1グラム当たり1円の商品は、100グラムで100円、200グラムで200円である。
1グラム1円の商品は容量を1グラム増やせば価格は1円高くなる。
容量が大きくなると1グラム当たりの値段は少し安くなるが、
基本的に価格はこのように決まる。


値段だけを考えると、100グラム100円の場合と、200グラム200円の場合、
そして300グラム300円の場合の売れ行きは皆同じであるはずだ。
1グラム当たり1円という値のつけ方は同じなのだから。
しかしながら同じようには売れない。


競合他社により
300円以上で販売されている冷凍餃子は見当たらないということは
何らかの理由があるはずだ。

1グラム1円という単価は同じでも、
270グラム270円でかなり大量に売れる商品が、
300グラム300円になるとぴたっと売れなくなることがある。
本当に見事に売れなくなるラインがある。

この価格をマジックプライスという。
無論マジックプライスは商品により異なるが、
このようなラインが確実にある。
従って、そのラインを超えて容量設定をするとその商品は失敗に終わる。


あなたが社外取締役を務める食品会社が販売する
260グラム270円の商品を容量を変更せず300円に値上げすれば、
急に割高になった感は否めない。

値上げ分は冷凍食品部門の赤字補填に充てられる。
現在この商品は販売好調であるが、価格上昇により売れ行きが鈍れば、
流通業者にも負担を強いることになるため、
値上げは流通業者の理解を得られないだろう。


ましてや300円が冷凍餃子にとってのマジックプライスであれば、
赤字解消を目論んでの値上げがこの食品会社にとって致命傷となる。
思惑の食い違いが生じて赤字は膨らみ、
冷凍食品部門は絶体絶命のピンチを迎えるだろう。


冷凍食品部門の赤字解消策を模索しているのであれば、
当該商品の値上げではなく、他の手段により解決すべきである。



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