水中眼鏡の夜 The Night of Goggles

生温く薄暗く薄汚い廊下を進んで突き当たりで右に曲がる。黒く塗られた三つ目のドアには蛍光オレンジのアルファベット。

【Goggles’ Night!】

恐る恐るドアを開ければピンクの水中眼鏡が迎えてくれた。ノースリーブの白いブラウスに黒いプリーツスカート。真ん中一つだけ留められたボタン、非日常的な短さのスカート。真っ青なベリーショートの彼女に手を引かれ二つ目のドアをくぐる。一歩踏み込んだ途端無数の水中眼鏡が一斉にこちらを向いた。

ようこそ我が水中眼鏡の会へ。
出来れば次回からは白いシャツでお越し下さい。会則ですから。
ああ、申し遅れました。私が会長の魚住です
どうぞお掛けになって下さい。今お茶を…。
え?ええ、女性会員は少ないですね何しろ髪型が限られますから。
はい、はい、その通りです。でも実はコツがあるんですよ。
ははは。
あ、有難うございます。もう長いですからね。あなたも良くお似合いですよ。
いやいやとんでもない。
では、活動内容の説明に入りましょうか。
えーと…@スライド、Aビデオ、B耳元で囁く、があるんですけど。
え?B?……いいですよ。少々お待ちください。歯ぁ磨いてきます。


NOVEL