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    (196)政治感覚


 先般、愛知県知事が中部国際空港と愛知国際博覧会に関連して総務省に陳情に行った。すると麻生総務大臣から「(衆院選では自民党候補を)たくさん落としてくれましたね。陳情は控えめにした方がいいですよ」と云われたとか。

 各県の知事、あるいは行政組織など、3割自治どころか、自民党の出先機関にくらいしか思っていないという信じられない政治感覚。どこの政党であろうと、大臣ともなればその政党の代議士である前に国政を担うべき立場。それが国政より党利党略丸出しでは、話しにもならない。

 もし公明党出身の坂口厚生労働大臣が、厚生や労働問題について陳情に来たどこかの知事に、「おたくの県では、公明党の候補者をたくさん落としてくれましたね。陳情は控えめにした方がいいですよ」なんて云ったら、天地がひっくり返るほどの大騒ぎになる。軽くて大臣はクビ、たぶん公明党は連立から離脱せざるをえないだろう。

 それほどの大問題を平然と口にし、マスコミに報じられても自民党の中では大した問題にはならず、大臣職も安泰という恐るべき政治感覚。自民党の「構造改革」が聞いてあきれる。

 それよりもっと情けないのが、その一言を聞いて真っ青になったという愛知県知事。
 いまの愛知県知事は、もともと自民党に担ぎ出された人物。一宮市という愛知県の地方都市の市長。人格者かもしれないが、おとなしい人物。とても知事に立候補するという人ではなかった。ところが知事選で候補者のなり手がいなくて困り果てた自民党が、一宮市長に当選したばかりの神田氏にをつけた。

 当選したばかりの市長の座を放り出させて総力を挙げて応援、愛知県知事に当選させた。そんないきさつがあるから、自民党に頭が上がらない。そこで大物代議士?に一言云われただけで真っ青になる。

 長野県の田中知事や東京都の石原知事が国政にからむ問題等で国へ陳情に行ったとき、たとえその前に地元で自民党が惨敗していたとしても、間違ってもそんな事は言われない。仮りに云ったとすれば、かならず逆捩じを食わされる。そこまでになれとは云わないけれど、もうちっと骨がないと、どうしようもないな。

 

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