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  R&S OnlineLife-Episode

天才魔法士見習いラティリア

音が聞こえる・・・・。
「――――」
聞きなれた音?
「――ゴーン―――――ゴーン――――」
聞きなれた音・・・遠くから聞こえる・・・・
寝ぼけた頭では判断不能と思いあきらめて夢の中へ。
頭の中で警報がなる、危険信号・・・・・。
どうやらまた眠ってはいけないらしい
仕方ないと思いつつ、無理やり目を開く・・・・・。
「―――――――――ゴーン」
音はとまった、まだベッド中でうずくまり意味も無く空間を見つめている。
部屋が明るくなっている・・・・。
カーテンを閉めているためはっきりとした光は差し込んではしないが、カーテンの隙間から一条の光が差し込んでいる。
光が部屋に仕切りをいれてるかのようであり、空気を漂う少量の埃が光に当てられてきらきら光りなんとなく綺麗なものにみえる。
ふと、思う。
目覚めたときに見える光はあんなにつよいものだっただろうか。
「明るすぎじゃ・・・ない・・?」
ばさっ。ベッドからおきて窓に近づいてみる。
壁の向こうに大きく大きく張り出した出窓。
ここから見える景色はわたしの宝物のひとつである。
しゃっ。カーテンを広げると光が待っていたかのように差し込んでくる。
窓を開けるとすこし気温の低い風が部屋に流れ込んできた。
肌寒いがすこし寝ぼけたわたしには極上の目覚ましだった。
「んっ・・・きもちいい〜」
目が光に慣れてくると空が見えてくる。
・・・蒼だった。
青という形容では表せきれない色。
吸い込まれそうで、清らかな色。
それでいて寂しそうで・・・・・・悲しい色。
しばらくその色と景色を楽しんでみることにする。
周囲の町並みに視線を投げてみる、屋敷、商店、人ごみこの街は活気にあふれていた。
と、ふと目にとまるものがある。
街の中心にそびえたつ巨大な建造物。
この街の象徴でありこの街の存在意理由でもある。
その巨大な塔はある場所を封印していた。
この話は有名でおとぎばなしにも語られるほどのものである。
その塔の真上に世界を等しく照らすもの・・・すなわち太陽がある。
「・・・・・・え?」
真上・・・・?
一瞬頭の中が白紙になる。

先生、太陽は何で移動するんですかぁ?
それはだね、地球が自転しているからなんだ昔の人は太陽の位置で時間を知っていたそうだよ。
真上に来ると大体お昼なんですね。
そうだね、よくできましたー♪。

なんか変な会話が頭の中に出てきた。
お昼。
・・・・・お昼・・・・・
心の中で繰り返してみる。
理解しようとすると拒絶してしまう頭。
今日の天気は放心。
「!!」
のち驚愕となることでしょう。・・・・って
不覚・・・一生の不覚!!
まさか・・・まさかこのわたしが、寝坊するなんて!!
「あぅぅ〜このままじゃ、またおこられる〜」
がたたっ。
タンスを勢いよく開けると目的のもの、学院の制服を探す。
そう、わたしはこの魔法都市ゲフェンの魔法学院の生徒なのです。
え・・・わたしですか?
わたしはラティリア・ダクェイル。
14歳のぴちぴちの魔法少女ですよ〜。
ってそんな場合じゃないし誰に説明してるんだか。
パジャマのボタンをはずし上着を脱ぎ、羽織ろうとしたそのとき。
たったったったった、ばたん!!
ものすごい勢いでドアが開かれる、と同時に大きな声が放たれる。
「こらーーーー今何時だと思ってるんだぁ!!」

部屋に響き渡る騒音、あいかわらず・・・うるさい・・・。
「そんなことわかってるよぅ」
「わかってないからわざわざ起こしにきてやってるんだろうが!!」
「うるさいなぁ・・・今行くから部屋でてっよぅ」
そう言い放つとすぐさま部屋を出て行く、去り際に
「あいかわらず・・・胸・・・ちっせーな」
と捨て台詞を吐くのはわたしの一つ違いの兄ヴァイス。
見下ろしてみる。
裸だった、着替え中だったのだから当たり前なのです。
「兄様のスケベ!!変態!!ロリコン!!うわぁ〜ん」
がちゃ。再びドアが開く
「いいか俺にも欲情する相手を選ぶ権利がある、第一」
勢いよく腕を振り上げわたしを指す。
「自分でロリ気味だと認めたな、このお子様が!!」
ぐさぐさっ。胸に刺さる痛いお言葉で・・・。
「なんでもいいからあっちいってよ〜」
「いいだろう」
ばたむ。がちゃ。閉じてすぐドアが開けられる。
「そうそう、あいつさっきからまってるぞ」
なんですとーー!!。
「それをさきに・・・・・言えー!!」
怒りにまかせて近くにあった枕を投げつける。
ばたむ。ぼすっ。閉じられたドアに枕が激突。
おもいっきりドアの向こうにいるであろう兄様をにらみつけてみる。
たったったっ・・・・。
どうやら悪魔は去ったようだ。
にしても・・。
「きてるんだ・・あいつ・・」
はやく・・着替よう・・。


