「日本雀道清規」
(日本雀学の祖といわれる 榛原茂樹氏による日本最初のマナー集)
第 一 条
一期一會なり。荀しく時に遅るるなかれ。
第 二 条
晴朗和順の會、巧言令色入るべからず。
第 三 条
賓客相揃はば、板を打って案内を報すべし。
第 四 条
手水のこと、專ら心頭をすすぐをもって斯道の肝要とす。露地の樹石、天然の趣、その心を得ざる輩は速やかに歸り去れ。俗念を去り、ひたすら竹林に遊ぶの心情をもって雀盧に向かふべし。
第 五 条
主人出請して客、盧に入る。盧は明るく、塵を止めず、爐に松風あり、墨跡、瓶花、香、煙、茶のほか、贅者なし。客は行厨を携へ、主は一汁一菜一菓を傾ふるのみ。
第 六 条
長者擲荘の古法忘るべからず。
第 七 条
入局闘牌、先ず品を錬る。品はよろしく鎮静、軽浮なるべからず。順時驕らず、逆時泰然たるべく、色に現はさず、聲に動かさず、爾雅温文を上乗とす。
第 八 条
完全なる洗牌は徳に入るの門なり。
第 九 条
骸子使用せざる時、常に荘家の前に置くべし。井圏は右肩を前方斜めに突き出すべし。競技中推牌を怠るべからず。砌牌は六敦・六敦・五敦の法による。
第 十 条
洗牌・砌牌・擲 骸・配牌・理牌・推牌・摸・打・吃・ポン・槓以外のとき、卓上に手を出すべからず。
第十一条
打牌は静かに前に並べ、卓に打ちつくべからず。摸は上家打牌後、ポン・槓の余裕を置きてなす。
第十二条
吃はポン・槓の余裕を見てなすべし。吃した順子をさらしたる後、打牌すべし。打牌した後、順子をさらすべからず。尚何牌を吃したるか明示すべし。ポン・槓は神速になすべく、作法は吃に準ず。
第十三条
先自摸をなしたるものに者に対して、三家は目のあたり、これを指責する義務あり。
第十四条
他家の牌をのぞき見するのは乞食の所業なり。犯したる場合は即時局を中止し、満貫額を三家に支拂はしむべし。
第十五条
傍観者助言禁物。
第十六条
一切の懸賞法、逆運轉換法を嚴禁す。
第十七条
花牌を用いることを禁ず。
第十八条
本規不備の部分は日本麻雀標準規定を準用す。
第十九条
競技規定を不断に検討し、精ますます精を求むべし。
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