期休暇中、のんびりとくつろいでいたときにお話をいただきました。企画が面白そうだったのと、私のペースで書かせていただけるとのことでお受けすることにしました。
編集者と何度もメールをやり取りし、構成案とデザイン案が決まったのが9月の下旬。そこから本格執筆になります。毎週1章ずつ計11章、ほぼ3ヶ月を執筆にかけ、最終章を書き上げたのは12月26日でした。
私は、細かなレイアウトまで指定できるので、執筆には「Microsoft Word」を使います。解説図もWordの図形描画機能を使って原稿に入れてしまいます。それを編集者の西本正明さんが本文から解説図、ソースコードまで全てテキストに直してくださいます。
西本さんは、毎日コミュニケーションズのパソコン雑誌の編集者だった方で、とにかく細かくサポートをしてくださいました。このテキスト化の際も、ご自分で他の入門書を勉強され、不明点やわかりづらい箇所など本当にたくさんご指摘くださいました。このテキスト化された原稿は、私が確認したあとPDF化に回されます。1月はこのPDF化の作業が行われました。
この本は、透明シートを使い本文のキーワードやソースコードの一部をかくすことができます。また、ソースコードの行間に色違いで細かな解説を入れています。ですから、通常のプログラミングの本ではしないような編集がとても多く行われます。そのため、本文デザイナー、DTPオペレータの方には大変なご苦労をお掛けしました。
お話をいただいたときから、このホームページのようにたくさんの演習を入れたいと考えていました。最近の本はCDに演習の解答例と解説を入れることができるので助かります。すべてhtmlファイルに編集し直してCDに収録しました。この解答例と解説のhtml化は1月から2月にかけての作業でした。ソースコードのhtml化には、このホームページの掲示板常連のshuさんが作ってくださった「HTML昆布 to C」というツールを使わせていただきました。
そうそう、タイトルが決まったのは1月初旬でした。本の構成はじっくり学ぶようになっていますが、各ステップをきちっとこなしていけば結果的に「急がば回れ」で速習になるという意味で、「速習C言語入門」と名付けられました。オーソドックスですが、いいタイトルだと思います。
2月は丸々校正に当てました。初校は3回に分けて行い、第2校はゲラ刷りの原稿が一度にまとめて送られてきました。テキスト原稿をそのままPDF化するのですが、そこは手作業、どうしても複写ミスや抜けが生じます。それを逐一確認するのが校正作業です。この時点で出版予定日がほぼ決まっているので校正作業は時間との戦いになります。私の場合は、普段は専門校での勤務と(一応)家事もあるので、本の執筆作業に当てられるのは週末だけです。でも、校正ばかりは平日だってやらないわけにはいきません。2月は期末試験や成績表の作成をしなければいけません。2年生の卒業研究の追い込み時期でもあり、いったい今週はトータル何時間寝たんだ?という状況でした。最後の原稿を編集者に返送したのは2月27日でした。メールを確認すると、最後の執筆である「まえがき」を送っているのも27日ですね。
あとは責了ということで編集者にお任せします。これで私のやることは終わりなのですが、3月3日に卒研発表会があり、結局一息つけたのはそれが終わってからでした。この3月3日に「入稿しました。」と編集者からメールがありました。
卒研の方は、進捗管理をするのみでほとんど面倒を見ることができなかったのですが、担当学生4人とも、とても立派な発表をしてくれました。学生の底力に感謝です。
今日、17日、見本誌が自宅に届きました。とても素敵に出来上がっています。辛口批評家の息子も誉めてくれました。あとは24日の発売を待つばかりです。前著は今月末で絶版が決まったそうで、短命な本になってしまいました。でも、後続の本を偶然にもその月に出すことができました。今度は長く流通できる本になってくれることを祈ります。
2006年3月17日
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「速習C言語入門」 毎日コミュニケーションズ発行 ISBN 4-8399-2019-2