一般的に聴牌型といえば、単騎/辺張/嵌張/両門張/三門張/双ポン/変則の7種ということになっている。しかし実はこの中の“変則”というのが大いに曲者。単騎/辺張/嵌張の3種は、どうやったってそれしか無いという聴牌型。しかし両門以降は、その文句の前に“変則”と付くと大いに変化する。
といっても変則両門張はまだ分かりやすい。単純にいって単騎と辺張、あるいは単騎と嵌張の複合のどちらかである。しかし変則三門張となると、ぐんとバリエーションが増える。四門以上となればなおさらである。そこで中国でも特徴的な聴牌型については、多少の分類が行われている。
とはいえ中国での分類は、それほど突っ込んだものではない。しかし国民性の違いなのだろうか、日本人はこういう事をあぁだこうだといじくるのが大好き。そして私は日本人である。(笑)
そのような特徴的な聴牌型について、百貫雀さんの「雀のお宿」に「聴牌コール」というタイトルのコラムがある。うむ、百貫雀さんも紛れもなく日本人だ。(笑) とはいえ人が違えば方向性も多少は異なってくる。そこで以前、ひねくり倒したそのテーマを紹介する。題して「T-モード」
たとえば1156789という面子。待ちは47であるが、11/56/789という3面子に分けられる。このうち47という待ちに関係のあるのは、56という搭子だけである。この47という待ちを発生させるが雀頭を持たない56という搭子を素面子(そメンツ)と称する。その素面子は、単騎/辺張/嵌張/両門/三門の5種類である。
牌式 型式 素面子牌姿
単騎 100000000 [DTA] 1(表面子)
010000000 [DTB1] 2(表面子)
001000000 [DTB2] 3(表面子)
000100000 [DTB3] 4(表面子)
000010000 [DTB4] 5
000001000 [DTB5] 6(裏面子)
000000100 [DTB6] 7(裏面子)
000000010 [DTB7] 8(裏面子)
000000001 [DTB8] 9(裏面子)
辺張 110000000 [DPA] 12(表面子)
000000011 [DPB] 89(裏面子)
嵌張 101000000 [DKA] 13(表面子)
010100000 [DKB1] 24(表面子)
001010000 [DKB2] 35(表面子)
000101000 [ZKB3] 46
000010100 [DKB4] 57(裏面子)
000001010 [DKB5] 68(裏面子)
000000101 [DKB6] 79(裏面子)
両門 011000000 [DRB1] 23(表面子)
001100000 [DRB2] 34(表面子)
000110000 [DRB3] 45(表面子)
000011000 [DRB4] 56(裏面子)
000001100 [DRB5] 67(裏面子)
000000110 [DRB6] 78(裏面子)
三門 011111000 [DSB1] 23456
001111100 [ZSB2] 34567
001111100 [DSB3] 45678
対子は独立した状態では待ちを発生しない。しかし待ちに関係あろうがなかろうが、存在することがアガリへの絶対条件である。そこで聴牌型は、1枚/4枚/7枚/10枚/13枚という雀頭を含んだ形以外は存在しないことになる。もしこれ以外の聴牌形手牌があれば、それは絶対に多牌か少牌している。(笑)
すなわち雀頭を含まない素面子だけの聴牌型手牌はあり得ない以上、56という搭子が有効な聴牌とされるには、対子(雀頭)を必要とする。そこでたとえば1156という形で、雀頭が47という待ちへの関連は無くても、56という搭子に11という対子を加えた1156というのが有効な聴牌手牌となる。この頭待ちを含まない1156という聴牌部分を単面子と称する。
※裸単騎状態の1枚は、単面子であると同時に純面子である。
またたとえば13345という5枚型は、13という嵌張と345の順子という他に、135という両嵌(リャンかん)と34という順搭(シュンター)が重なり合ったダブル単面子とも考えられる。また13567という5枚型の場合なら、135という両嵌と67という順搭の組み合わせと考えられる。そこでこのような形をダブル搭子と称する。
また1156789という形の場合、単面子以外の789という順子は、別にこれを省いても47という待ちに変化は生じない。すなわち789の順子は、聴牌を考える上では余剰な面子といえる。この余剰面子を含んだ1156678という全体を連面子と称する。
※あくまで物理的な待ち牌が47ということであって、「678が無ければ、嵌7という待ちが考えられなくなる」というルール上の理屈は考慮外。
