■□MOTHERとは?□■
1989年にファミコン用ソフトで登場したオーソドックスタイプのRPG。1994年スーパーファミコンでシリーズ2作目が発売された。パート3は当初 NINTENDO64 で発売予定だったが、ハード自体の低迷もあり開発も迷走、2000年に開発を中止した。
その後、MOTHER1+2をゲームボーイアドバンスで発売することになり、パート3もアドバンスでの復活が発表された。3Dグラフィックから2Dのドット絵になったが、内容は当初のものを使っているようだ。
シナリオは糸井重里氏。当時流行りのファンタジー路線ではなく、アメリカの田舎町を思わせる町並みと、PSIと呼ばれる超能力(他のゲームでいうところの魔法)が近未来的なにおいを感じさせる、独特の世界観。
シュールでナンセンスなセリフやイベントが、いい意味での糸井氏のワンマンなゲーム。
■□新要素□■
このシリーズのバトルシーンで特筆すべきはドラム式のHP減。一度に残りのHP以上の打撃を受けても、即死とはならない。電気メーターがぐるぐると回るように、徐々にHPが減っていくので、HPが0になる前に回復すれば命は持ちこたえる。
3での新しい要素はサウンドバトル。リズムに合わせてボタンを押せば微量ながらダメージを与えられるというもの。音ゲーの流行りからそうなったのかもしれないが、これがリズムがとりにくい。敵を眠らせると心臓の音が聞こえてくるのでそれにあわせるというのだが、適当にやったほうが当たったり。
従来はエンカウントで敵と遭遇していたが、フィールドに見えている敵のシンボルと接触すると戦闘シーンへと突入するタイプへと変わった。シンボル1つで敵1体が基本。敵と接触したとき、近くに他のシンボルがいたら、自動的に寄ってきて2,3体の敵とまとめて戦闘になることもある。
弱い敵はダッシュして体当たりすると、シンボルを弾き飛ばし、戦闘を回避する。経験値は得られないが、わずらわしさがなくてよいシステムだ。
PSIのほかに「とくぎ」も加わった。これは敵の弱点を見分けたり、デフェンスを下げたりという付加価値的なもの。終盤の中ボス戦ではほとんどPSIの使える者だけしか役に立たない感じになってしまっている。
これまでは電話でお父さんと話してセーブしたり、キャッシュディスペンサーでお金の引出をしていてなんともユニークだったが、セーブは随所に現れるカエルに話しかける。
荷物はリアカーを引いているおじさんが預かってくれる。
■□賛否両論?のストーリー(ネタバレあり)□■
ドラクエIVを彷彿させる章仕立てになっていて、双子の片割れの主人公がプレイヤーとなるまで、数人の登場人物が主役となってゲームをプレイするので、少々散漫に感じられた。
とはいえ、ゲーム序盤はこの地に何が起こっているのだろうと、興味をそそる。
ストーリーは一本道だ。普通にプレイしたら30時間程度でクリアできるだろうか。様々なダンジョンがあって、起伏に富んでいると思うのだが、なぜか小振りな印象はぬぐえない。
舞台が小さな島であるということが原因か? ともかく、フィールドを歩いて旅しているという感覚がなく、目的地に自動的に連れて行かされるといった感が強いのだ。街といった街がさほどなく、セーブポイントやお店は露店でぽつぽつと現れるのだが、ゲームを進めていくともうそこには戻れない一方通行の場所が多いので、テレポーテーションのPSIも今回はなかった。
後半はマジプシーが守っているという7本の針を抜くことに集約される。抜いた者の心が反映されるというので、敵と競うように抜きに行くわけだが、これがだんだんと退屈してくるわけだ。
ひとつのクエストをこなすのに、もう少し意義を持たせた方がいい。
そして、謎の男リダによってようやく全貌が明らかにされ、それはとてもおもしろい設定ではあるが、一気に謎解きをするより、徐々に解明していく手法を考えてほしかったなと思う。
それと、ラストボスが中盤で想像ついてしまう。仮面の男は主人公と同じ必殺技を使う。となれば、生死も行方も不明の双子の片割れしかいない。
黒幕はパート2にも登場したポーキーだ。続編を匂わせる終わり方だったので、これも予想の範囲内だが、彼はタイムトンネルを使ってこの時代に現れたという。
……ということは、時系列からいったらどうなるのだろう。パート1ではギーグがボスで、パート2でも「ギーグの逆襲」というタイトルがついてるだけに、ギーグがポーキーを取り込んで世界を乱した。
パート3では一度世界の破滅を迎え、ノアの箱船のようなもので、現在の住民たちは助かり、小さな島で生活していた。そして、主人公が7本の針を抜いたことで世界はまた生まれ変わったことが予想される。
ポーキーが過去へとやってきたのなら、再生した世界はパート1へと続き、パート2で生まれたポーキーはパート3の世界へやってくるということになる。未来へやってきたのなら、そのままシリーズ通り。パート2で登場したタコけしマシンがパート3に意味なく落ちているところを見ると、「猿の惑星」の自由の女神像というかんじがしないでもない。つまりはポーキーは未来へとやってきたが、文明は退化していたって事。
パート2で登場したアンドーナツ博士がいるということは、彼がタイムトンネルを開発したのか? エンドマークもすっきりしなかったが、MOTHERシリーズはこれで完結でしょうか?
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