Mahjan talk 雀話


    (2)定跡のアリの実


 アリアリとかナシナシと言っているうちに、ふと昔話を思い出した。といっても自分の話ではない。

 天野大三という名前を聞かれたことがあると思う。S57年1月に亡くなられたが、日本牌棋院という麻雀団体の設立者で、日本で最初に立直ルール(報知ルール)を成文化した人。一般的には入門書や戦術書の著者としか知られていないかも知れないが、ルール論や歴史論でもすごい人。

 この方が昭和11年頃、山陰地方に下向していたとき、山陰日々新聞に麻雀定跡論を半年ほど連載していた。米子市の麻雀荘の経営者がこれを読んで感激し、以来天野氏と親交が続いた。そして天野氏が帰京してからも、毎年、ずっと米子名物の二十世紀(梨)を贈り続けてきた(第2次大戦後もかなり続いていたらしい)。

 日本牌棋院では、みんなでこれをおいしく頂いたわけであるすが、いつしかこれを梨(ナシ)ではなく、「定跡のアリの実」と呼ぶようになったという話。

 うーーーむ、完先のナシナシとは天地の違い。(笑)

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