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      (338)方語


 町内の寄り合いで公民館に出かけた。打ち合わせが終わったので、隣のAさんと雑談をしていた。するとAさんの携帯が鳴った。Aさんが携帯で話し出したので、なんとなく聞いていた。ところがAさんの話の内容がほとんど分からない。

 3分の1くらいは「それはムリだ」とか「今は忙しくて...」という日本語だが、あと3分の2がまるっきりの外国語。言葉の雰囲気は どっかで聞いたことがあるような気もするが、考えても思いつかない。英,独,仏,西などのヨーロッパ系でもなければ東南アジア系でもない。ましてや馴染みのある中国,韓国語系でもない。しかし言ってることは分からないものの、やはりイントネーションは日本語に近い感じ。それでAさんが長話をしている間、さんざん考えた。

 40年近く前、修学旅行で九州へ行った。鹿児島の或る町を観光バスで移動中、町なかの細い道でバスが対向車が こんにちわ。どっちかが いったん後退する必要がある。するとバスと乗用車の運転手が互いに窓から身を乗り出して大声で話しはじめた。そこへ若くて美しい我々のバスガイドもバスを降りて話しに加わり、3人で数十秒 話し合っていた。結局 ガイドさんの笛の合図(バックオーライ)を受けながら、乗用車が後退し、まるく収まった。しかしそのときも、3人の話しの内容は一言半句 理解できなかった。

 そんな経験があるので鹿児島弁かとも思ったが、かすかな記憶では鹿児島弁はもう少しゴツイ感じだった。さんのは それより柔らかい感じ。そこで(方言としても本土じゃないだろうな。どっかの離れ小島か...)などと想像した。

 長電話がようやく終わったので、待ってました とばかり聞いてみた。(笑) するとさんは奄美大島の出身だって。ほう、σ(-_-)の想像は半分くらい当たっていたぞ。

 二十歳の頃に島を出たので普段は日本語?を話しているが、同郷の人と話すと大島弁が出てしまうそうだ。「自分はこっちへ来て長いので島の人と話しても日本語が混じるが(笑)、島の人同士が話していると日本人にはゼンゼン分からないと思いますよ」と大笑い。

 奄美大島と言えば沖縄と九州の間くらいで周囲40kmくらい。昔は数万人住んでいたこともあったらしいが、いまは過疎化が進んで人口8千人くらいだそうな。九州から船で10時間以上、プロペラ機なら1時間くらいかかるという。そんなに離れているので、言葉の違いが大きくなったんだろう。

 それで思い出した。
 昔 ゴルフをやりに沖縄に行ったとき、ホテルで従業員同士の話しを立ち聞きした。さんのイントネーションを(どっかで聞いたこともあるような)と思ったのは、たぶんそのときだ。う〜ん、大島弁沖縄弁の親戚か?

 しかし単にイントネーションや単語というのではなく、全体の言葉がこれだけ違うとなれば、○○弁とか方言というレベルを超えている。純粋の大島弁とか沖縄弁 あるいは鹿児島弁などは、中国の上海語とか福健語のように方語と云うレベルと思った。(^-^; 

 数日後 またさんにあったので、先日 聞いた大島弁の話を持ち出してみた。するとσ(-_-)が少し勘違いしていたことに気がついた。よく聞いてみると、さんは奄美大島ではなく、そこから2,30kmくらい離れた喜界島(きかいじま)の出身だった。(^-^; つまり「周囲40kmくらいで人口8千人くらい」というのは、喜界島の話。奄美大島喜界島よりはるかに大きく、周囲200kmくらいで、人口も10万人くらいあるらしい。あらまぁ....(ノд`)
 そいで奄美大島喜界島では、また言葉が違うそうな。なんとまぁ、日本は広い(笑) 。ということで、とりあえず訂正。(^-^;


Cr 投稿日:2009/11/03(Tue)

 あさみさん、こんにちは。ごぶさたしてます。
 麻雀と関係のない話で恐縮ですが。

 ご推察の通り、奄美大島の言葉は沖縄方言に含めるのが普通だと思います。因みに、日本語は大きく本土の言葉と沖縄の言葉とに分け、本土の言葉を さらに東日本・西日本・九州に分けるのが一般的かと思います。

 問題は沖縄の言葉が日本語の方言なのか、それとも別の言語なのかということですが、これは(言語学ではよく知られていることですが)「政治の問題であって、言語学では解決できない」というのが正解です。

 現在、米軍基地の問題で揉めていますが、ここからもよく分かるように沖縄はハッキリ言って何かと差別を受けます。非常にけしからんことですが事実としてそうです。このような状況の中で「沖縄の人々は沖縄語を話して日本語は話さない」ということになってしまうと差別がますますひどくなってしまう恐れがあるので、政治的配慮により沖縄の言葉は日本語の方言だということにしてある、というのが真実のようです。
 これに加えて「沖縄の言葉と言っても実際には鹿児島県の奄美諸島でも話されているんだから」というようなこともあるらしいですが、これは別に沖縄の言葉を日本語の方言だとする本質的な理由とはならないように思います。

 世界にはこれと逆のパターンもあって、例えばルクセンブルクという国ではドイツ語のルクセンブルク方言が話されていたのですが、1980年代半ばに「我々が話しているのはドイツ語ではない。ルクセンブルク語だ」と主張するようになって、ルクセンブルク語になってしまったという話を聞いたことがあります。やはり同じ言語かどうかを決めるのは政治ですね。もっともアイヌ語のように、どう考えても日本語とは全く別の言語の場合は政治的にもどうしようもなく、別の言語ということになってしまいますが。

 海外の言語学者は日本の政治的配慮とは無縁なので、日本語とは別の「琉球語」だと見なす人もいるようです。さらにユネスコの「絶滅の恐れがある言語リスト」の中には琉球語以外に「宮古語」や「八重山語」など、沖縄の言葉が6つ挙げられているそうです。
 実際、島が違うと言葉が全く違うというのは事実のようです。なので沖縄(と奄美諸島)の言葉を全て一まとめに「琉球語」と呼ぶのもまた問題なのかもしれません。
なかなかに奥の深い、難しい問題です。(^^;;
長文失礼しました。

あさみ 投稿日:2009/11/03(Tue)

 ども、Cr さん(^-^)/
 いや、大変 参考になりました(^-^)v

 沖縄弁の話ですが、20年くらい前 「“いらっしゃいませ”を沖縄弁では“めんそーれ”と云う」と聞きました。そのときは“ふ〜ん”と思っただけでしたが、後で「昔言葉の“召し候(そうら)へて(よく いらっしゃいました)”が変化したもの」みたいな話をきました。そこで「沖縄弁というのは、古い言葉が残っているんだ...」などと思ったことがあります。

 それはともかく 方言についてですが、シロート考えでは「話の中に意味が分からないフレーズがちょいちょい出てきたり、あるいは全体のイントーネーションが大いに異なっていたとしても、ほぼ全体的な意味は分かる」程度なのが方言、「言葉の中に日本語フレーズ?が入っていても、全体的には何を云っているのか ぜんぜん分からない」のが方語というくらいかも。(^-^;

 先般、ブラジル人と話をしていたところ、「スペイン語でも ゆっくり話してくれればおおよそ意味は分かる」みたいなことを云ってました。しかし大島弁となると、いくらゆっくり話してくれてもσ(-_-)には理解できないような気がします。

 となると どっちが主体かは別として、大島弁と一般語はスペイン語とポルトガル語より距離があるのかも知れませんね(^-^;

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