たんったたんったんったたん―――――
私が階段を下りるときの癖。
こんな風にいつもリズムをきざんでしまう、人それぞれ歩くときの足音には癖があるもの。
だけどわたしのは音自体がおおきいです、何度兄様におこられたことだろう・・・・。
うけたお仕置きは数知れず。仕返しの数のほうが多いのはかなり内緒です。
階段のしたでは見慣れた人影が私を待っていた。
「おはよう、ラティ」
彼の名はディグラッド=スレンニーわたしの昔からの友達、幼馴染。
年は10代半ばまだ幼さが残りつつも大人の面影を徐々に身につけていく年頃である。
普通、いたって普通の人。特に背が高いわけでもなく、特にかっこいいわけでもない。
日に焼けた金髪はきれいというわけでもなく、顔立ちも整ってはいるが目立つほどではなかった。
ただ・・・・・目を引く点がひとつある。
それは左目を覆い隠している眼帯。
彼の左目は見た目にはどうもなっていないのだが、光を感知することができなくなっていた。
そうなってしまったのはごく最近のこと・・・・・、私のせいです・・・・・。
私が魔法の実験のときに調子に乗って・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・思い出したくない・・・・・。
この話はまた今度に・・・・・・・。

「おはよう〜ディグ〜♪」
「よぅく眠ってたようだねw」
「あぅ・・・・・」
あまりの恥ずかしさに顔赤いです、いじめちゃいやです。 「あはは、ラティらしいよ」
なんか私のイメージってそんなんですか?
「いじわるぅ・・・・、朝ごはん食べてくるからもうちょっとまってて(汗」
「うん、あんまりいそぎすぎてのどにつまらせるなよw」
「あいあい〜」
ディグにはもうちょっと待っててもらって朝食でもとらなきゃね〜。
ダイニングにいくとテーブルに一人分だけ朝食が用意してありました。
私の大好きなりんごのジュースにサラダにトーストっ♪
「いっただきまーす♪」
トースト〜♪さくさくさく
サラダ〜♪しゃくしゃく
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
がつがつがつ――――。
「?!」
案の定詰まりました。
「んぐぐ(ジュースジュース)」
ぐびぐびぐび――――。
「ぷっはぁ、しぬかとおもったぁ」
気を取り直して朝食再開です。
「絶対女の子の食べるスピードじゃねぇよなぁ・・・・・・・」
ふといつのまにか背後に立ってらっしゃるおにーさま。
「・・・・・・・・・・・時間無いから仕方ないのっ」
「・・・・・・・この間、角のパンやの早食い大会で優勝してたのはどこの誰だ?」
「・・・・・・・・・・。」
「しかもだ、賞品としてもらったパンをその場でおいしそうに食べてらっしゃったのはどなた様でしたかねぇ」
「・・・・・・だれだろね(汗」
「グラサンつけただけの変装して・・・・・・お前はそれで俺の目をごまかせると?」
ビシッ。突如凍りつく空間。
「わ・・・わたしにはなんのことやらさっぱり。(汗」
「ここまできて白を切れるお前を尊敬できるな・・・・・まぁいい早く食えよ」
ダイニングの外に出て玄関のほうへ行っちゃった。
ちょっとするとディグと兄様の声が聞こえてきた、兄様とディグはとても仲がいいです。
ゆっくりご飯を食べつつ耳を傾けてみる。

