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    (9)疝気筋


 疝気筋(せんきすじ)といえばゲームの世界では筋違いの筋と言うほどの意味で使われる。麻雀では「裏筋の裏筋」を意味する。この筋は前半においてかなり危険度が高く、後半では比較的安全といえる筋。

 具体的に云うと、序盤、つまり6,7枚目ぐらいまでに3とか4、あるいはは6とか7という牌が捨てられていた場合、その牌の裏筋はもちろん危険なのであるが、その裏筋の裏筋、つまり3捨ての場合であれば5・8、4捨ての場合は6・9、6捨ての場合は1・4、7捨ての場合は2・5という筋も裏筋と同じくらい危険ということである。その関係は次のようになる。

相手の捨て牌   1  2   3   4   5   6   7   8  9
裏 筋 2・5 3・6 4・7 5・8 14/69 2・5 3・6 4・7 5・8
疝気筋 3・6 4・7 5・8 6・9 *** 1・4 2・5 3・6 4・7

※5以外の数牌は、それぞれ裏筋1本、疝気筋1本があるが、5には裏筋が2本ある代わりに疝気筋はない。

 表示のように、5以外の数牌には理屈の上ではすべて疝気筋が存在する。しかし1・2・8・9の牌は手牌がどうこうと云う事に関係なく早捨てされる傾向が強い。したがって疝気筋うんぬんのメカニズムもあまり通用しない。実際に疝気筋のメカニズムが強く表れるのは、やはり中張牌である3・4・6・7の早捨てに対してである。

 で単純に「3・4・6・7の早捨てには疝気筋は結構危険」と思ってしまえばいいのであるが、いちおうそのメカニズムらしきことをチョロチョロと。

 むかし、日本麻雀連盟という団体が、配牌の平均向聴数の統計をとった。それによればは3.5前後という数字が算出されたという(何千ものゲームを手作業で集計したというから、ご苦労様というしかない)

 平均3.5向聴ということは、一般的に配牌はバラバラとしているということ。まぁこんなことは統計を見なくてもわかるけど(笑) そこでいずれにしても序盤段階は面子整理というか面子作製の段階となる。その段階では、かりに3・4・6・7などが1枚しかない時、1枚だからといって早捨てされる事はあまりない。くっつきによる面子作製はもとより、126とか489などとあれば、断幺(タンヤオ)への移行も考えて6を残して12を、4を残してとか89の端面子が処理されることだってある。

 そこでたとえば序盤で3と6の単張を持っていて、どちらかへのくっつきを期待しているとき、3に2とか4がくっつけば、特に事情がない限り早めに6が処理される。すると残った面子は23か34であるから、23であれば待ちは疝気筋の1・4、34であれば裏筋の2・5という事になる。

 逆に36と有るところに5または7がくっつけば、3が早めに処理される。もちろん5がくっつけば待ちは3の裏筋の4・7、7がくっつけば待ちは疝気筋の5・8となる。
 37とあるところへ6がくっついても3が捨てられる。この場合も、待ちは疝気筋の5・8となる。もちろん8がくっついても3が捨てられる。この場合、待ちは鈍ら筋(後述)となるが、それはまた別のお話。

 この理屈は1の早捨てに対しても同様で、たとえば序盤段階で14(または15)という単張がある時、5(または4)を引けば特別の事情がない限り1が捨てられる。すると待ちは3・6となる。そこで序盤段階の1捨てには、いちおう3・6という筋が結構危険な筋と云うことになる(14に3を引いて1を捨てれば待ちは裏筋の2・5となる)。

 しかし前述したように1とか9の端牌、あるいは28の牌は疝気筋発生のメカニズムとは関係なく捨てられる事が多いので、19早捨てに関しては疝気筋うんぬんの理屈はあまり通用しない。

 いずれにせよこのような単張の整理というか面子作製の作業も、前半でほぼ終了する。当然、後半の捨て牌には、疝気筋が発生する度合いは低くなる。

 そこで前半での立直に対して疝気筋を打ちだすのは避けた方がよく(どうせ打つなら跨ぎ筋を)、逆に後半の立直に対してベタ降りしたいのに安全牌が1枚も無いという場合、同じ無筋でも相手の捨て牌の疝気筋を打ちだした方がなんぼかマシかも知れないと云うことになる。

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