Mājan talk 雀話

    (177)ソーシキ麻雀.


 先般、老人会 青年会に顔をだしたとき、Fさんという人生の先輩から聞いた話。
 名古屋市の某区にソープランドとか健康マッ-サジとか、風俗産業が集まっている地区がある。当然? OO一家とか××組などがある。そこにFさんの親戚女性が経営する大衆食堂があった。普通の大衆食堂だが、場所がら893の若い衆も一杯くる。お客さんとして来るだけなので、女将さんとしては単なる常連さん。

 しかし若い衆の中には、司法のお世話になる人がけっこういる。すると女将さんは頼まれたわけでもないのに、そのたびに食事などの差し入れをしていた。どうやら女将さんとしては、(常連さんが不自由な思いをしてるだろう)ということだったらしい。

 20年ほど前(1990年頃)、そんな女将さんが病気で亡くなった。近所のお寺さんで葬儀をすることになって、Fサンをはじめ親族が準備をしていた。すると葬儀の始まる1時間ほど前、突然10人ほどの893が入ってきた。6,7人は若い衆だが、4人は幹部だか親分のような雰囲気。とくにそのうち1人は紋付き袴姿。

 親族がびっくりしていると、和服姿の親分曰く。
このたびはまことにご愁傷さまです。ついては○○さま供養の麻雀会をしたいと思いますので、少し席をお貸しください

 そう云うと、あれよあれよという間に若い衆が持参した麻雀卓を お棺の前に用意。和服姿をはじめ主立った4人が座ると、取り囲むように若い衆が並ぶ。座った和服親分がフトコロから100満貫ほどの紙束を出すと、ほかの3人も それくらい出した。そして おもむろに麻雀が始まった。
 Fさんは麻雀に詳しくないので よく分からなかったとそうだが、なんだか普通の麻雀と違う感じだったとか。ルールはともかく、アガリは紙束で直接精算。しかし誰がアガっても、紙束はすべて和服親分の手許に。そんな感じで1ゲームを1時間ほどで終了。

 すると親分が手許に集まった紙束をまとめ、「些少ですが、香典です」といって親族代表に差し出した(あとで数えてみると、100満貫ほどあったという)。そして若い衆を引き連れ、あっという間に帰っていったそうだ。

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