肉屋の仕事風景

  生肉を扱う肉屋として,心がけていることは二つあります。
一つは温度管理です。肉は高温にさらされるとあっという間に雑菌が繁殖してしまいます。仕事場は冬を除きエアコンで16℃設定しています。加工した肉はすぐに冷蔵庫に戻します。
もう一つは衛生管理です。例えばまな板は毎日せっけんとお湯で洗い、冷蔵庫に保管します。仕事中は時々汚れを除き、アルコール消毒します。   
  牛のパーツはさすがに大きく、写真の「クラシタ」は20kg近くあります。 整形では、筋を引き、脂を削り、残骨をチェックし、その後のスライスやカットに使いやすいよう形を整えます。
 常に頭を悩ませるのが部位毎のバランス調整です。まぁのは牛・豚を一頭買いしており、消費者の皆さんのご注文が部位バランスに沿ったものになるとは限らないからです。売れすぎる部位はブレーキをかけ、余るものはプッシュし時にはセールします。
一頭買いにこだわるのは、肉屋は生産に沿うのが基本のスタンスだからです。またそのことで確かな生産情報を伝えることもできます。 
 
  豚は牛に比べると5分の1くらいの大きさですが、それだけに細かい整形が必要です。冬は特に脂が乗って美味しそうですが、表面は5ミリから1センチくらいまで大量に脂を削らないといけません。
二ヶ月に一度ほど職人さんに来てもらい、一緒に仕事をします。まぁの立ち上げの時に、素人に近かった小村に手取り足取り教えて下さった方です。フレッシュ牛肉製造など仕事がつまっている時に来てもらうのですが、今でも新しいことを教えてもらったり、お肉に関する情報の交換など、小村にとっては貴重な機会です。   
  職人さんと2人で仕事をする時は主に彼にスライサーについてもらい、小村は盛り付けをします。写真ではわかりませんが、いろいろ相談などしながら会話が弾みます。二人だと仕事の流れができて、効率もいいようです。
“手仕事”にこだわるまぁのとしては唯一の機械らしい機械がこのスライサーです。スライスが好まれる日本では必要不可欠の機械です。厚みの調節で1oの極薄シャブシャブから5oのアミ焼きまで作ることができます。
 使用後の掃除は、肉片や脂などを残さないように徹底してやります。 時々来るメーカーの社員は「まぁのさんとこ、いつもきれいですねぇ」と、お世辞とも思えないように感心してくれます。
 
  ブロックや焼肉などは包丁で手切りします。サク取りした肉を基本5o厚で切っていきます。肉の柔らかさによって厚みを変えます。 
量目を測ったお肉をまず経木で包み、それからNP袋に入れます。経木は主に赤松をスライスしたもので、肉の水分を適度に保ち殺菌効果もあります。生産者は少なくなりましたが、国産の天然材料ですぐれた包装材だと思います。今は四国から送ってもらいます。

NP(ナイロンポリエチレン)袋は、燃やしても有毒ガスを発生せず、空気や水分も通さないためお肉を保護してくれます。 
 
  ミンチはチョッパーという機械で作ります。パーツ肉を整形して出てくる整形くずと、チマキと呼ぶスネ肉やネックなどを混ぜてミンチ材料を作ります。
 
ミンチだけトレーを使います。NP袋に直接入れることも試みましたが、どうしてもうまくできません。ベストではありませんが、今のところトレーを使っています。    
  日常は、小村幸治がお肉の整形とスライス・カットを行い、つれあいの幸子がお肉のパック・発送などを担っています。  

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