ClassicTactics  古典技法論

     (1)清一聴牌時の一作戦


 昭和6年、専門誌「麻雀」に発表された草鹿三郎の戦術論。筆者・草鹿三郎は、清一解明にはかかせない「牌式」の創案者。#漢字・平仮名など、一部、現代表記に校正してある。

   二索三索三索四索五索六索七索

 2副露して三索待ち。しかし和牌は2枚しかない。もし三索が他家に使用されているとか、河中に捨てられているかとの場合には、和牌は1枚か、あるいは和牌なしという心細い聴牌である。しかも2副露して居ることで他家は索子を警戒し、和了は至難といえる状態である。かかる状態なれば、もし他の索子牌を摸すれば誰しもさらに良き聴牌に組み變へることを望むであらう。

 さてここ一索を摸した場合、いかなる聴牌変更を行ふか。もちろん三索を切って一索 四索 七索の三門単騎とすべきである。摸した牌が二索であれば、三索を切って二索 五索 八索の三門張とすべきである。

 以下、四索ならば三索を切って一索 四索 七索五索ならば三索を切って二索 五索 八索七索ならば三索を切って一索 四索 七索八索ならば三索を切って二索 五索 八索、あるいは二索を切って三索 六索 九索

 いずれも三門張にして、これらの要牌枚数は20枚。このほかに九索が来た場合にも三索を切って九索の単騎待ちとなし得る。ただ一つ、六索がきた場合には二索を切って五索 八索待ちとすべきであらう。よって聴牌変更に際しては、だいたい三索を切るものと決定してくる。

 そこでかかる聴牌になったとき、もし次に萬子なり筒子なり安全牌とおぼしきものを持ち来たりならば、此れを一時留保し、まず三索を切って出る。他家では「余ったな」と感ずるであらう。而して索子の警戒は、ますます厳しくなることだらう。安い聴牌あたりはすぐ潰れて索子牌を抑へる。此の頃、肝心の本家では涼しい顔をして、次の索子の到来を待っている。

 来た!、四索が来た!、出ていけとばかりに居候の安全牌を追い出してはならぬ。徐ろに真ん中あたりから前の安全牌を送り出す。他家はなんと思ふだらう。「はあ、あの手の裡は案外の偽物だな」と、こう思はれるならばしめたもの。いままでの警戒が緩やかになると同時に苦痛のタネだった索子牌がチラホラと顔を出す。本家では、三門張の大手を広げて待って居る。

 身持ちの堅いお方はそのまま三索の聴牌で待ち続け、要牌が来て初めて三索を切ってを切って聴牌変更をなさるのもよい。しかし上の様な打ち方も、清一色聴牌時の1作戦となりはしないだらうか。

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