研究紹介

【解読】
 条幅(3) 昨 夜 光同 如 葦 今 朝 開 似 杯 此 花 
       能 得 ? 酒 与 詩 催 来
読み下し 昨夜(さくや)は 葦(あし)の如(ごと)く 光(ひかり)り輝(かがや)き 今朝(けさ)は
       花(はな)開(ひら)き 此花 (このはな)は杯(さかずき)に似(に)たり  能(よ)く
       ?(みのり)を 得(え)て 酒(さけ)詩(うた)を与え 来(く)ることを 催(もよお)す
            
 語意  光同(けい)光編に同・・・光る、あきらか 
      昨夜(さくや)・・・昨日の夜
      葦(あし)・・・イネ科の多年草、秋に穂状の花を開く
      花(はな)・・・蓮の花(杯の形に似ている)
      与(あたえる)・・・原文は旧字体
      *おそらく、葦が生え蓮の花が一面に咲く場所は 琵琶湖かと 思われる。
        季節は、7〜8月と推測される。
  
 解釈   昨夜は、葦のように 輝いていたのに 今朝は 花が開いていいます。
       なんだか杯に似ていて あたり一面に咲いています。 
       酒に酔うと詩を詠みたくなり ここに また 来て見たいと思います。
落款   題 朝香  (だい あさ の かおり)
      八十叟 一 角 書 (八十 おきな  いっかく しょ ) 
      叟(そう、おきな)・・・翁(おきな)・・・年寄りのこと
落款印(白文)  扶 桑 一 夫 印 (ふそう かずお いん)
     (朱文)   微 塵 (みじん)  仏道修行の妨げとなる欲(六塵)の
  内のほんのわずかな欲のこと。
                         
関防印 (白文)   到 手 (とう しゅ)・・・機会が到来すること 
                                      以上
                                      文責:尾臺 成大