前提
天和というのは、来た配牌がアガっているかどうかがわかるという最低限の麻雀の技量さえあれば、アガる事が可能です。また、配牌のみですべてが決定するので、いわゆる「麻雀の腕」とも無縁の存在である。したがって、その発生確率は、数学的組み合わせのみで、求めることが可能と考えられる。
その発生確率Pは0.000002998(約33万分の1)とされており、今回はこれを既知のものとして扱う。
問題(1)
RT麻雀公式戦は今期で第20期を迎えるが、通算で約4万半荘
(1半荘12局)と推定すると局数で換算して48万局)行われている。しかし、この48万局という回数の配牌をもってしても、いまだ天和の発生は確認されていない。このようなことは、統計学的に十分ありうるか。ポアソン分布による比率の検定で解け。ただし有意水準は5%とする。
※天和の確率=0.000003 (約33万分の1) として既知とする。
回答
発生確率が極端に小さく、データ数も大きいので、発生数
r はポアソン分布に従うものとして、確率を計算する。
期待値mは、(n:局数、 p:天和の確率)
m=np=480000×0.000003=1.44
期待値mに対するポアソン確率は、
r e^(-m)*m^(x)
P(x≦r)=Σ----------------
x=0 x!
ただし e は自然対数の底(2.71828・・・・)であり、「
! 」は、階乗の記号。
x!=x*(x-1)*・・・・*1
「^」は、累乗の記号のつもりです。
したがって、
e^(-m)*m^(0)
求める確率=P(r=0)=---------------=e^(-m)
0!
=e^(-1.44)=1/4.2207=0.237>0.05
48万局の回数の配牌で、一回も天和が出現しない確率が、0.237と計算され、この確率が有意水準の0.05を大きく上回っている。すなわち、48万局の回数の配牌で一回も天和が出現しなくても、何ら不思議ではないと言える。
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問題(2)
では逆に、何十万局やって1回も天和が発生しなかった場合に、RT麻雀プログラムにおける天和発生率が有意に低く押さえられているといえるのか。その局数を求めよ。有意水準は5%とする。
問題(2)回答
問題(1)で計算した確率が、ちょうど0.05になる局数を逆算で求めればよい。
P(r=0)=e^(-m)=0.05
この方程式を解く。
e^(m)=20
m=log20=2.9957 (対数の底はe)
すると、
m=np=n*0.000003=2.9957 であるから、
∴n=2.9957/0.000003=998577 → 約100万局
1半荘12局とすれば、998577/12=83215 → 約8万3千半荘
したがって8万3千半荘 (RT麻雀で推測すると第40期相当か)行って、天和が一回も発生しなかった場合、RT麻雀プログラムの天和発生率が、有意に低く押さえられているといえる。
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FMAJAN1/MES12/1120の「半荘100回で1回も役満をあがれない確率」に次ぐアカデミックな「麻雀−確率統計問題−」のつもりですが、どうかな?(。_゚☆\
ベキバキ
この2問とも、麻雀における事象を確率統計学(大学の教養レベル)で当てはめて計算しています。事象への当てはめは私のオリジナリティーです。(by 多摩(ターニア))
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