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環境保全の手法・規制的手法


環境保全のために様々な制度・施策が出てきていますが、それらの手法は規制的手法と自主的手法に分類することができます。規制的手法は、法的義務を履行させることにより、環境負荷の低減などを行う手法。最も直接的で、伝統的な手法です。法的義務には以下の形態があります。

業規制  一定の業を実施する者に、許認可・届出を義務づけたり、一定水準の技術・資本・人的な条件を満足することを求めるものです。
組織規制  施設設置、操業、一定の事業につき、環境保全を目的とする組織の設置を義務づけるものです。公害防止統括者、公害防止管理者の設置など。
施設規制 施設の設置、操業、変更、操業停止について許認可・届出などを義務づけたり、一定水準の技術・資本・人的な条件を満足することを求めるものです。
利用規制 土地・施設等の利用を禁止、または制限するものです。
行為規制 施設を設置、操業、操業停止する者、または一定の事業を行う者に、一定の行為を義務づけるものです。排出基準遵守義務、総量規制遵守義務、測定義務など。
 
ひとりごと
規制的手法は、法的拘束力により実効性が担保される強力な手法といえます。特に、特定の事業者などが大量の環境負荷物質を排出する状況などでは効力を有し、公害の克服に大きく貢献しました。今後も環境保全上、最も重要な役割を担っていくと思われます。しかし公害問題が一段落した現在では、自動車や個人の生活などの小規模かつ多数の排出源からの環境負荷が問題となってきています。このような問題に規制的手法を用いると、監督行政庁が個人の生活を監視し、規制をかけるという非効率・高コストを極める対策となってしまいます。そこで地球温暖化対策や廃棄物対策には、規制的手法だけでなく以下に述べる自主的手法などを上手くミックスして実施していく必要があるようです。

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環境保全の手法・自主的手法


環境保全のために様々な制度・施策が出てきていますが、それらの手法は規制的手法と自主的手法に分類することができます。法的義務に基づくことなく実施する環境保全措置。各主体の自主的な取り組みに期待するもので、実効性をいかに担保するかが重要となります。自主的手法には以下のものが挙げられます。

環境管理・監査システム  などの環境管理・監査システムは、事業者の自主的環境保全措置をシステムとして標準化したものです。標準システムに合致しない場合は認証を与えない制度により実効性が担保されています。
自主協定  事業者団体、複数の事業者による合意形成により自主規制を行う手法。例えば地球温暖化防止のために経団連自主規制など。また事業者団体・複数事業者と政府や地方公共団体との合意形成による協定も含みます。これらは、法律制定による法的責任を回避するために行われることが多いようです。自主規制や協定には法的拘束力がない物が多く、開発段階の技術導入、厳しい目標設定に関する合意形成を促進することが期待されます。その一方で、実効性をいかに担保するかが問題となります。
公害防止協定  事業者(環境負荷物質排出者)などが地方公共団体、または住民との間に結ぶ環境保全措置に関する協定。協定の形態・内容は様々ですが、以下のような内容がみれらます。
  • 法令上の規制よりも厳しい排出規制を行う。
  • 環境汚染物質排出防止施設の設置を義務づける。
  • 施設の設置、増設、変更に承諾・協議を義務づける。
  • 環境汚染物質の排出、環境濃度の測定を義務づける。
  • 立ち入り調査権を認める。
  • 協定上の義務違反に対する制裁、損害賠償を認める。
  • 損害賠償について無過失責任を認める。
  • 情報公開を認める。
など。
 公害防止協定は、私法上の契約とされ法的拘束力を持つとするのが通説になっているようです。このため、知事が定める公害防止計画を具体化するための手段として用いられることもあります。
誘導的手法  自主的な環境保全行動へ誘導するためにインセンティブをコントロールする手法。経済的手法とも呼ばれる。その方法として、以下の物が挙げられる。
  • 環境保全措置に対して経済的・行政的等の優遇措置を与える。(補助金、免減税、行政手続簡素化など)
  • 負の影響をもち行為に不利益措置を加える。(課徴金、加増税、行政手続加重など)
  • 市場原理を利用して費用対効果の高い環境保全手法を許容する。(排出権取引など)
 この手法は、環境保全型の行動を促す働きをしますが、政策決定者はその効用を得るのに十分なインセンティブを付与する必要があります。


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