「おはようディグ」
「おはようヴァイス]
(むぐむぐ)
「すまんなウチの爆裂娘が待たせてしまって」
「あはは、いやいつものことだし」
「まぁそうだけどなw」
(・・・・・・。むぐ)
「しかしお前もかわってるよなぁ・・・・・・あれのどこがいいんだ?」
(ふぇ?)
「おいおい僕たちはそんな仲じゃないって、しってるだろうに」
「そうかぁ?お前のほうはどうかしらないけどあいつはお前にかなり好意を持ってるみたいだがなぁ」
(ごくごくごく・・・・・・ぶっ。)
「聞こえてるんじゃないのか?本人の前でそういう事言わないほうがいいとおもうけど」
「じつはな確固たる証拠をみてしまったからなんだ」
「証拠?」
「うむ、あいつの部屋の机の引き出しの上から三番目が二重底になっててなそこにあいつがいつもつけてる日記が―――」
ぱっかーーーーーん。兄様の頭にスリッパが命中するもちろん投げたのは私ですが。
「うむ、痛いぞ妹」
少しも悪びれた様子も無く向こうを向いたまま平然とたってるし。
「人の日記かってによむんじゃなーーい!!」


さてさていつものごとく兄様にからかわれた後登校です。

ここでちょっと説明の時間です♪
私たちが通っているのはゲフェン魔導学院といいます。
ただ単に学院と呼ぶことが多いです。
ここは国内で唯一の公立の魔法学校ではあるのですが、ほとんどふつーの学校とあまり変わらなかったりします。
数学に古代語学、体育なんかもあったり。
ゲフェンで生まれた子供達は、ほぼまちがいなくこの学院に通うことになります。
わたしは学院の中でも魔法技術を主体に教えている学部に所属し、クラブは・・・特ににはいっていません。
ディグは生まれつき魔法に関しては才能が無かったので通常の教育のみを教えている学部に所属し、剣術クラブに入っています。
「ラティはきっとすごい魔法士になるからさ、そのときは俺が君の盾になれるように剣士になりたいんだ」
――――ていうのがディグの夢らしいです・・・・・(赤面。
とまぁこんな感じで説明しゅーりょーです♪

お昼をすぎて一時間ほどたったころ。
ちょっと駆け足で行かないと間に合わないって言うか、アウトなんですけど。
「急ごう、ラティ」
ディグに手をひかれ、駆け足で街を駆け抜けていく私。
(ちょっと幸せ〜・・・)
ちょっとだけ幸せな時間をすごせてらっきーな私(遅刻の事はおいといて)。
まちの中心にそびえる塔の横を通り過ぎ、長い長い階段を一気に駆け上がる。
運動が嫌いな私は階段を上るのも一苦労なのです。
わざわざこんな階段を通るような所に学校作らなくてもいいのに・・・。
なんて都合のいいこと言ってても仕方ないのでがんばります。
階段を上り終えると学校はすぐそこです、ラストスパート〜。
「ディ、ディグちょ・・速・・・」
ちょっと遅れ気味になってバランスが崩れかけました。
ガッ・・・べたっ。
崩れました。
「うわ、ラティごめん大丈夫?」
「痛いいたいイタイ・・・痛いよぅ・・・・。」
鼻の所を少しすりむきました、すごい痛いというわけでもないのだけど・・・。
優しくされたいっていうのが乙女心ってものです。
「立てる?」
「・・・うん。」
ディグに抱き起こされながら立ちあがる。
するとそこへ、
「朝からイチャイチャしてるんじゃないわよ!」
と、罵声が。
声のした方を振り返ると、仁王立ちの少女がいる。
もちろん見知った顔ではあるけれど・・・。
「もう、昼だけど・・?」
一応ツッコミをいれておかなきゃね。
「う、うるさいわね、私が起きた時が朝なのわかる?ラティリアさん?」
その少女―――シルヴィン・レヴェオルヌは思い切り動揺してました。
ふと、ということは――
「つまりあなたも遅刻なんだね、シルヴィンさん」
・・・・時が止まりました。
私はついに時を支配する魔法を身につけてしまったんだね・・・。
この人はシルヴィン・レヴェオルヌという何故か私に良く絡んでくる人です。
同じクラスで最悪なことに席は隣、成績も近いらしくテストの時は勝ったの負けただのかなりうるさいです。
「―――そいつの文句を言い出した時期から成績があがっているな。互いを高めあってるライバル関係みたいなもんじゃないのか?」
と、兄様にいわれました・・・そうなのかなぁ?
「ラティ?」
「・・?なに?」
ディグがすごく困った顔をしてます。
「これ以上遅れると午後の講義にも遅れるよ?」
登校途中だということをすっかり忘れてました・・。 「ぁう、行こ〜ディグ〜、シルヴィンあなた・・も・・?」
先ほどまでそこで固まっていた人がいません。
通学路の先を見ると猛ダッシュで遠ざかっていく人影が。
「シルヴィンさんなら先にいったよ?」
・・・・・・・・。
「オノレ!あの女〜!」
全力ダッシュ!!
自分だけ助かろうって根性が許せません、だいたい誰のせいで遅れてると思って!!
「人のせいにしちゃいけないよ」
何故かディグがツッコミを・・・・。
口に出してないのになぁ・・・、バレバレなのかな?


