諸外国におけるテレビ広告は現在でも30秒が主流だが、 テレビ放送開始後しばらくの間、我が国でも30秒CMが主であった。 15秒CMを考案したのは電通である。 広告会社はテレビ局等から広告枠を買い取り、 それを広告主に転売する際、一定の手数料を取ることで利益を出している。 30秒の枠を1社の広告主に提供するよりも、30秒の枠を15秒ずつに分割し、 広告主2社から広告料を集めた方が広告会社の収益は多くなる。 30秒の作品を1つ放映するよりも15秒CMを2本流した方が 広告会社の儲けが大きくなるという日頃おおっぴらには語られない事情もあり、 日本では90%のCMが15秒である。 現在米国では、ネットワーク局のテレビCMの約65%が標準の30秒であり、 約31%が15秒CMである。残りの4%は、より時間の長いCM (通常は60秒であるが、45秒、90秒、120秒のCMもある)、 またはより短い(20秒や10秒)CMである。 より長いCMは、ケーブルテレビの番組でしばしば見られる。 テレビCMへの注意レベルはその長さと直接的に関連する。 30秒CMを基準とした場合、 長さを2倍の60秒にすることで注意レベルは20%上昇するが、 半分の15秒にすれば注意レベルは20%減少する。 30秒の作品に触れる機会を1回提供するよりも15秒CMを2本見せた方が 視聴者の心に残るとスポンサーは思い込んでいる節がある。 ナイキは15秒CMを制作しておらず、30秒の作品しか放映していない。 テレビ広告投下量も決して多いとはいえない。 しかしナイキのCMは非常に印象に残る。 さて、あなたが社外取締役を務める会社は かねて15秒CMを企業広告として投下してきたが、 ブランド力向上という成果を得られなかった。 今回テレビ広告を出稿するに当たり、 これまでと同じことを繰り返していては失敗に終わる可能性が高い。 予算制約上、今回出稿するテレビ広告を 15秒CMと30秒CMのうちどちらか一方しか発注できないのであれば、 30秒CM制作を決断することが取締役として正しい判断といえる。 |