珍奇牌No1.で香港製の紙牌を紹介した。あれも実用品には違いないが、あくまで社会生活上の実用品。しかしこちらはレッキとした実戦用。昭和初期の第一次麻雀ブームのとき、牌不足を補うために製造されたもの。
牌の大きさは、現在の基準から云えば小型に属するが、当時の基準でいえば普通サイズ。
牌は何枚もの紙を積み重ねたものを別の紙でくるみ、表面を印刷した形となっている。中身は何層もの紙であるから、指でギュッと押しつぶすようにしても潰れることはない。しかし紙ばっかりの製品であるからずいぶん軽い。♪吹け〜ば飛ぶような〜♪なんて歌があるが、手のひらに載せて思いっきり吹けば、ほんとうに飛ぶ。(笑) 写真に点棒も写っているが、もちろんこれも紙製だ(少し丈夫な硬い紙)。
ちゃんとこうやってゲームもできるが、軽いので使いやすくはない。そこであまり売れ行きはよくなかったらしい。とうぜんそれらは処分される。売れた分にしても、紙製なのであまり大切にはされなかった。大切にされなければ、自然に散逸してしまう。そこで現在は「昭和初期のブームのとき、紙製の麻雀牌まで製造された」という記録が残っているだけで、現物は残っていない。ところがぎっちょんちょん。ここに写真をUPしたということは、現物が残っていたということだ。数年前、思いがけなくあるところから話があった。現物を見る前、話を聞いただけの時点で「買う買う買う」と返事した(笑)。
こういう古物で大切なことは、資料的価値と骨董的価値とは必ずしもイコールではないということ。たとえば江戸時代の和箪笥など、できも材料も良いものは骨董品として高い価格で取引されている。しかしモノ自体は結構残っているので、よほどのモノでない限り資料的価値は高くはない。
戦国期にオランダから「うんすんかるた」というものが伝来した。いろいろあって、これが花札に変化して現在に至っている。この花札のルーツである「うんすんかるた」が1枚だけ、適翠美術館というところに保存されている(九州の三池というところで作られたというので、「三池かるた」と呼ばれている)。
「うんすんかるた」、ヨーロッパでいう「カード(日本で云う「トランプ」)と馬吊との関係はゲーム史的な大問題。そこでたった1枚残っている三池かるたの資料的価値は値段がつかないくらい高い。しかし骨董品としての評価となると、値段のつけように困るかもしれない。
この紙牌も単なる紙製品で高級象牙牌ではない。そこで資料的価値は思いっきり高くても、骨董品としての評価となるとむにゅむにゅむにゅ。そこで値段も数万円程度であった。正直、σ(-_-)には、「やったぜ、ベイビー」という感じであった。(^0^)/
|