【釣りの成果?】
アイナメという魚の名前を聞くと小学生の頃のある出来事が思い浮びます。


  我が家から30分位歩くと東京湾の岸壁に辿り着く。 子供の頃、1人でよく釣り竿を担いでハゼ釣りに行っていた。
ある日、1匹も釣れずに半ば諦めていた所、変な感じのおじさんが後ろに立っていた。 「坊や、ちょっとこっちにおいで」と声をかけられ、疑うことのない子供心、ノコノコとその後に着いていった。 其処は火力発電所内の海水(冷却水)取入口で、海水と魚をトラップして分ける所だった。 その口の網棚には ”くらげ”や ”カレイ”と混じって ”アイナメ”が沢山乗っていた。 そのおじさんは、その魚を定期的に取り除くのを仕事にしている人でした。 沢山のアイナメをもらって家路についた。帰る途中、すれ違いの何人かの人から釣りの成果?と思われ、 驚愕と賞賛のお言葉を戴き、子供心ながら内心ほくそ笑んだ。 当然、その日の我が家の夕食は、美味しいアイナメの煮付けで食卓を賑わした。 翌日、隣のおにぃーちゃんがそれ(釣りの成果?)を聞きつけて一目散に釣りに出かけた。 当然、手ぶらで帰ってきて、何も釣れなかったと不満げに私に文句をいった。 私はうつむいて黙ったまま、こみ上げてくる笑いをこらえていた。                                
平成12年 8月13日 記
小学4年の頃

 
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