また1234、あるいは2345678、3366678 というような形は、雀頭と面子が完全に融合し、どの1枚が欠けても14、あるいは258、369という聴牌がなりたたない。このように余剰面子を持たず、純粋に必要牌だけで成り立ち、かつ雀頭待ちを含む未完成聴牌型を純面子と称する。この純面子の完全型は手牌13枚によるもの、すなわち九蓮宝灯およびは国士無双の純正聴牌型である。
この面子の分類は聴牌型の前にアルファベットを用いた聴牌記号で示す。聴牌記号はよく使用されるものや、あまり使用されないものなどあるが、各記号の意味は次の通り。
聴牌記号
A |
アーキー |
J |
純面子 |
S |
三門(3) |
B |
ブラザー |
K |
嵌張 |
T |
単騎 |
C |
チャイルド |
L |
連面子 |
U |
裏面子 |
D |
ダブル搭子 |
M |
マザー |
V |
片 双 石並 |
E |
単面子 |
N |
(7) |
W |
双 石並 |
F |
(6) |
O |
表面子 |
X |
任意牌 |
G |
(5) |
P |
辺張 |
Y |
(4) |
H |
(8) |
Q |
(9) |
Z |
絶対型 |
I |
(1) |
R |
両門(2) |
& |
同位型 |
記号は日本語における発音の頭文字をとったもの(J=純面子、K=嵌張など)やら、英語のイニシャル(A=アーキタイプ、M=マザーなど)、あるいはその形態からの連想(W=双 石並など)など、思いっきり適当。(^^; この聴牌記号で表される全体式を「型式」と称する。
そして仮りに型式に2Tと記されている場合は延べ単を表し(とうぜん3Tは三門単騎を表す)、2Rと記されている場合は、14・25のように異なる両門待ちが2種類あることを(いわゆる変則四門張の1種)、RSと記されている場合は、147・25のように両門張と三門張がそれぞれ1種存在すること表す(いわゆる変則五門張の1種)。また聴牌記号は単騎/辺張/嵌張/両門/三門の順で表記する。
牌型には、同位型があるものと、絶対にその型しかないという2種がある。すなわち麻雀牌は1から9までであるから、123456789の逆の型は987654321である。これを下記のように上下に並べて加算するとすべて10になる。
1 2 3 4 5 6 7 8 9
9 8 7 6 5 4 3 2 1
--------------------------
10 10 10 10 10 10 10 10 10
すなわち1に対しては9、4に対しては6が同位置の関係にある。そこで1に対しては9を、3に対しては7を同位牌と呼ぶ。すると牌型によっては位置関係をひっくり返した場合、まったく同じ面子となるものと、異なる面子となるものの2種類あることがわかる。そこでひっくり返しても同じ面子となるものを絶対型として「Z」で表し、異なる面子となるものを同位型アリとして「&」で表し、型式の筆頭に記す。
また&面子(同位型アリの面子)の場合、構成牌の合計数が少ない方の面子を表面子(順面子)、反対型を裏面子(逆面子)と称する。
表面子 裏面子
1112345 5678999
22234567778 23334567888
さらに聴牌型には同位型ではなく、基本型が存在する。たとえば下記の場合、牌式をみれば一目瞭然のように、(2)(3)の牌姿は(1)の数字が順次繰り上がっただけの牌姿である。
牌式 牌姿
(1) 111130000 1234555
(2) 011113000 2345666
(3) 001111300 3456777
すなわち(1)の型は、11113という牌式のマザー型であると同時に(2)(3)の基本となる型、そこでこれをArcheType(アーキタイプ=基本型)とし、聴牌記号の末尾に「A」で表す。この数字が一つ繰り上がった牌型を、BrotherType(ブラザータイプ=兄弟型)としてB1、以下、B2・B3という順に表記する。例に示すと下記のごとくとなる。
<<例>>
(1)マザ−型であると同時に基本型(アーキタイプ)
分類 牌式 型式 牌姿
7M07 : 111130000 [&2TRA] 1234555
(2)1のブラザー1(ワン)型
7M07C : 011113000 [&T2SB1] 2345666
(3)1のブラザー4(フォー)型
7M07C : 000011113 [&2TRB4] 5678999
(4)1の同位型
7M07C : 000031111 [&2TRB4] 5556789
(5)4の基本型(アーキタイプ)
7M07C : 311110000 [&2TRA] 1112345
(6)5の同位型=1のブラザー4(フォー)型
7M06 : 000011113 [&2TRB4] 5678999
(7)絶対型の例
13C : 031212130 [ZS] 2223445667888
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