この会社は当該事業に税法上の有利な点があり、 社会的追い風が吹いていると評価しながら、 競合会社が出てこないと決め付けている。 この自己評価に大いなる矛盾点が見受けられる。 当該企業だけが税法上の特典を利用しているとは考えにくい。 税制上の利点があり、社会的にフォローの風が吹いている事業には 他社も参入しようとするだろう。 また、市場の成長率が高いのにもかかわらず 今後も競争相手が参入する可能性がないと当該企業は考えている。 この判断に対し甚だ疑問を感じる。 以上より、当該事業計画について意見を求められた取締役は 計画の再考を促さざるを得ないだろう。 事業計画やマーケティング・プランは 多くの「仮定や条件」(assumptions)を基にして策定される。 例えば次年度の売上目標、目標マーケット・シェアにしても、 まず、assumptionsを決め、 そのassumptionsに基づいて目標を設定するのが通例である。 売上目標のベースとなっているマーケットの伸びをどう見込んでいるのか、 どのような根拠からそれだけの伸びを見込んだのか、 その根拠や見込みは果たして妥当なのか、等がチェックポイントになる。 また新製品を出す計画がある場合は、 どの程度の売上を期待しているのか、 新製品が既存の製品を食う割合をどの程度にしているか、 その根拠は何か、などをチェックする。 計画に大きな影響を与えかねないような鍵となるassumptionsには 特に注意する必要があるだろう。 重要なassumptionsは時として隠れてよく見えないことがままあるからである。 |