ファミコン闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光

 
(1987年6月12日 ¥5,300 データイースト)

★ロールプレイングゲーム

■□PCゲームを手本に□■
 RPGといったら「ドラクエ」のイメージが強いが、この作品はファミコンに多いオーソドックスなRPGとは一線を画す。
 まず、フィールドと町中で画面切り替えがなく、フィールドと町が地面続きになっていて、塀に囲まれた町に入ったところで敵が出現しなくなる。ただし、中には敵の襲撃を受け、モンスターだらけの廃墟もある。

 町にある家や店、城の入り口から内部へ入れる。このときは画面が切り替わる。店はピンク、城は青の建物で一応区分けされているが、何屋なのか、入れるのか入れないのかわかりにくかったりする。

 主人公は当然ヘラクレスで、連れ去られたビーナスを救うため地上に降り立った。1人で戦い、敵は1体ずつ出現するのだが、敵の出現率が極めて高い。ただ、レベル上げが要求されるので、そのような出現率になったのかもしれない。

■□武器耐久□■
 武器は3つまで持つことができ、鎧と盾は1つずつしか装備できない。武器には槍のような両手持ちと、剣のような片手持ちがあって、片手持ちの剣の時しか盾は装備できない。なので、攻撃力をとるか、守備力をとるか、戦略に悩むところだが、術は一切使えず回復はアイテムだけなので、レベルが上がるまでは守備を高めておく方がよい。

 武器と防具には耐久性があり、敵にダメージを与えたり、与えられたりすると数値が減っていく。町の鍛冶屋に鍛え直してもらえば回復するが、ゼロになるまで使い続けると壊れてしまい、使えなくなってしまう。
 料金は高いが、鍛冶屋を雇うこともでき、戦闘終了するごとに回復する。鍛冶屋は道具扱いとなるので道具欄が1つ埋まることになる。

 術は使えないが、HPを少量消費して大ダメージを与えられる道具がある。地上では「まほろばのつえ」、地下では「ひむろのうつわ」、海の上では「ほばしりのたま」が有効であり、攻撃力と守備力が低く、一発で仕留めたい時に役立つ道具である。

 戦闘コマンドに「はなす」というのがあり、中ボス戦などで会話できる。また、「こころみのまど」を戦闘中に使うと心の中を覗くことができる。ほとんど役に立たず、お遊び程度だが、ユニークだ。

■□イベントとバランス□■
 ゲーム序盤は町の人々の話を聞いていけばイベントもなんなくこなせる。町と町はピンクの道で繋がっているので、慣れないフィールドで迷うこともない。

 イベントアイテムはかなり多いと思う。RPGらしく、アイテムを入手してイベントをクリアしていき、先へと進む。だけど、一度に持てる数が少ないので、イベントをこなすために便利アイテムを一旦処分し、また取りに行かねばならないこともある。
 すべてのアイテムは、リセットしてパスワードを入力してゲームを再開するともとに戻っている。それは倒した中ボスも同じことで、復活している。中ボスは固定の場所に出現し、容易に逃げることは可能だ。中ボスが倒せるかはひとつの指標となっているかもしれない。中ボスは重要なアイテムを持っていることが多いので、一度は倒しておく方がよい。

 船を入手以降は行ける範囲も広がり、ヒントも核心部分に触れてなかったりするので苦労することになる。なんといっても海の敵は強い。まともにやってては勝てないので逃げ続けた方がいいくらいだ。
 中ボスで有効な武器というのもあるし、ペガサスで天界へと駆け上ったりと、すごくRPGらしいゲームで内容は悪くないが、いかんせんゲームバランスが悪すぎる。

 終盤、クリアに必要なアイテムを取りに行く道のりが非常に長く、ラストダンジョン並みの手強さだ。このゲームの最上限のレベルは30なのだがここらあたりで到達してしまって、ラストダンジョンとラストボスがやけに弱くて参ってしまった。
 あと、パスワードで再開した時にアイテムが戻っているのと同様に、白紙に戻されているイベントもあるので、ある程度の区切りをつけて電源を切らないともう一度やらねばならないこともある。

 欠点も目に付くが、ファミコン初期のRPGの中ではお薦めできるゲームだ。



リンク集
兵夢跡 攻略サイト。フィールド全体図等があります。

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