午後の講義にはギリギリ間に合いました。
午前の分はしっかり怒られましたが・・・・・。
「ごめんねぇディグ・・・・」
「気にしない」
そういいながら凹んでる私の頭を無造作になでる。
くしゃくしゃって音がしそう。
ふと、ディグは何か思いついたような顔をしたです。
「これから予定ある?」
「ん・・・・ないよ、講義は今日はあれだけだったし」
それを聞くと、ディグは言いました。
「展望台に行かない?」
展望台というのは、町はずれにある空中に浮いてる小さな島のようなところです。
なんのために作られたのかよくわかってません。
見張り台という意見もあるようですが、今のところちゃんとはわかっていないようです。
一応有名な場所です。
ただ、デートスポットとしてなんですけどね〜。
って、デートスポット・・・・・。
「それって・・・・デート?」
にやけながら冗談半分で聞いてみました。
ディグからそれらしいこと言われたこと無いし、ちがうのだろうけど――
「そうだよ」
・・・・・・・・・・・・・・・いまなんと?
そうだよ、と。
それは肯定であり、デートにお誘いしてるゾっていう事であって初デートな訳で。
そうそう心構えが大事です、やっぱいきなりチュウまでしないよねぇ?
あ、でも隣のお姉さんがくれた本には始めてのデートで最後ま・・・・で・・・・・。
ディグも男の子だしもしかしたらいきなり・・・・・なんてなことに?!
そんなことになったらどうしよう・・・・でもでもディグなら・・・・。
「ラティ・・?」
「うひゃぁっ?!」
不意に顔をのぞき込まれ思いっきりのけぞる私。
後頭部に鈍い衝撃が・・・・・。
「どうしたの?急にブツブツ」
「え?・・・・いやその・・・」
さっきまで考えたことを思い出すとやばいくらいに恥ずかしいです。
「なんでもないよ、うん」
穴に入りたい衝動にかられつつ、ごまかしを決め込みました。
「それで、行かない?」
「いきますっいかせてくださいっ!」
全力で返答!
ここで行かなきゃ乙女じゃない!
「それじゃ行こうか・・っとその前に」
歩き出してすぐに振り向いて
「ラティ、その涎をふいた方が良いんじゃないかな?」
うあぁぁ恥ずかしい!
いつも持ち歩いてるハンカチで拭こうとしたら、遅刻のせいで忘れてました。
仕方ないので服の袖で・・・。
「もう、ない?」
ディグに涎の確認をする私。
なんだかカッコワルイ。
「ないよ、さぁいこうか」


展望台につくころには空は夕焼けに染まり始めていました。
「いつきてもすごい眺めだねー・・・」
展望台の高さはかなりのところにあります。
雲が下に見えるくらいです。
二人だけの世界って感じ・・・まさにデートにぴったりな場所なわけで。
「うん、まるでこの世界には僕らしかいないみたいだね」
「・・・うん」
なんか今日は妙に積極的。
「あの、今日はどうしてここに?」
「うんちょっと話があるんだ、あと渡したいものも」
そういうと彼はカバンの中から長方形の箱をとりだしました。
ラッピングにリボンがしてあってなんだか誕生日のプレゼントみたい。
「この間、クラブの合宿でいった首都で買ったんだ」
そういうと私に渡してくれました。
「あけてみていい?」
彼の了解を得て包装をはがし、箱を開く。
「これは、ロザリオ?」
箱のなかには銀の十字架に鎖を通したものが入っていた。
夕日に当てられて幻想的な輝きを放っている。
「ほら、この間クラブの遠征でさプロンテラまで行っただろ」
「うん、首都の兵士訓練校の学生をぶちのめしてきたんだよね?」
「ぶちのめしって・・そんなに楽じゃなかったよ、まぁそれはおいといて、そのときに露店で見つけてね」
「ふーん」
「幸運をよぶロザリオらしいよ」
「またなんかあやしげな・・サギなんじゃないの〜?」
「まぁその商人さんは、『すくなくとも買ってくれたら私は幸せになるんだけど』っていってたけどね」
「そりゃそうだろうけどさ・・」
正直な商人もいたものです。
「売り文句はさておいて、ラティそういうの好きだろ?」


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